覚えてないけど、キミが好き

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覚えてないけど、キミが好き』(おぼえてないけど、キミがすき)は、比嘉智康による日本ライトノベル作品。イラストは希望つばめ

概要[編集]

2012年4月20日に一迅社文庫より刊行されたライトノベル作品。

ストーリー[編集]

小衣吉足は、妹の小衣ひなたを助けるために自分の運を知られないようにこっそりと吸わせていた。そんなある日、自分の恋人だったという浅海ゆららが転校してくる。ゆららは吉足とよりを戻したいと言う。ゆららはひなたのために自分も協力しようとする。ゆららがひなたに運を吸われてから住む場所をなくしたことを知って、吉足は自宅に招いてひなたとゆららとの三人暮らしをすることになった。

登場人物[編集]

主要人物[編集]

小衣 吉足(こい よしあし)
本作の主人公。北栄台高校二年A組の男子。あだ名は「小吉(しょうきち)」。母親は立派な名前をつけられたためにプレッシャーになったということで、プレッシャーを感じて欲しくないと人生には善いことも悪いこともあるということで吉足という名前が付けられた。
三年前の夏に父親と母親と妹で家族旅行に行って温泉街の旅館に泊まったところ、火災が発生して両親を失う。そして、当時中学生だった妹と両親と一緒に住むはずだった新築の家出二人で暮らすことになった。中学二年生だった吉足は親しい人との記憶がなくなってしまう。中学二年生以前の人間関係の記憶はなくなったため、新しく人間関係を築いていくことになった。
記憶喪失になってもひなたの運を吸わないと生きていけない体質の事だけは覚えている。抱き合うことで無意識に相手の運を吸ってしまうひなたに体質のことを秘密にしながら、毎朝5秒間妹にハグしている。そして、ひなたが他の人に抱き付こうとすると引き離している。毎日、ひなたに運を吸わせているため鳥に糞をよく落とされるなどの不幸体質。
誰にもひなたの体質のことは秘密にしていたが、元恋人だというゆららにそのことを知られてしまう。そして、ゆららの申し出によって運を吸わせる協力をしてもらうことにする。ゆららの住む場所がないということを知って、自宅に連れて行ってひなたの許可をもらって三人で暮らすことにした。ゆららがきたことでひなたと喧嘩してしまったりもしたが、仲直りする。
ゆららがきた翌日にひなたが寝ぼけてベッドに潜り込んで吉足に長時間抱き付いてしまう。これによって一日中様々な不運に襲われる。ゆららと一緒に屋上にいたら閉じ込められてしまった。屋上から落ちてしまいそうにもなって、不運に巻き込みたくないとゆららを突き放そうとする。そんな吉足にゆららはファーストキスをささげるのだった。そして、お互いに気恥しくなったが、帰りのホームルームが始まる頃に救出された。
学校から帰ってみると、ひなたの不運体質に付いて話している会話が録音されていてそれをひなたが聞いてどこかに言ってしまったことを知る。そして、ひなたを探していくも中々見つからなかったが、前にうまい棒を一緒に食べるという約束をしたことを思い出して河川敷に行ってひなたを見つける。そこで、吉足に謝罪をしながら両親は自分の体質のせいで死んだのではないかと悩むひなたが遠くに行ってしまうような気がして、吉足は大丈夫と言いながら抱き付く。そして、川に落ちる不運もあったものの、後から来て川に落ちたひなたを救出したゆららも含めて三人で一緒に帰るのだった。
