ケヤキ・庭石事件
ケヤキ・庭石事件(ケヤキ・にわいしじけん)は、福岡市の人工島造成事業などを手掛けている第3セクター博多港開発株式会社(福岡市が過半数の株式を出資)が、利用計画のないケヤキ・庭石を購入していたとされる事件。
概要[編集]
2002年10月(福岡市長選の時期)に博多港開発が土地利用計画の決定前に1995年から2001年にかけてケヤキ600本を約6億2000万円、2000年に庭石1万トンを約3億6000万円の計約10億円で購入していたことが発覚。人工島の緑化に使うとされていたが、具体的な計画はなかった。福岡市議の西田藤二の関連3社によって4億円超の転売益を得ていたとされた。博多港開発社長で福岡市助役の志岐真一は西田から1400万円の謝礼を受け取ったとされた。
福岡市は2003年4月に特別背任容疑で志岐、大庭の両名を告発。市議会は、志岐を特別背任容疑・西田と関連会社社長3人を地方自治法違反容疑で告発。また、志岐は市民団体によっても特別背任容疑で告発されている。公訴時効分を除いた約7億7400万円分の損害を負わせたとして11人が逮捕。西田、志岐、大庭の3人が起訴された。
裁判経過[編集]
刑事裁判[編集]
当時の博多港開発社長で福岡市市助役の志岐真一、元福岡市議西田藤二、元博多港開発常務大庭樹3人について起訴。
2007年9月12日、福岡地裁(鈴木浩美裁判長)は、志岐に懲役3年6月(求刑懲役5年)、西田に懲役2年(求刑懲役4年)の有罪判決を言い渡した。弁護側は「ケヤキ・庭石は先行取得の必要性があった」と無罪を主張していたが、判決では事業計画もなく購入していたとして私益をもたらすためのものだったと認定。
2009年4月10日、福岡高裁(陶山博生裁判長)は、志岐真一に懲役3年、西田藤二に対しても懲役1年8月、大庭に懲役1年6月・執行猶予5年・の有罪判決を言い渡した。福岡高裁は被告側の無罪主張は退けたが、情状酌量をして一審判決より減刑している。
2011年9月17日、最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)は、志岐真一、西田藤二、大庭樹の上告を棄却[1]。志岐の懲役3年、西田の懲役1年8月、大庭の懲役1年5月・執行猶予5年の有罪判決が確定した。
民事裁判[編集]
博多港開発は、2005年1月に福岡地裁に約7億8000万円の損害賠償を求めて志岐真一、西田藤二、大庭樹の3人を提訴する。同社が求めていた損害賠償は1999年購入のケヤキ300本(3億1500万円)、2000年購入の庭石1万トン(3億5910万円)、2001年購入のケヤキ100本(9975万円)、ケヤキ保管管理費約202万円、庭石警備費約381万円。
2010年3月16日、福岡地裁(増田隆久裁判長)は「購入の必要はなく、志岐被告らは博多港開発に損害が発生することも認識していた」と指摘し、3人に計約7億800万円の支払いを命じた。
再審請求[編集]
2014年9月22日、西田藤二は無罪とするべき証拠が見つかったとして再審請求をする[2]。西田が出所後の2013年2月から行っていた福岡市の回答などの「新証拠」を基に、緑化・公園などの基盤整備は開発許可が不要で事前協議は義務付けられていなかったと主張。行政指導にも強制力がないとした。また、市公園計画課長の供述による豊浜公園、姪浜1号公園の開発許可申請は行われていないとした。