谷山・志村予想

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谷山・志村予想(たにやましむらよそう,Taniyama–Shimura conjecture)は日本の数学者志村五郎が定式化した数学上の難問である[1]。現在はアンドリュー・ワイルズにより証明されている。「志村・谷山・ヴェイユ予想」「谷山・ヴェイユ予想」「ヴェイユ予想」「モジュラー性定理」または「モジュラリティ定理」とも呼ばれる。

概要[編集]

「谷山・志村予想」とは次の定理である。

  • 「有理数体上の楕円曲線はモジュラー関数(modular function)で一意化(uniformization)される」

すなわち「楕円曲線」と「保型形式」とがうまく対応する、という予想である。

1980年代,数学者ゲアハルト・フライは「谷山・志村予想が正しければ,フェルマー予想も正しい」と言明した。1990年、 K. Ribet によりフェルマーat 予想 は「谷山・志村予想」に帰着された。つまり、谷山・志村予想を証明するとフェルマー予想も証明される関係にある。

予想に谷山の名前が付いているのは,1955年に日光で行われた東京日光国際代数的数論シンポジウムにおいて数学者の谷山豊が楕円曲線と保型形式(automorphic form)との関連について問題の形で言明したことにより、原型となる予想が問題として提出されたからである。後に志村五郎により現在の形に精密化された。

証明[編集]

1990年代前半から中頃にかけて,アンドリュー・ワイルズが,半安定(semi-stable)な楕円曲線に対して「谷山・志村予想」を証明し,その副産物としてフェルマー予想を証明した。

アンドレ・ヴェイユ[編集]

フランスの数学者アンドレ・ヴェイユの名前が登場する理由は,彼がこの谷山・志村予想に関連するいくつかの論文を発表したことによる。 しかし数学者サージ・ラングはヴェイユの発言を徹底的に調べ、予想の成立にはなんの貢献もしていないと断定している。

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  1. 志村五郎(2008)『 記憶の切繪図』 筑摩書房