さいたま市9歳男児ひき逃げ事件
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さいたま市9歳男児ひき逃げ事件(さいたまし9さいだんじひきにげじけん)は、2013年6月に事故当時9歳の男児がひき逃げされた事件。
概要[編集]
2013年6月、さいたま市の県道で9歳男児がひき逃げされる事件が発生。事故から約6か月後の2013年11月に自動車運転過失傷害とひき逃げによる道交法違反の罪で男性が逮捕される。男性は事故翌日に車の傷を修理していたが、「傷の原因は分からない」としてひき逃げ容疑を一貫して否認。しかし、検察はさいたま市中央区本町西6の県道交差点を乗用車で左折しようとしたときに横断歩道を自転車で渡っていた男児に衝突して鎖骨骨折などの重傷を負わせて逃走したとして起訴した[1]。
裁判経過[編集]
2014年12月1日、さいたま地裁(井下田英樹裁判官)が無罪判決(求刑懲役2年)を言い渡した[2]。 判決では次の点を指摘した。
- 「現場付近の防犯カメラに男性と同車種で傷がある車が写っている」という捜査報告書を作成したにも関わらず、詳細な解析をしていない。
- 写真にゆがみがあって、車種や傷の有無は判断できない。
- 同車種の車を洗い出して傷の有無を調べる捜査をしていない。
- 男性の車のバンパーに付いていたゴム片を「微量で鑑定できない」としていたが、実際には可能だった。起訴後の鑑定では、男児の自転車のタイヤと一致しなかった[3]。
これらのことから、「男性が当時現場を通過した可能性があって衝突の間接的痕跡はある」としつつも「犯人と認めるには疑いが残る」とした。車の損傷は「被害者との衝突で生じたと確信できない」とした[4]。そして、「捜査報告書の誤記載などから、証拠の評価を歪曲したと批判されても仕方ない」として捜査のずさんさを指摘した。
2014年12月11日、さいたま地検は判決を不服として控訴した[5]。片山巌次席は「1審で採用された証拠で有罪立証は十分可能だ」とした[6]。
2015年9月24日、東京高裁(朝山芳史裁判長)は、懲役1年6月、執行猶予4年の逆転有罪判決を言い渡した[7]。
脚注[編集]
- ↑ 2014年12月10日、産経ニュース「ひき逃げ裁判で無罪判決 「証拠の評価を歪曲」捜査を指摘 さいたま地裁」
- ↑ 2014年12月10日、日本経済新聞「ひき逃げ事件で無罪判決 地裁、捜査のずさんさ指摘」
- ↑ 2014年12月10日、東京新聞夕刊「男児ひき逃げ 無罪判決 「恣意的」ずさん捜査指摘」
- ↑ 2014年12月10日、毎日新聞「ひき逃げ:埼玉の男性に無罪判決 「証拠収集に疑念」」
- ↑ 2014年12月12日、朝日新聞DIGITAL「ひき逃げ無罪、さいたま地検が控訴」
- ↑ 2014年12月10日、毎日新聞「さいたま地検:ひき逃げ無罪判決で控訴」
- ↑ 2015年12月25日、毎日新聞「さいたま・中央区の9歳ひき逃げ 男に逆転有罪 東京高裁」