グレネードランチャー
グレネードランチャーは、歩兵が携行でき、小型の爆発物を発射する火器のことである。
概要[編集]
小銃だけでは、物陰や塹壕などに隠れた敵を殺傷することは不可能であり、敵味方が塹壕などに隠れてしまうと戦闘は進展のないまま膠着する。砲兵や戦車による援護は即座に受けられるものではない。手榴弾が届く距離もたかが知れている。このような場合、手榴弾程度の爆発物を遠方まで発射できる小型の武器があれば戦闘は有利となる。グレネードランチャーはこのような必要から作られた武器である。
特徴[編集]
銃で攻撃できるのは一点だけであるが、グレネードランチャーは一定の面積を一度に攻撃することができる。グレネードランチャーの弾は小銃弾よりも発射速度が遅く放物線を描いて飛ぶので、障害物を飛び越えて、小銃では狙えない場所を攻撃することが可能である。
歴史[編集]
先込め銃の時代から小型の爆発物を発射する小火器はあったが、実用性があったのかどうかは疑問である。江戸時代の兵術書にはそれらしきイラストが描かれている。第一次大戦頃には、小銃の先端に直接、棒の突き出た手榴弾を差し込んで、空砲のガス圧でそれを発射することや、銃口に専用のカップ状の器具を取り付け、その中に爆発物を入れて、同じく空砲のガス圧で発射することが行われた。
第二次大戦で日本軍が使った擲弾筒もグレネードランチャーの一種と見なすことができる。
ベトナム戦争でアメリカは、中折れ式の散弾銃に似た形状の単発のグレネードランチャーを使用している。
現在の米軍ではアサルトライフルの銃身の下側に取り付けるタイプ(M203 グレネードランチャー)が主流となっており、状況に応じてアサルトライフルとグレネードランチャーを使い分けられるようになっている。米軍以外での後付け型グレネードランチャー採用国はロシア、ドイツなどヨーロッパ北部の国に限られており世界的に見て採用例は少ない。
また、リボルバータイプで連射を可能にしたイギリスのエクスカリバーMk.I、南アフリカのダネルMGLなどの種類もある。
自衛隊では上記M203は採用されておらず、小銃銃口に専用の弾頭を差し込んで空砲圧で投擲を行う擲弾筒である06式小銃擲弾が採用されている。米軍供給のM203は試験は行ったものの採用に至らず、不採用の理由は「(小銃下に重量物を付加することにより)銃身バランスが変化し、小銃弾発射時とグレネード弾発射時の双方の照準に著しい悪影響を与えるため」となっている。
動画[編集]