トータルステーション

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トータルステーションとは測量機器の一種であり、角度を計測する経緯儀(セオドライト)に光波測距儀の機能を融合させた機器のことを指す名称である。略してTSと呼ばれることも多い。

概要[編集]

木製の三脚に据え付けられたトータルステーション

トータルステーションの登場までは角度距離を同時に計測することはできず、それぞれ別に計測されていた。セオドライトの接眼レンズには視準のためのクロスヘアのほか、簡易的に距離を計測できるスタジア測量のためのメモリがふられていたものもあった[1]。トータルステーションはこれらの機能を一つにまとめた機械であり、秒刻みで角度を測ることができ、長さは1mm単位ではかることのできる機械である(詳細な性能は後述)。また、計測結果はデータコレクタと呼ばれるデータ記憶装置に集約される。トータルステーションの普及により、現地における測量工程の大幅な省力化と測量精度の確保が実現されたものである。

原理[編集]

トータルステーションは基準となる点からの角度と距離を測り、データを集積していくための機械である。現在のトータルステーションは視準にレーザ光を用いるものが一般的であり、レーザ光を効率よく反射するプリズムにレーザを反射させる「プリズム方式」が広く使われている。近年はこのプリズムがなくとも対象物に直接レーザを当てて視準する「ノンプリズム方式」も使用されている。

角度

トータルステーションの角度は内部に搭載されたパターンマークとLEDにより計測される。パターンマークにLEDを照射し、トータルステーションの回転部を回転させることで反射する光量が変化する。この変化した光量をフォトダイオードで読み取ることで角度を計測している。それぞれ水平軸と鉛直軸に同様の構造を持っており、それぞれの値を計測・記録している[2]

測距

距離の計測はレーザ光を発射し、プリズムなどに反射したレーザがトータルステーションに帰ってくるまでの時間(TOF方式やパルス方式)や波長(位相差方式)を基に計算している。

性能[編集]

日本国内で使用されるトータルステーションについては国土地理院がその性能の基準を定めており、公共測量や目的の精度に合わせて基準を満たすトータルステーションを使用する必要がある。現在のトータルステーションの基準は距離は測距儀の性能を、角度はセオドライトに準じた性能を有しているかにより判断され、主に3等級に分類される。

1級
(角度)最短視準距離が2.5m以下であること。水平・鉛直ともに最小目盛値が1.0秒以下であることなど。
(距離)2km以上が測定可能であること。最小読定値が1mm以下であることなど。
2級
(角度)最短視準距離が2.0m以下であること。水平・鉛直ともに最小目盛値が10秒以下であることなど。
(距離)2km以上が測定可能であること。最小読定値が1mm以下であることなど。なお、この条件を満たせば2級A、測定可能距離が2kmに満たない場合は2級Bとなる。
3級
(角度)最短視準距離が2.0m以下であること。水平・鉛直ともに最小目盛値が20秒以下であることなど。
(距離)1km以上が測定可能であること。最小読定値が1mm以下であることなど。

なお、日本におけるトータルステーションの使用率は2019年で9割以上が2級トータルステーションを使用している[3](検定機器ベースでの算出)。また、そのうち1秒読みの物が3割超、5秒読みの物が6割を占めており、2級の基準である10秒読みは2%であったという。

関連項目[編集]

参考[編集]