顔ガクガク錯視

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顔ガクガク錯視:knocked-face illusion)とは、人間のに関する錯視のひとつ。

概要[編集]

眼が4つ、口が2つある人間の画像を見ると、単に「変にパーツが多い顔だ」と思うよりは、観測者自身の視線がブレているかのように、顔全体が「ガクガク」して感じられる。これが顔ガクガク錯視である。イラストでも、あるいは実在の人物を元に合成で作ったものでも、どちらでもこの錯視は起こる。上下に眼4つ口2つが並んでいる場合は上下にガクガクしているように感じられる。左右に並んでいる場合には、左右にガクガクする。

普段の生活で私たちが見ることのある顔は、眼が2つ、口が1つ有るものである。眼が4つ、口が2つの顔は普段見慣れていないがゆえに、ありのまま受け止めることができず、ガクガクして感じられてしまうのであろう。人間の顔に関する錯視の中には、普段見慣れている姿とホンノ僅かに異なるだけで、正常に認識できずに「錯視する」ものが多い。それだけ人の顔というものが、普段の我々の生活で重要な地歩を占めているということであろう。

小町谷朝生氏は、マン・レイの写真『カサーティ侯爵夫人』(リンク)を例に挙げて、四つ目であっても「眼」として受け止められることもあるとし、続けて「2者の眼の関係は動く。動くという要素が介在することによって、実在の写真から仮想の現実が受け止められるのである」と分析を加えている。[1]

「顔ガクガク錯視(knocked-face illusion)」という名称は心理学者・北岡明佳氏が提唱したもので、それ以前になんと呼ばれていたのか、はたまた正式な名称が存在したのかは不明である。英語版サイトでは、しばしば「double vision(複視)」と紹介されるが、複視は眼の病気であって、錯視とは異なるものである。北岡氏の運営しているWebページを見ると「正式な名称を知っている方はメールで教えてください」的な意味のことが書かれているので、彼が提唱したこの名称も、いわば「便宜的」なものであるということが出来る。しかし、特に誰も気にしなければ、この名称のまま定着していくであろう。

脚注[編集]

  1. 『錯視と芸術』p.427-435。編、後藤倬男田中平八。錯視の科学ハンドブック、東京大学出版会。ISBN 978-4130111157。

関連項目[編集]