白銀の救世機

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白銀の救世機』(はくぎんのゼストマーグ、XECTMARG OF SILVER SNOW)は、天埜冬景による日本ライトノベル作品。イラストは黒銀

概要[編集]

2012年12月よりMF文庫Jから発売。第8回MF文庫Jライトノベル新人賞で『白銀新生ゼストマーグ』のタイトルで最優秀賞を受賞した天埜冬景による作品となる。

ストーリー[編集]

300年前に「アウター・スノウ」と呼ばれる物理的な熱で溶けない雪が降り注いだ世界。食糧難だけでなく、「アウター・スノウ」を食料として活動する未確認生命体「XENO(ゼノ)」が現れて人類は滅亡の危機に陥る。残された人類はXENO化して、「アウター・スノウ」を食料とする生命体・ゼノイドへと進化する。

冬世界暦311年で生きているアルツは、ゼノイドでありながらも感情があって周囲に馴染めないでいた。そして、廃棄するかどうかを決める適性試験を受けることになる。そこでナユキという旧人類の少女と出会って一緒に行動していくことになる。

登場人物[編集]

主要人物[編集]

アルツ・ジオフロスト
本作の主人公。ゼノイドでありながら感情があり、周囲と馴染めずにいた。ゼノ・トランサーも扱うことができない劣等生で、選抜試験を受けて廃棄処分をされるかどうかを決められることとなった。
トリケラ級を倒す選抜試験でまったく歯が立たずに死を受け入れようとする。そんなときにモニターの地図に白銀転生と書かれた文字を見つけてその場所に行ってみる。そこで、人工冬眠していた旧人類のナユキを見つける。感情を見せるナユキを見て求めていたものを見つけたと喜ぶ。そして旧人類になることを目標とするようになり、ナユキと行動を共にする。
ナユキを見つけた後に、妹のリステルがXENOに襲われたために助けたいと思い、ナユキと一緒に《ゼストマーグ》に乗ることになる。そして、XENOを倒してリステルを救出することに成功。そして、留美のことが分かるかもしれないと要塞都市アカツキに戻ることを提案して、ナユキと共に向かう。そして、ノア機関でミーネも加えて一緒に行動することになる。ナユキにミーネと一緒にイデアの訓練を受けたり、ナユキとミーネと一緒にお風呂に初めて入ったりする。そして、今まで雪を食べることに対して疑問を抱いていたが、初めて白米を食べて涙を流すのだった。
他のゼノイドと同じく、男女の差がよく分かっておらずに裸が恥ずかしいという概念はあまりない。
実は留美が本当の母親でリヒトが本当の父親という人間とゼノイドの間に生まれた子供。留美の姿をしたXENOを巡ってナユキと喧嘩をしてしまった後に見つけた映像でそのことを知る。その映像を見てミーネを説得してナユキを一緒に助けに行くことにした。ナユキ、リステル、ミーネのイデアの波長を合わせて、ゼストマーグを進化させて留美を利用したXENOを破壊することに成功した。
自分の感情をイデアの力で目覚めさせたと怒るフランと何とか仲直りしようとする。模擬戦などがあった後に、フランに言われてゾット司令のところに単独で行って感情に目覚めたゼノイドの強制処分命令を撤回させるように説得してくることになる。途中でXENOによって致命傷を受けたミントという少女と出会い、フランをよろしくと言って息絶えた。そして、受け取ったうさぎのぬいぐるみをフランに渡して、ミントがずっと後悔していて生きてと言っていたことを伝えた。そして、要塞都市に現れたXENOを退治するためにナユキたちと一緒にゼストマーグに乗って向かう。
大量の敵が現れるなかで、ゾットに都市を守る代わりに強制処分命令によって逃亡したゼノイドは容認するという条件を出されて了解する。そして、要塞都市に押し寄せたXENOを生み出していた超巨大XENOをゼストマーグを一緒に動かすナユキたちや戦艦「サウス・エンド」を動かすフランたちの協力で撃破した。
クーラの計画を阻止した後は、ナユキたちと共に外の世界に行って、世界を救う手がかりを探しに行く。
ナユキ / 猫間 那雪(ねこま なゆき)
アルツによって人工冬眠から目覚めた旧人類の少女。アルツを最初は裏切り者のゼノイドとして敵視するも、アルツが感情を持っているため憎みきれなくなる。そして、留美を生きていると信じて探すことにする。
《ゼストマーグ》にアルツと一緒に乗ってリステルを救出する。その後、留美のことが分かるかもしれないと聞いて要塞都市アカツキに向かう。そこで、クーラによってノア機関を紹介される。そして、そこで出会ったイデアの才能にあふれているがトラウマによって精神的に不安定となっているミーネを弟子にした。
胸はあまり大きくなく、ミーネの巨乳を羨ましがったりもする。アルツたちが男女の差を意識しておらず、裸になっても羞恥心がないことに戸惑う。そのため、幼児とおなじようなものだと納得して、バスタオルを巻きながらもアルツやミーネと一緒にお風呂に入ったりしている。段々と女性に触れたり胸を見たりすると感情が動くようになっていく。