偶然にもアミューズメントプール施設『みずいろ王国』のペア招待券が当てる。そして、ゆららとひなたの三人でプールに行く。二人のビキニ姿を堪能する。そんな中でクラスメイトの白鳥が紅丸との出来事をきっかけに入水自殺しようとしている現場に居合わせる。三人で自殺をとめようとしたところ、ゆららが白鳥のビキニを間違って取ってしまって、吉足は白鳥の首を見てしまう。後からやってきた紅丸に吉足はブッ飛ばされてしまうのだった。溺死しかけるも何とか無事に男子更衣室に戻る。そこでバスタオルを忘れたことに気づいたところで、ゆららが男子更衣室にバスタオルを届けにやってくる。そんな中で、男子が更衣室に入ってきたために思わずゆららと一緒にロッカーの中に入ってしまう。そこでゆららが興奮してしまってキスしそうになったところでひなたが現れる。そこで倒れた拍子にひなたの乳を揉んでしまって自分の男性器をひなたに見せてしまっている。
二学期が始まって一カ月が経った頃に「シスコン」というあだ名で呼ばれるようになる。ゆららに迫られてもヨリを戻さないのはひなたがいるためという噂が広まったため。シスコンというあだ名で呼ばれるのを止めるためにゆららとひなたと相談するも良い案が浮かばないまま終わった。
ゆららと一緒に両親が死んだ温泉街に修学旅行に出かけることになる。ひなたも運を吸わせるためにこっそりと一緒に連れて行く。そこで女の子の前でアダルトチャンネルを見るというシチュエーションになったことで記憶を取り戻す。中学二年生の時も温泉街でアダルトチャンネルを見て自慰をしているときにひなたに見られており、同じシチュエーションになったことで記憶を取り戻したのだった。これによって、ゆららだけではなくひなたのことも女として意識するようになる。
尻に北斗七星みたいなほくろがある。ピーマンが苦手。
浅海 ゆらら(あさみ ゆらら)
本作のヒロイン。黒髪巨乳の美少女。北栄台高校二年A組に転入してきて、吉足とクラスメイトとなる。北栄台高校に転入してきたのは吉足とよりを戻すためであり、そのことを言ってクラスは騒然となった。これによって、吉足は校内の男子から嫉妬されることとなる。
実家は探偵事務所だが、陰謀があると考えてしまうために推理は全然当たらない。探偵事務所でもお茶くみとコピー取りと炊事洗濯しかやっていなかった。白鳥が美術で作った石膏の手が盗まれた事件では、一週間分のアリバイを求めたりするなどして迷走させる。そして、犯人を女子と手をにぎりたいができなかったために石膏を盗んだ内気でピュアな人物が犯人という迷推理を披露。その間に事件は解決したが、それでも黒幕を探そうとするなど事件を複雑化させようとした。この事件でクールビューティーな美少女浅海がポンコツ探偵ということがクラスに知れ渡った。
小学四年生にラブレターをもらってから中学二年生の春に吉足に振られるまで吉足と恋人関係にあった。吉足に「俺の側にいると不運になる」と土下座までされたことで、泣く泣く別れを受け入れた。別れた後に吉足は転校してしまったが、高校二年生になっても忘れられずにいた。そして吉足の身辺調査をすることにして、吉足が様々な不運にあっていることを知る。そして、着ぐるみを着て接触した時にひなたに抱き付かれてから自分の身にも不運が襲ったことで、ひなたの不運体質のことをいい当てた。そして、吉足が不運を吸わせていたことを推理する。これが、ゆららが自分の推理で謎を解明した初の出来事となった。
ひなたに抱き付かれた後に引っ越し先のアパートが火事でなくなった。大家は敷地礼金と二か月分の家賃をもって夜逃げして、公園で野宿することになる。両親には毎月の仕送り内でやりくりするという約束で一人暮らしと転校を認めたもらったため、来月の仕送りまで一日百六十円しか使えなくなってしまう。そのため、そのことを知った吉足が自宅に招いてひなたの許可をもらって一緒に暮らすことにした。
