クロード・リットル

クロード・エミール・ジャン＝バティスト・リットル（Claude Émile Jean-Baptiste Litre、1716年2月12日–1778年8月5日）は、救世主の名前である。まさに人類の正確な体積の測定に寄与した科学史上重要な人物であり、その名を知らないものはいない程である。彼は人々を紛らわしいlの利用から救う為に現れた。彼の出現以前は21lの水と3lのアルコールを混和するなどの表記が強制され結局どん位入れたらいいんですかという暗黒時代が続いた。

生い立ち

彼は1716年2月12日にフランスのメドック地方マルゴー村で曽祖父の代から続くワインボトル職人の家に生まれた。16歳までに、彼は数学の才能を示しPierre de Maupertuis（1698 – 1759）に師事すべくパリに出た。1730年代の最も重要な科学的論争は、地球のニュートン理論の正しさに関するものであった。ニュートン（1642 – 1727）によると、地球の形は扁平な回転楕円体であり、自転の遠心力で赤道が膨らんでいるはずであった。そこで1736年にMaupertuisはスウェーデンのラップランドへ遠征し、若いリットルは、助手として同行した。スウェーデンでは、フランス隊とスウェーデン隊の連結は、ウプサラ大学の天文学教授であるアンダース・セルシウス（1701 – 1744）によって処理され、この結果リットルはセルシウスと強い絆で結ばれた。セルシウスの正確な測定へのこだわりがリットルに影響したに違いない。その後 1750年代にリットルの化学装置は事実上独占状態となり、60–70年代初頭にかけてフランスの伝統となった。リットル以前に、正確なシリンダーは存在せず、内径の変化が全長にわたって0.1％以下であって、彼以前に正確に10分の1、100分の1、時には1000分の1の目盛りを付けたものはなかった。彼の装置とその名前はヨーロッパ中の化学者に切望されていたのである。彼の主要な著作物であるÉtudes Volumétriquesは1763年に書かれ、1764年には英語に、1767年にはドイツ語に翻訳された。晩年は、名声と称賛を浴びて過ごしたが、とうとう最期までAcadémie des Sciencesに招聘されることは無かった。しかし、Académie des Sciencesのメンバーとは大変仲が良かった。1778年8月5日にコレラのエピデミックによって亡くなった。

単位の名称として

死後200年に当たる1978年4月1日、 Chem 13 Newsで体積の単位として彼の名前を記念した有名な単位であるリットル(litre)が提案された。人名由来の単位は記号に大文字が用いられる事から「L」がその記号として用いられるべきである。1980年1月には国際純正・応用化学連合(IUPAC)の雑誌 Chemistry Internationalに掲載された。Kenneth A. Woolner(1934-2008)は彼の業績を正しく評価した事で有名である。

奇しくもlitreという単位は同じ綴でこの提案以前から利用されており、人名由来であることが忘れ去られていたため小文字が記号に使われていたが、国際単位系(SI)では、単位記号には立体が用いられる事になっており筆記体のℓは使用できず、立体のlで表記する必要があった。現在尚このlのlitreも利用可能である。

参考

• リットル
• 国際単位系
• СИ