西宮記
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西宮記(さいぐうき/さいきゅうき)は、平安時代に源高明により作成された有職故実書である。成立は平安中期とみられている。10世紀の宮中儀式の内容とその由来について詳しく知るための根本史料とされる。国史や日記などから事例を引用しており、史料価値が高い。
概要[編集]
村上天皇の時期の公事や朝儀、臨時の儀式、作法・装束・制度などについて漢文で表されている。『西宮記』の内容は恒例と臨時に分かれる。「恒例の部」では正月から12月に至る年中行事の次第が記され、「臨時の部」では臨時儀式の次第や、装束等の儀礼、政務のあり方などが記されている。恒例の十二月条に御仏名・追儺が記載されている。
儀式・故実の書は9世紀には官撰書として『儀式』『内裏式』などが編纂されるが、10世紀以降は私撰書が現れ始め、本書は私撰のうち現存最古とされている。ほかに、藤原公任の『北山抄』、大江匡房の『江家次第』が知られている。
成立年代[編集]
高明の邸宅は平安京の右京(四条北大宮東(錦小路南朱雀西とも伝える))にあったので、西宮左大臣と呼ばれていた。高明は969年の安和の変で失脚する。変のあと大宰府に送られた息子の源俊賢に有職故実を伝授するために執筆されたとする見解がある[1]。この説に従うなら、969年ころの成立と推定される。
異本[編集]
三種類以上の異本が存在している[2][3]。写本の巻数はまちまちであり、内容もかなりの異同がみられる。
- 尊経閣文庫蔵書 - 巻子本18巻
- 東山御文庫蔵書 - 巻子本3巻(恒例1月分1巻、臨時2巻)
- 宮内庁書陵部蔵書 - 巻子本17巻(恒例8巻・臨時9巻) 恒例・臨時のうちそれぞれ2巻は江戸時代の写本。壬生官務家旧蔵で、通称壬生本と言われる。13巻は室町時代初めおよびそれ以前の書写である。