胸いっぱいの愛を
『胸いっぱいの愛を』(Whole Lotta Love)は英国のロックバンド、レッド・ツェッペリンが1969年に発表した楽曲。「レッド・ツェッペリンII」の一曲目に収録され、彼らの代表曲となった。通称「わなほらら」。
概要[編集]
クレジットはジミー・ペイジ、ロバート・プラント、ジョン・ポール・ジョーンズ、ジョン・ボーナムだったが、後述する「You Need Love」をマディ・ウォーターズに書き下ろしたウィリー・ディクスンも後年裁判の結果加えられた。録音はロンドンのオリンピック・スタジオ、レコードでの演奏時間は5分33秒。
曲調[編集]
ジミー・ペイジによるブルージーなリフにロバート・プラントがブルースナンバーの「You Need Love」やその改作「You Need Lovin'」等からの引用[1]を交えつつシャウトし、申し訳程度のサビとして「Wanna whole lotta love」という歌詞がコーラスされる。中間部はコンガの乱れ打ちやギターのフィードバック、プラントのアンアン言うあえぎ声、テルミンによるフリーな演奏が行われる。ドラムブレイクとギターの切れ味鋭いソロが終わると再びリフと歌が始まり、「You need Lovin'」風の独唱部分が終わると再びリフが奏でられ、次第に曲はフェードアウトしていく。プラントの歌は半分程度は引用と呼ぶべきかパクりと呼ぶべきか難しい所ではあるが、個性は強く主張している。
ライヴ演奏[編集]
1969年4月26日のサンフランシスコ、ウィンターランド・ボールルームで試験的に初めて演奏されたが、それ以前からリフのみは断片的にライヴで披露されていた。5月中にはスタジオ録音され、11月には短縮版のシングル盤が英国以外の各国で発売され、米国ではビルボードのチャートで4位を記録、100万枚以上の胸いっぱいのセールを記録したがバンド側は1969年の間はなぜかあまり積極的に演奏をせず、1969年最後の演奏であるパリ公演で「ハウ・メニー・モア・タイムズ」に無理矢理インクルードして演奏することもあった。[2]
その後1970年の英国ツアーからは正式にセット入りし、アンコールでレコードに忠実な演奏がされたが、バス・フェスティバル出演時には即興演奏部分が増え、バンドの過去の曲や、ブルースやフォークなどの彼らのお気に入りオールディーズナンバーから当時の流行曲までを取り入れた20分から30分にもわたる演奏でライヴのハイライトとなった。[3]
1973年の米国ツアーからは「ハートブレイカー」から導入される形で演奏され、カヴァー部分を縮小した。1975年はアンコールの一曲目としてインプロ部分から「ブラック・ドッグ」へと移行する演奏となり、1977年は曲途中から「ロックン・ロール」へと移行する演奏スタイルになった。1979年は曲中間でペイジがリフを様々に変化させながらそれにプラントが絡むという独自アレンジとなったが、ペイジの不調によるメンバー間のコミュニケイション・ブレイクダウンによって不安定な演奏となった。1980年のツアーでもアンコールで演奏され、彼らがライヴで最後に演奏した曲となった。
脚注[編集]
- プリンスをはじめ50組以上のアーティストによるカヴァーが存在し、ハードロックの名曲として後世に与えた影響は大きい。
- 2008年の北京オリンピック閉会式では女性歌手レオナ・ルイスとジミー・ペイジが登場しこの曲を披露した。
- ↑ スモール・フェイセス版のスティーヴ・マリオットの歌もかなり熱いシャウトを聴かせるので必聴。
- ↑ 1971年の武道館公演では「胸いっぱいの愛を」に「ハウ・メニー・モア・タイムズ」がインクルードされ主従逆転した。
- ↑ このリストを見ると彼らのライヴでのカヴァーがいかに厖大かわかる。 http://www.ledzeppelin-reference.com/geekbaseweb/artistresultpage.aspx?toggle=0&sort=0