20年前に留美が冬眠から目覚めてリュミエール・ベフライアという名前でアカツキにいたことが判明。ホワイト・ホライゾンに飛び込んだと聞いて、心がどうなってもいいと自暴自棄になって向かおうとする。留美が死んだということを受け入れられず、人型のXENOを留美と思い込もうとする。イデアの力も十分に使えなくなり、アルツと喧嘩して、自分の居場所は留美の隣にしかないと生身で都市の外へ出る。XENOによってやられそうになるも、アルツやミーネが助けにきた。そして、アルツに謝罪して仲直りする。そして、留美を利用したXENOを破壊。留美の最期の言葉を聞いて世界を救うと誓う。
クーラの計画に一度は協力するも、アルツたちが来たことで離反。クーラの計画を共に阻止した。そして、アルツたちと一緒に外の世界を見に行くことになった。
リステル
アルツの妹。准機士の階級でアルツを飛び越して飛び級で訓練学校を卒業した優等生。《零距離戦闘の女王(アブソリュート・ゼロ)》と呼ばれる。一人称は「僕」。アルツのことは「兄さん」と呼ぶ。
アルツの選抜試験の試験監督をすることになる。そこで、XENOに襲撃されて敗北を覚悟した。そんな中で、ゼストマーグに乗ったアルツとナユキが現れる。そして、白銀転生を起こしてXENOを撃退。それから、感情が生まれて兄を慕うようになる。感情を持ったことで、機士の資格を剥奪されてカリキュラムを受講させられることになる。そこをクーラに助け出されて匿われる。
兄を何としてでも守ろうとするようになる。ゾット司令に連れて行かれそうになるも、ナユキを助けようと向かったアルツを助けるためにゲマルガルドの機体に乗ってやってくる。XENOに操られて機体ごとアルツたちを攻撃しそうになるも、ミーネが起こした白銀転生によって助かる。そして、アルツたちと一緒に留美を利用したXENOを破壊した。
感情を呼び起こされたことで、兄のアルツを慕ってよく触れあうようになる。アルツとは血はつながっていない。ミーネがついついアルツを突き飛ばしてしまった時にミーネに短剣をつきつけたりなどしている。そして、フランが自分の兄への感情を否定したことで言い合いになる。その後、ゼノイドを操縦してフランの乗るゲルマガイドと模擬戦をすることになり、兄への配慮から守りに入るなどして追い詰められる。しかし、アルツが自分のことをすべて受け入れると言ってくれたことで吹っ切れて模擬戦に勝利した。
クーラの計画を共に阻止した後は、アルツたちと一緒に外の世界に行く。
ミーネ
選抜試験に落ちて処分されそうになったが、クーラとノア機関の先代所長によって助けられた。そのときのことがトラウマになって死の恐怖に敏感になる。死にたくないという思いからイデアの力を生み出しており、イデアの才能は高い。教えてもらう前からイデアのイメージを固定化して防壁を作ることができている。
巨乳でナユキに羨ましがられたりもする。他のゼノイドと同じく、男女の差がよく分かっておらずに裸が恥ずかしいという概念はあまりない。そのため、アルツに胸を触られても落ち着いていた。後にアルツにお尻を触れれて反応を示すようになるなど変化を見せ始める。
留美の姿をした人型のXENOが現れたときには、戦いたくないとイデアの殻に閉じこもってしまう。しかし、アルツの言葉でナユキを助けるために機体を動かすことにした。そして、ナユキ以上の防壁を作り出すも攻撃できずにいた。しかし、リステルを助けるために白銀転生することができて、ゲマルガルドを拘束。リステルを助けることに成功する。そして、アルツたちと一緒に留美を利用したXENOを破壊した。
入浴しているときは、リラックスして普段とは違う感じになる。
クーラの計画を共に阻止した後は、アルツたちと一緒に外の世界に行く。
フラン・ティコー
2巻より登場。イデアを受けて感情に目覚めてゾットに廃棄されそうになったところを助けられたゼノイドの一人。元リステルの部下。
ミントに裏切られて死にそうになったことから感情を愚かなものだとして、感情が目覚めるきっかけになったアルツたちに反発。クーラのもってきたロボット「ゲルマガイド」の実験パイロットに自ら望んでなる。そして、実験のためにゼストマーグに乗ったリステルと戦うことになる。実験では、ゲルマガイドによってアルツたちへの憎しみに埋まって戦う。それでも敗れてしまって、しばらくひきこもってしまう。
年齢の割に大きい胸。そのため、ひきこもってお腹が好いてしまい、こっそりと食料を手に入れようとしたフランをお仕置きと称してお風呂に入れようとしたときに、胸を見たナユキが自分より大きいと羨ましがっている。
自分が行った発言によって、アルツがゾット司令のところに単独で行ってゼノイドの強制処分命令を撤回させるように説得してくることになる。途中でアルツはXENOによって致命傷を受けたミントとと出会う。アルツはミントが死の間際を裏切って生き延びようとしたことを後悔してミントに生きてと言っていたことを伝え、受け取ったうさぎのぬいぐるみをフランに渡した。
XENOが襲撃して死の恐怖を感じる中で、アルツたちの言葉を思い出す。そして、生き延びるために五十人ものゼノイドに呼びかけて協力して戦艦「サウス・エンド」を動かす。そして、アルツたちを助けに向かって超巨大XENOを倒すために協力した。
艦長と呼ばれるようになるも、本人は照れるので嫌がっている。
クーラの計画を共に阻止した後は、アルツたちと一緒に外の世界に行く。

