ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート
ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート(英: The New Year's Concert of the Vienna Philharmonic、独:Das Neujahrskonzert der Wiener Philharmoniker)は、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(略称:ウィーン・フィル,正式な略称はドイツ語表記WPh,英語表記のVPO)が毎年1月1日に開催する演奏会である。シュトラウス一家やその同時代の作曲家のレパートリーで構成される。テレビ中継は世界90ヵ国以上で放送され、4千万人以上がテレビで鑑賞する世界的イベントになっている。日本のNHKにおいても、Eテレ(NHK教育テレビジョン)にて毎年ライブ中継される。
演奏会会場はウィーン楽友協会の「黄金のホール」を使用する。定番アンコール曲に「美しく青きドナウ」と「ラデツキー行進曲」の2曲がある。「ラデツキー行進曲」は観客が手拍子で参加する。
沿革[編集]
1873年11月4日、ウィーン万国博覧会で開催されたコンサートでシュトラウスは「美しく青きドナウ」をウィーン・フィルで演奏したのが、シュトラウとウィーンフィルの結びつきの最初である。指揮者のクレメンス・クラウスは1929年8月11日のザルツブルク音楽祭でヨハン・シュトラウスの作品のみのプログラムで指揮したところ、好評のため1933年まで続いた。これがニューイヤーコンサートの前身となった。「特別コンサート」として1939年12月31日にムジークフェライン大ホールでクレメンス・クラウス指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団により、ヨハン・シュトラウスのワルツやポルカで構成した最初のニューイヤーコンサートが行われた。1941年の第2回からは1月1日に演奏されるようになった[1]。1945年は戦争のため中止となった。
1946年と1947年は連合軍によりクレメンス・クラウスは2年間の指揮活動が禁止されたため、代役としてヨーゼフ・クリップスが指揮した。1948年から1954年まで再び、クレメンス・クラウスが指揮した。クレメンス・クラウスの指揮は通算12回に及んだ。 1955年から1979年まで、コンサートマスターのヴィリー・ボスコフスキーはニューイヤーコンサートを指揮した。通算25回の指揮は、歴代最多である。 1959年に始まったオーストリアテレビによるライヴ中継によって、ニューイヤーコンサートは世界中に知られるようになった。 1980年から1986年まで連続してロリン・マゼールが指揮したが、1987年以降は指揮者を1年交代制とするよう決定した。1987年以降でもっとも多い回数指揮したのは、リッカルド・ムーティの5回(1993、1997、2000、2004、2018)である。
2015年ニューイヤーコンサート[編集]
- 指揮:ズービン・メータ(2007年以来5回目)
- 第一部
- オペレッタ『ウィーンの朝・昼・晩』序曲
- ワルツ「東方のおとぎ話」op.444
- ポルカ・フランセーズ 「ウィーンの生活」op.218
- ポルカ・シュネル「人が笑い生きるところ」op.108
- ワルツ「オーストリアの村つばめ」op.164
- ポルカ・シュネル「ドナウの岸辺から」op.356
- 第二部
- 常動曲(音楽の冗談)
- 加速度円舞曲
- 電磁気ポルカ
- ポルカ・シュネル『蒸気をあげて』
- ワルツ『エルベのほとりで』
- シャンパン・ギャロップ
- ポルカ・フランセーズ『学生ポルカ』
- 自由行進曲
- アンネン・ポルカ
- ワルツ『酒・女・歌』
- ポルカ・シュネル『粋に』
- アンコール曲目
- 美しく青きドナウ ヨハン・シュトラウス2世
- ラデツキー行進曲 ヨハン・シュトラウス1世
2016年ニューイヤーコンサート[編集]
- 指揮:マリス・ヤンソンス(4年ぶり3回目)
- 第一部
- 国連行進曲 シュトルツ作曲(初演奏)
- 宝のワルツ 作品418 ヨハン・シュトラウス2世
- フランス風ポルカ「ヴィオレッタ」作品404 ヨハン・シュトラウス2世(初演奏)
- ポルカ「観光列車」作品281 ヨハン・シュトラウス2世
- ワルツ「ウィーン娘」作品388 ツィーラー作曲(初演奏)
- ポルカ「速達郵便で」作品259 エドゥアルト・シュトラウス作曲
- 第二部
- 歌劇「ヴェネツィアの一夜」序曲 ヨハン・シュトラウス2世
- ポルカ「羽目をはずして」作品168 エドゥアルト・シュトラウス作曲
- ワルツ「天体の音楽」作品235 ヨーゼフ・シュトラウス作曲
- フランス風ポルカ「歌い手の喜び」作品328 ヨハン・シュトラウス2世(初演奏)
- ポルカ「休暇旅行で」作品133 ヨハン・シュトラウス2世
- 喜歌劇「ニネッタ侯爵夫人」第3幕への間奏曲 ヨハン・シュトラウス2世(初演奏)
- ワルツ「スペイン」作品236 ワルトトイフェル作曲(初演奏)
- ワルツ「舞踏会の情景」ヘルメスベルガー1世作曲(初演奏)