遠慮がちな性格のため、一緒に暮らし始めてからひなたとはぎこちなかった。それでも、ニンジンが苦手なのにひなたの作ってくれた肉じゃがに入っていたニンジンを一生懸命食べようとした。その結果、ゲロを吐きそうになってしまって申し訳なくなる。そこで、ひなたに遠慮しないでと言われたことで遠慮が消えて話すようになり、それまでの「ひなたさん」という呼び方から「ヒナ」という呼び方に変える。
翌日にねぼけたひなたに長時間抱き付かれてしまって様々な不運に襲われていた吉足の側に行く。そして、自分から離れさせようとする吉足に自分のファーストキスを捧げて、吉足の側にいることで不運ではなくて幸運になれると証明する。そして、帰りのホームルームになって救出されるまで気恥ずかしくなっていた。
学校から帰ってみると、ひなたの不運体質に付いて話している会話が録音されていてそれをひなたが聞いてどこかに言ってしまったことを知る。そして、吉足と別れてひなたを探す。吉足がひなたのことを見つけて説得した後、ひなたが川に落ちたところで現れてひなたを救出。吉足とひなたの三人で一緒に家に帰るのだった。
料理の腕前は低い。時々、興奮しては吉足に迫っている。
小衣 ひなた(こい ひなた)
吉足の妹。吉足のことは「お兄ちゃん」と呼ぶ。高校一年生。身長はやや低めだが胸は大きいロリ巨乳。好奇心旺盛で、少しでも気になったことには積極的に関わっていく。料理の腕前は高い。
校内の男子から「カワイイの神様」と呼ばれるほど人気がある。そのため、校内で兄と二人暮らしをしているということで噂されるのを防ぐために学校では他人の振りをしている。そのため、兄と一緒に出かけるときも学校から遠い場所を選んだりしている。
抱き合うことで無意識に相手の運を吸ってしまう体質を持っているが、本人は気づいていなかった。抱きあうことで衣服越しであっても運を吸ってしまう。毎日運を吸わないと生きていけない体質であり、運を吸わないと存在が希薄になっていく。
吉足がゆららを連れてきたことで三人暮らしとなる。友達は多いように見えるが、人見知りなところもあってゆららとは当初はぎこちなかった。ゆららがニンジンを無理して食べようとしてゲロを吐きそうになったことで、妙な親近感を覚えてゆららに人見知りしなくなった。そして、ゆららのことを「浅海さん」という呼び方から「ユラ」という呼び方に変えた。しかし、その晩に洗濯物を巡って嫉妬してしまって吉足と喧嘩してしまう。その後、テントでゆららに吉足がいることに気づかずに、吉足のことが好きだと教える。そのことを聞いていた吉足は、洗濯物は三人分一緒に洗ってひなたとゆらを同じ扱いにすることを提案。吉足が好きだということを聞いていたことを知らないゆららはそれで機嫌をなおして仲直りした。
ゆららがきた翌日に学校に行って帰ってみると目覚まし時計に偶々録音されていた自分の体質に関する話を聞いてしまう。そして、家を出て河川敷にいたところに吉足がやってくる。そして、吉足に謝罪しつつ自分の体質のせいで両親が死んだんではないかと悩む。そんなひなたを大丈夫と言いながら吉足が抱き付くのだった。そして、後から来たゆららと一緒に家に帰っていくのだった。
中学一年生の時に吉足とファーストキスをしている。自分の体質を知った後は、二人に協力を頼みつつも二人にどんな不運が起きたのかを教えてもらうことにした。そして、肩たたきで奉仕することにする。
吉足に妹としか見てもらえないことを嫌がる。吉足は記憶喪失によって覚えていなかったが、中学一年生の頃に実母の連れ子としてやってきた義妹。当時の吉足の姓も「藤原(ふじわら)」だった。吉足が記憶を取り戻して嫌な思いをしない様に隠していた。

