過塩素酸

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過塩素酸(かえんそさん)とは、塩素のオキソ酸の1つ。化学式はHClO4で、水によく溶ける。水溶液は強酸性を示す。後述の通り、かなりの危険物質として知られている。

データ[編集]

  • 常温での状態 - 無色透明の液体
  • 融点 - 19℃ (1.47×103Paのとき)
  • 沸点 - 203℃ (共沸)
  • 水に任意の割合で溶ける
  • 密度 - 1.768g/cm3
  • 分子量 - 100.46

概要[編集]

強酸ではあるが、その電離度は希薄水溶液中の場合、塩酸硝酸と同じ位になる。消防法で危険物第6類に指定されている。

製法[編集]

Cl2O7+H2O→2HClO4

また、過塩素酸カリウムに濃硫酸を加えて減圧蒸留すると単離する。この方法は硫酸を使用して硝酸塩化水素を単離する場合と似ている。

KClO4+H2SO4→KHSO4+HClO4

恐ろしい反応[編集]

塩素のオキソ酸としては最も安定だが、たったの3〜4日で七酸化二塩素と過塩素酸一水和物に分離してしまう。また、有機物に触れると爆発しやすい。

水にはかなりの熱を出して溶け、溶解熱も88.75kJ/molとモル量あたりでは水酸化ナトリウムのそれを凌駕する。[1]

揮発はしにくく、硫酸と同様に希薄水溶液を服につけるとそれだけで穴が空いてしまうこともある。

過塩素酸の70%混合液と発煙硝酸を混ぜ合わせた場合他の物質をさらに酸化しやすくなり、有機物を酸化分解したいときに使用できる。

酸解離定数はpKa=-8.6あるいは-9.9程度となる。溶媒を水以外にしても強酸性を示す。

イオン[編集]

1価の陰イオンで、塩素原子を中心とした正四面体型構造をもつ。希薄水溶液中では酸化しにくくなるが、その一方で酸化作用自体はかなり高い。

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過塩素酸の塩は爆薬として用いられることが多い。有機物でなくても炭素や硫黄、金属等と触れるとちょっとした衝撃で大爆発してしまう。この結果、消防法では危険物第1類に指定されている。多くの塩は水によく溶けるが、カリウムやルビジウムの塩などは水にあまり溶けない。

固体ロケット推進剤にはよく含まれており、現在では過塩素酸アンモニウムが主に使用される。過塩素酸リチウムについては質量辺りの酸素量が最も多いため、実用化に向けて調査中である。

購入[編集]

当然のごとく、一般人や個人が希薄水溶液を購入できる箇所はほとんどない。モノタロウでも研究者や法人向けにしか販売していないことがわかる。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 質量あたりでは水酸化ナトリウムのほうが溶解熱は高くなる。