要塞都市アカツキ[編集]

クーラ / ノア
上級機士長。ゼストマーグに乗ってきたアルツとナユキを排除しようとしたゾットに受け入れるように提案。XENOが襲撃した時に救援申請を送る代わりに、要塞都市を自由に動くことができる権限を与える。
ノア機関の存続のためにリステルを戦力として利用できるかを実験するなど、大勢のために犠牲を仕方ないと考えている。冬世界を救う目的を持つ。
実は本名はノアであり、三百年前の戦士で最初のゼノイド。三百年前に最愛の妹であったミサを救うために研究していたら偶然にもゼノイド化の技術を見つける。しかし、妹はただのゼノイドになってしまい、XENOに襲われたくないと求めてくる人間をゼノイド化させたが、自分以外の人間は感情を失ってしまう。そして、自分の責任として差別されるゼノイドを守るために要塞都市アカツキの前身である都市「暁」を作る。世界を救おうとする。多くのゼノイドを犠牲にしても世界を救おうとしたが、アルツたちに阻止される。そして、死亡するがその狭間でかつての友達だったリュミエールとリヒトに手をひかれて満足して死んだ。
白銀超転生によって自分の体を思うように作り替えることができる。これによって、リィザという別人も演じていた。ミーネのことはミサと良く似ていると妹の生まれ変わりのように思っていた。
ゾット
要塞都市アカツキの司令。アルツの父親だが、本当の父親ではない。感情を持たずに理屈で判断するため、人類を生き残らせるために家族でさえも犠牲をためらわない。感情に対して否定的。
アルツを自分の子供としていたのは、留美に頼まれていたため。アルツに対して冷たく接しているように思えたが、実は裏で守っていた。
リィザ・マルシャル
20歳という若さでノア機関の責任者をしている女性。ゾットをアルツたちが襲撃するように仕組んだ。ゾットによってクーラと同一人物ということが判明した。
ミント
感情に目覚めて、処分されそうになったところをフランを犠牲にして自分だけが生き残ろうとしたことを後悔していたゼノイド。
メリッサ
フランを弄るのが好き。嫌がられてもフランのことを艦長と呼んでいる。