北栄台高校[編集]

生徒[編集]

馬場園 愛男(ばばぞの まなお)
吉足のクラスメイトの男子。乾燥肌になる勢いであぶらとり紙で皮脂をとることが多い。ゆららと元恋人だったという吉足を羨ましがっている男子の一人。
寝たら嫌なことは忘れるが、良いことは覚えているという自分の記憶を都合のいいように解釈できる。ひなたにお金を払って弁当を作ってもらおうともしたが、玉砕している。修学旅行ではバスガイドに一目惚れして告白しようと画策。バスガイドは人妻でそのときに乗っているバスの運転手が夫だったが、構わずに告白しようとしていた。しかし、エロ本を巡って吉足を貶めようとしていたことがばれてバスガイドに玉砕。旅館ではアダルトチャンネルを見るために必要な有料チャンネルのカードを大量に購入。男子たちにそれを売って儲けるのだった。
白鳥(しらとり)
吉足の同級生。黒髪ロングでお淑やかな少女。紅丸の彼女。紅丸のことを「ベニ君」と呼んでいる。生け花部員。
紅丸に金がないからとデートを断られたことで浮気をしているのではないかと疑う。そんな中で、美術で作っていた自分の手の石膏を盗まれたことに不安を覚える。すると、紅丸が自分が石膏を盗んでいたと言って謝罪。実は、紅丸がお小遣いを貯めて白鳥への指輪をプレゼントするためにサイズを調べるために石膏を借りていた。浮気の疑惑もなくなって、油夫輪をプレゼントされたことを喜んだ。
かなり嫉妬深い性格で、紅丸が他の女の人を5秒以上みつめていたら浮気と認定する。プール施設「みずいろ王国」で紅丸が他の女の人の下乳を2秒間見つめたことで、愛されているという自信がなくなる。そのことを知った紅丸は潜水して愛を証明しようとする。それによって紅丸は意識を失って人命救助をされるのだが、人工呼吸をしたのが女性だったことでさらに嫉妬。そして、女性に不幸になれと願った自分のことを最低の人間として入水自殺しようとする。その現場に居合わせた吉足、ゆらら、ひなたが自殺を止めようとする。そのときにビキニが外れて吉足が白鳥の乳首を見てしまって、やってきた紅丸に吉足が殴られる。焼きもちをやいた紅丸のことが嬉しくて無事に仲直りするのだった。
紅丸 孝太郎(べにまるこうたろう)
白鳥の恋人。白鳥のことを「しーちゃん」と呼んでいる。
自分と白鳥の誕生日の中間の日を祝うために、内緒で小遣いを貯めていてデートも断っていた。そのため、白鳥に浮気を疑われていたが、指輪をプレゼントして喜ばれる。そして、指輪のサイズを知るために白鳥の石膏を盗んだということを謝罪して、クラスに騒ぎを起こしてしまったと頭を下げた。
松本(まつもと)
吉足のクラスメイトの男子。
宇部(うべ)
吉足のクラスメイトの男子。
助川(すけがわ)
吉足のクラスメイトの男子。お調子者。
米澤(よねざわ)
吉足のクラスメイトの男子。ボディービル部所属。

教師[編集]

体育会計
吉足のクラスの担任教師の男性。体育会計はあだ名。公認会計士から高校の体育教師に転職した経歴の持ち主。
女子高生と触れあいたくて教師となった。好きな言葉は依怙贔屓。
静野 優男(しずの やさお)
美術担当教師。創作活動に没頭しているときは自分だけでなく他の人の作品までたたき割ってしまうことがあるため「バーサーカーティーチャー(通称BT)」とも呼ばれている。BTに自分の作品をたたき割られた生徒は罪滅ぼしとして最高評価の成績5をもらっている。

用語一覧[編集]

北栄台高校(ほくえいだいこうこう)
吉足たちの通っている高校。
バイパス
吉足が流行らしたエロ本の隠語。

単行本[編集]

一迅社文庫一迅社)より刊行。

巻数 初版発行日 ISBN その他 サブタイトル
覚えてないけど、キミが好き 1 2012年5月1日(2012年4月20日発売) ISBN 978-4-7580-4314-4
  • 第一話 小衣吉足の必然的な受難
  • 第二話 浅海ゆららの登場
  • 第三話 浅海ゆららの推理
  • 第四話 同居生活のお願い
  • 第五話 同居生活〜夕食&自己紹介
  • 第六話 同居生活〜洗濯とテントと今日の寝床〜
  • 第七話 小衣吉足の最も不運な日
  • あとがき
覚えてないけど、キミが好き 2 2012年11月1日(2012年10月20日発売) ISBN 978-4-7580-4372-4
  • プロローグ 前回までのあらすじ
  • 第一話 平日早朝的不運
  • 第二話 俺達がプールに行くその前に
  • 第三話 乳女神
  • 第四話 紅白カップルのデート
  • 第五話 男子更衣室ロッカー物語
  • 第六話 そのあだ名は勘弁してくれ
  • 第七話 シスコンじゃない証明
  • 第八話 ひなたの秘密
  • 第九話 修学旅行のバスの車内で
  • 第十話 アダルトチャンネル……そして
  • あとがき

外部リンク[編集]