ダマスカス鋼
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ダマスカス鋼とは、昔、インドで作られていた鋼鉄で、シリアのダマスカスで刀剣に加工されたのでダマスカス鋼と呼ばれる。
特徴[編集]
ダマスカス鋼の刀剣は強靭で、「ウーツ(ダイヤモンド)鋼」の異名もあった。「折れず、曲がらず、刃毀れぜず、切れ味が落ちない」という特徴があり、日本刀と互す。刀身に独特の縞模様(正確にいうと「ウォーター」といい、「蟻が這ったような模様」とも表現される)があり、錆びることがない。日本刀の「匂出来」とも対比される。
マイケル・ファラデーなど、多くの科学者が挑んだが解明はできなかった。
刀身の模様は、性質の異なる複数の鋼鉄を人為的に混ぜ合わせて鍛造したために生じるという説や、製造過程で炭素含有量の違う部分が自然に生じて出来るという説などがあった。
近年、再現に成功したと『サイエンティフィック・アメリカン』(日本語版は「日経サイエンス」)で報じられた。焼入れの際にできる組織の様子がその模様を作りだす因子であり、微量成分との関りもあるという。研ぎあげてから甘草の汁などで模様を際立たせるという。
歴史[編集]
中世にはダマスカス鋼の刀剣は最高級品とされていた。製法が失われ幻の鋼鉄となったが、博物館には現存しており、架空の鋼鉄ではないことは確かである。
ステンレス鋼は、ダマスカス鋼や日本刀の成分の研究の結果、ニッケルやクロムやモリブデンといった成分の添加によって開発されたものである。
現代では、ダマスカス風の縞模様がある包丁やナイフが市販されているが、「パイ捏ね変換」によってそれっぽい模様を再現しただけの「鉄鋼のミルフィーユ」であり、本物のダマスカス鋼ではないため「擬ダマスカス模様」として区別される。