糸島市・福岡市連続放火事件
糸島市・福岡市連続放火事件(いとしまし・ふくおかしれんぞくほうかじけん)とは、福岡県において起きた放火事件である。その後の捜査で起訴されたKは、無罪判決が確定している。
概要[編集]
2009年11月28日未明、福岡県糸島市の男性A宅の勝手口や駐輪場に灯油をまかれて放火され、約3平方メートルが焼損。2010年1月には福岡市東区の駐車場に止めてあった男性Aの妻の車が一部燃える騒ぎが発生した。
警察は、放火事件として捜査。男性Aと不倫関係にあったKを逮捕。Kは、一貫して容疑を否認したが、男性A宅の放火の現住建造物等放火と、車への放火の現住建造物等以外放火の容疑で起訴した。なお、Kは、別件で男性A宅付近に中傷ビラを張り付けたりしたなどとして、名誉棄損行為で訴えられた。
裁判経過[編集]
裁判で、Kが犯行を否認。目撃証言や自白といったKの犯行を示す直接証拠はなく、状況証拠で犯行の認定ができるかが争点となった。
2011年3月18日に福岡地裁(田口直樹裁判長)は、部分的に有罪として、懲役4年(求刑懲役7年)を言い渡した。判決では、K宅のパソコンに中傷ビラのデータが保存されていたことなどから、名誉棄損行為を認定。2009年11月の男性A宅の放火は、男性A宅付近に中傷ビラを張り付けたり、無言電話をするなどの迷惑行為を行っていたことを考慮したうえで、Kと同じ特徴の車が犯行時刻前後に男性宅近くのコンビニの防犯カメラに写っていた映像などの状況証拠から、Kの犯行だとした。車の放火については、「被告が犯行現場にいたことなどを証拠はない」として、無罪とした。検察側は、無罪部分に対して控訴せずに無罪が確定。弁護側は、有罪部分に関して控訴した。
2011年11月2日、福岡高裁(陶山博生裁判長)は、1審の有罪判決を破棄して無罪判決を言い渡した。裁判員裁判での有罪判決を控訴審で破棄して全面無罪とする判決は2例目で、審理された2つの事件を控訴審で全面無罪したのは初。判決では、Kが男性A宅付近に行った可能性があるとしながらも放火のために行ったとは立証できていないとし、Kにしか犯行機会がなかったとはいえず、状況証拠からKが犯人であると立証できないとした。判決を不服として、検察側は最高裁に上告。
2013年9月5日、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は、検察側の上告を棄却[1]。無罪判決が確定した。