色覚バリアフリー

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色覚バリアフリー(しきかく - )とは、多様な色覚を持つ人に配慮し、なるべくすべての情報をあらゆる人に正確に伝えられるようにする取り組みである。表示方法を工夫する「カラーユニバーサルデザイン」(CUD)の動きは印刷、広告業界などを中心に広がっており、学校教科書や鉄道路線図、各地のハザードマップなどにも採用されている。

概要[編集]

「エ」の字、識別しにくいものはありませんか?(参考)

日本男性の5パーセント、女性の0.2パーセントが先天的に特定の色同士を区別しにくい「色弱者」とされている。外見上の違いは無いうえに、生活上の困難もあまりないため、周囲も本人も気付かないことが多い。

いわゆる色弱者のうち多数を占めるP型とD型の場合、例えば赤と緑が区別しづらい。これにより困ることとして「焼肉のときに肉が焼けたかわからない」「マリオカートの赤い甲羅と緑の甲羅が見分けられない」などが挙げられる。しかし、生まれた時からこの色覚で育ってきたため、生きていくうえでの支障はほとんどないという。

対策方法[編集]

見分けやすい色を選ぶ[編集]

先天的に持つ色覚で分類すると、一般色覚者(C型)と色弱者(P型、D型、T型、A型)に分けられる。これ以外にも、緑内障や白内障など、後天的に色の判別に支障をきたす疾患も存在する。

色弱者の見え方をシミュレーションするためのPC用ソフトやスマートフォンアプリも存在する。しかしこれは「どのような色が見分けづらいか」を示せるものの「どうすれば見分けやすくなるか」を示すことはできない。また、ツールの精度には限界があるため、実際の被験者による検証実験も必要である。

これに対する要望から、多くの人が見分けやすい配色を実現する「色覚の多様性に配慮した案内・サイン・図表等用のカラーユニバーサルデザイン推奨配色セット」が用意されている。通常はこれを使えば問題ないだろう。この配色セットは気象警報や津波警報に使用されているほか、鉄道の路線図や雑誌などにも普及し始めている。

色だけで区別しない[編集]

見分けやすい色を選ぶといっても、色の再現性には限界があり、自分は同じ色だと思っていても相手には別の色として見えている可能性もある。

これに対処するために、例えば色だけでなく形でも区別したり、色名を併記するなどが考えられる。色名併記の身近な例としては、デジタル放送を受信できるテレビの4色ボタンなどが挙げられる。また、営団地下鉄(現・東京メトロ)の路線シンボルが単なる色付きの丸だったのが、丸の中に路線記号を入れることで色が見分けられなくても路線を区別できるようになったことも、カラーユニバーサルデザインの事例として挙げられることがある。

これは色覚の多様性にとどまらず、白黒印刷の場合にも区別可能になるという大きなメリットが存在する。