その他[編集]

箕輪 留美(みのわ るみ) / リュミエール・ベフライア
ナユキと同じ人類を守る最後の砦だった「漆黒の牙」の一員だった。エースとして戦うも、心が壊れてしまう。
ナユキより20年早く、上級機士リヒト・ベフライアによって発見されて冬眠から目覚めた。そこで、リュミエール・ベフライアとして訓練生になるが、一年後にリヒトと共に消息を絶った。その一年後に姿を現してゼノ・トランサーを奪って逃走して、ホワイト・ホライゾンに飛び込んだ。もう一度ナユキに会いたいという思いを利用されてXENOとしてゼノイドを殺害するように操られてしまうが、ナユキたちによって止められる。そして、アルツやナユキの姿を見て冬世界を託せると消滅した。
かつてゾットにアルツを子供として扱うようにお願いしている。
リヒト・ベフライア
雪原で偶然見つけたリュミエール・ベフライアを保護する。記憶喪失だった彼女にリュミエールという名前をつけた。
リュミエールと交流を重ねていくうちに感情に目覚める。XENOと戦う時にリュミエールが記憶を取り戻す。そして、リュミエールに協力していく。

用語一覧[編集]

アウター・スノウ
300年前に<夏世界>と呼ばれていた四季のある世界に降り注いだ雪。季節を問わずに振り続けて物理的な熱でも解けずに、世界を覆い尽くした。
XENO(ゼノ)
「アウター・スノウ」を食料として活動する未確認生命体。巨躯を持ち、恐竜になぞらえてトリケラ、ブラキオ、ティラノという個体識別名をつけられた。熱源に反応して攻撃的になる性質があり、生命を襲って人類の文明は衰退。そのまま、滅亡するかとも思われたが、人類はゼノイドとなって対抗している。
ゼノイド
人類がXENO化して、「アウター・スノウ」を摂取して活動するようになった者。圧縮言語と呼ばれるもので、短い単語の中に情報を詰め込んで話す。
ゼノ・トランサー
人類が対XENOのために開発した巨大兵器。
要塞都市アカツキ(ようさいとしアカツキ)
ゼノイドが暮らしている要塞都市。全員がゼノ・トランサーの乗員になるべく鍛え上げられている機士。
選抜試験
不合格となった者は都市防衛に不必要と判断されて、廃棄処分となるシステム。
旧人類(プロト・カインド)
ゼノイドとなる前の人類。
イデア
人間の心が生み出す無限の炎。XENOも焼き尽くすことができる。ゼノイドにも感情を呼び起こさせる力がある。
ゼストマーグ
イデアを動力源としている人型の機体。イデオの力で白銀転生を起こして、アウター・スノウが吸収して蓄えた熱エネルギーを完全に解放して制御できる。
アルツが他の女の子たちのイデアの力を使って進化。四人乗りになって、時間制限付きでナツキ、リステル、ミーネの他の三人の女の子の力を引き出せるようになる。
ゲルマガイド
クーラの作った機体。イデアをエネルギーにしているが、脳内を単一の感情のみに調整する。
夏世界
アウター・スノウが降る前の人類が繁栄していた世界。
冬世界
アウター・スノウが降ってXENOが現れた世界。
ノア機関
夏世界の食料の再生などを行っている。

単行本[編集]

MF文庫Jメディアファクトリー)より刊行。全3巻。

タイトル 初版発行日 ISBN その他 サブタイトル
白銀の救世機 2012年12月31日(2012年12月25日発売) ISBN 978-4-8401-4941-9
  • 序章
  • 第一章
  • 第二章
  • 第三章
  • 第四章
  • 第五章
  • 終章
白銀の救世機 2 2013年3月31日(2013年3月25日発売) ISBN 978-4-8401-5130-6
  • 序章
  • 第一章
  • 第二章
  • 第三章
  • 第四章
  • 終章
白銀の救世機 3 2013年7月31日(2013年7月25日発売) ISBN 978-4-8401-5243-3
  • 序章 冬世界暦291年
  • 第一章 冬世界暦311年
  • 間章 冬世界暦292年
  • 第二章冬世界暦312年
  • 終章

外部リンク[編集]