- ため息ギャロップ 作品9 ヨハン・シュトラウス1世
- ポルカ・マズルカ「とんぼ」作品204 ヨーゼフ・シュトラウス作曲
- 皇帝円舞曲 作品437 ヨハン・シュトラウス2世作曲
- ポルカ「狩り」作品373 ヨハン・シュトラウス2世
- アンコール曲目
- ポルカ「突撃」作品348 ヨハン・シュトラウス2世
- 美しく青きドナウ ヨハン・シュトラウス2世
- ラデツキー行進曲 ヨハン・シュトラウス1世
2017年ニューイヤーコンサート[編集]
- 指揮:グスターボ・ドゥダメル(初登場)
- 第一部
- オペレッタ《ウィーンの女たち》から〈ネヒレディル行進曲〉
- 〈スケーターズ・ワルツ〉op.183
- ポルカ〈帝都はひとつ、ウィーンはひとつ〉op.291
- ポルカ・シュネル〈冬の楽しみ〉op.121
- ワルツ〈メフィストの地獄の叫び〉op.101
- シュネル・ポルカ〈別に怖くありませんわ〉op.413
- 第二部
- オペレッタ《スペードの女王》序曲
- ワルツ〈いらっしゃい〉op.518
- オペレッタ《ウィンザーの陽気な女房たち》から〈月の出〉
- <ぺピタ・ポルカ〉op.138
- 〈ロトゥンデ館のカドリーユ〉op.360
- ワルツ〈奇抜〉op.205
- 〈インディアンギャロップ〉op.111
- ポルカ・マズルカ〈ナスヴァルトの女たち〉op.267
- ポルカ・シュネル〈さあ踊ろう!〉op.436
- ワルツ〈千一夜物語〉op.437
- ポルカ・シュネル〈チクタク・ポルカ〉op.365
- アンコール曲目
- ポルカ・シュネル『喜んで!』(エドゥアルト・シュトラウス1世)op.228
- ワルツ『美しく青きドナウ』(ヨハン・シュトラウス2世)op.314
- 『ラデツキー行進曲』(ヨハン・シュトラウス1世)op.228
2018年ニューイヤーコンサート[編集]
- 指揮:リッカルド・ムーティ
- 第一部
- オペレッタ《ジプシー男爵》から〈入場行進曲〉
- ワルツ〈ウィーンのフレスコ画〉op.249
- ポルカ〈花嫁さがし〉op.417
- ポルカ・シュネル〈心うきうき〉op.319
- 〈マリアのワルツ〉op.212
- 〈ヴィルヘルム・テル・ギャロップ〉op.29b
- 第二部
- オペレッタ《ボッカチオ》序曲
- ワルツ〈ミルテの花〉op.395
- 〈ステファニー・ギャロップ〉op.312
- ポルカ・シュネル〈百発百中〉op.326
- ワルツ〈ウィーンの森の物語〉op.325
- 〈祝典行進曲〉op.452
- ポルカ・マズルカ〈町と田舎〉op.322
- カドリーユ〈仮面舞踏会〉op.272
- ワルツ〈南国のばら〉op.388
- ポルカ・シュネル〈投書欄〉op.240
- アンコール曲目
- ポルカ・シュネル〈雷鳴と稲妻〉(ヨハン・シュトラウス2世)op.324
- ワルツ〈美しく青きドナウ〉(ヨハン・シュトラウス2世)op.314
- 〈ラデツキー行進曲〉(ヨハン・シュトラウス1世)op.228
2019年ニューイヤーコンサート[編集]
- 指揮:クリスティアン・ティーレマン(初登場)
- 第一部
- 〈シェーンフェルト行進曲〉op.422
- ワルツ〈トランスアクツィオネン〉op.184
- 〈妖精の踊り〉
- ポルカ・シュネル〈特急ポルカ〉op.311
- ワルツ〈北海の絵〉op.390
- ギャロップ〔ポルカ・シュネル〕〈速達郵便で〉op.259
- 第二部
- オペレッタ《ジプシー男爵》序曲
- ポルカ・フランセーズ〈踊り子〉op.227
- ワルツ〈芸術家の生活〉op.316
- ポルカ・シュネル〈インドの舞姫〉op.351
- ポルカ・フランセーズ〈オペラ座の夜会〉op.162
- 〈エヴァ・ワルツ〉(《騎士パースマーン》の動機による)
- 《騎士パースマーン》のチャールダーシュ op.441
- 〈エジプト行進曲〉op.335
- 〈幕間のワルツ〉
- ポルカ・マズルカ〈女性讃美〉op.315
- ワルツ〈天体の音楽〉op.235
- アンコール曲目
- シュネル・ポルカ〈突進〉op.348
- ワルツ〈美しく青きドナウ〉op.314
- 〈ラデツキー行進曲〉op.228
なお、2019年のティーレマンの指揮には力強さはあっても優雅さが不足していることは、明らかであった。 番組中、NHKは日本語の曲目の紹介及び解説で「ヨハン・シュトラウス2世」を「ヨハン・シュトラウス」、「ヨハン・シュトラウス1世」を「ヨハン・シュトラウス父」と表記していた。オーストリア放送協会は"Johann Strauss Sohn"としているので、今回の表示はNHK独自であることが分かる。しかし、ヨハン・シュトラウス2世を単に「ヨハン・シュトラウス」としてしまうと、ヨハン・シュトラウス1世、2世の甥の3世と混同されてしまうことになる。司会の森田洋平は「今年没後120年を迎えるヨハン・シュトラウス」と説明しているので、「ヨハン・シュトラウス2世」を「ヨハン・シュトラウス」と表記していることは明らかであるとはいえ、問題となる表記であった。
参考文献・注釈[編集]
- ↑ The History of the New Year's Concertウィーンフィル、Dr. Clemens Hellsberg