芝棟
ナビゲーションに移動
検索に移動
芝棟(くれぐし)とは、茅葺屋根や藁葺屋根の棟の部分に据えられる小植物群落である。
概要[編集]
イチハツ、ヤブカンゾウやノカンゾウ、イワヒバ、アヤメ、ヤマユリやオニユリやアマドコロを含むユリ科植物のニラやギボウシなど「乾燥に強く根張りのよい」植物が多く用いられる(ニンニクが用いられた例は確認できていない)。その他キキョウ、オミナエシ、カワラナデシコ、ワレモコウなどやアカマツ、シラカンバ、ニシキギなどは確認されているという。アヤメやカキツバタやハナショウブの例も知られているが、これは水はけを考えてのことだろうか。
なんにせよ遠目に見える陽当りがよくて雨当たりのいい場所に大きめのプランターを置いておいて放ったらかしにしておくとビオトープになって花も見えるという素晴らしい発想である。
人間生活との関わり・利用[編集]
瓦屋根であれば鬼瓦や水煙などが据えられるが、草葺屋根ではそうはゆかない。
防水性のある草を「棟側を根、軒側を葉」として葺くことはできるが、棟の部分は切りっぱなしの茎の断面なので、水が当たれば当然腐る。そこで、「芝生を切りとって葉先を下にして棟に張り、そこに(おそらくは火伏せや魔除けの意味を込めて)何かの草を植える」というのがおそらく芝棟の起源であろう。ジャーマンアイリスが好適である。ナズナは「ペンペン草が生えている」というのは験が悪いので避けたい。そんなわけでいろいろと工夫がされていて、「屋根の花園」として完成形に近づいたのが現代に継承されている芝棟である。
参考文献[編集]
- 亘理俊次『芝棟 ― 屋根の花園を訪ねて』