異世界混浴物語

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異世界混浴物語』(いせかいこんよくものがたり)は、日々花長春による日本ライトノベル作品。イラストははぎやまさかげ

概要[編集]

小説家になろう」で掲載されていたオンライン小説

第1回オーバーラップ文庫WEB小説大賞読者賞を受賞して、2015年3月25日にオーバーラップ文庫より刊行された。

ストーリー[編集]

北條冬夜は、ユピテル王国に5人の勇者の一人として召喚される。無限バスルームというどんなときでも快適にお風呂にはいれる能力を手に入れるが、魔王退治には役に立たないと途方に暮れる。しかし、色々な使い道があることに気づいて・・・。

登場キャラクター[編集]

冬夜パーティ[編集]

北條 冬夜(ほうじょう とうや) / トウヤ
ある日、異世界に召喚された勇者の一人。元の世界では日本に住む公立高校の2年生だった。
魔王の復活を防ぐ、もしくは倒すために召喚されたものの、目覚めたギフトが「無限バスルーム」という、一見戦闘に全く役立ちそうにないギフトだったため、魔王をなんとかするのは他の勇者に任せるつもりだった。しかし砂漠の王国で闇の女神を封印から解いたことで、この世界、というより聖王家が隠していた500年前の戦いの真実を誰よりも早く突き止めてしまい、以後は女神たちの意思を優先して旅していくことで、女神たちの寵愛を最も大きく受ける存在となる。
性格は基本的に、地に足のついた現実主義。無限バスルームの能力で女の子と混浴することを夢見るが、無理やりしたいわけではなく、女の子の意思はちゃんと尊重する。「この世界で生きていけるだけの力」「女の子たちを庇護できる力」を持つことが先だとわきまえており、そのために立身出世を目指し、まずは女の子と信頼関係を構築することを優先する。また、自分の能力で助けられる相手がいれば、恐怖心を感じていても見捨てられないお人好しな性格。
無限バスルーム(アンリミテッドバスルーム)
冬夜が目覚めた能力。お風呂が内蔵された異空間をどこでも召喚できる。
異空間への扉は冬夜のみ開閉が可能。中に入り扉を閉めれば外部から干渉を受けることがなく、逆に内部からも外部に干渉できない。誰かをお風呂に入れることもできるが、冬夜自身が異空間の中に入っている必要があるため、召喚された当初の冬夜は、混浴を承諾してくれる女性、もしくは入浴の習慣がない亜人くらいしか、仲間の選択がなかった。
バスタオルや石鹸などは異空間を召喚するたびに完備される。そのため、タオルや石鹸を外部に持ち出して使うことが可能。水やお湯は無味無臭で無害、魔法や呪いを消す浄化の力があるほか、トウヤのMPの限り無限に出せるため、水不足に悩むことはない。
さらに、脱衣所、浴室乾燥などの機能が存在し、ギフトが成長することにより洗濯機や洗面所といったものも拡張され、異空間自体に浄化の効果がかかってるのを確認してからはカビやサビの心配のない便利な収納となり、旅の荷物を整える手間が大幅に削減された。
これらの機能は全て冬夜のMPで賄われているため、トラノオ族の集落で水を出し続けたり、旅をしながら浴室乾燥を使ったりと、日常的にMPを消費することでMPが鍛えられ、冬夜のMP増加に大きく貢献することになる。
ギフトが成長してもお風呂の機能が拡張されるだけだと思われていたが、冬夜が他の女神の祝福を受けると、予想外の機能が追加されていく…。
ルリトラ
「空白地帯」にあるトラノオ族の集落出身のサンド・リザードマンの男。生真面目で実直、落ち着きのある紳士的な性格。レベルが29もあり、優秀な戦士。
トラノオ族の戦士長だったが、乾季にため池がモンスターに壊されてしまったことでレイバーとして商人に自分を売って水を仲間の元に届けてもらう。冬夜は、無限バスルームの能力を使えば水不足を解消できると考えて能力・性格も良いとしてレイバーとしての契約を結ぶ。そして、冬夜たちと共にトラノオ族の元に戻って、無限バスルームによって水不足を解消してもらった。以降は冬夜の頼れる忠臣として、冬夜の行く末を父親のように見守る。
クレナ
北方のユノ・ポリス出身の、元貴族の少女。行方不明の父親が母親に送ったとされる『闇の王子』の剣を持っており、父親を探すため、そして自分が魔族なのか知りたくて旅をしていた。軍学・兵学を一通り習っており、それなりの剣技を使えるほか、剣を発動体として精霊魔法を使うこともできる。
手がかりを求めて砂漠の王国を目指し、空白地帯でロニと共にモンスターに襲われていたところを冬夜に助けられる。聖王家に召喚された勇者である冬夜に最初は警戒していたが、砂漠の日焼けによる火傷を跡も残らずに治療してもらい、マイウスとの戦いを経て冬夜を信用し、大物になる可能性を信じて運命を預ける決心をする。ロニと一緒に恥じらいながらも無限バスルームで冬夜と混浴をした最初の人物となり、その後は旅慣れない冬夜をフォローする相棒的ポジションに収まる。
髪は銀色のショートカット。春乃やセーラほどではないものの巨乳で、グラマーな体型。旅のために体を鍛えたことで多少の筋肉もついたが、本人は太っているのではないかとコンプレックスを抱いている。しかし冬夜から見れば許容範囲であり、「むしろ奇跡のプロポーション」と冬夜が正直かつ真剣に諭し続けたことで多少は気を楽にしている。
ロニ
クレナの従者。リュカオンという狼型の亜人が光の女神の祝福を受けて人間的な外見になった光リュカオンであり、獣耳と尻尾が特徴。ボサボサの長い髪はカスタードクリーム色。家事や雑用、クレナのフォローを難なくこなすほど器用さが高い。
クレナが貴族を勘当されたあとも付き従うほどの忠義があり、対等に付き合いたいクレナからすればもどかしいものだったため、冬夜をリーダーと定めたことでクレナと友達として仲良くできることを喜んだ。
同い年のクレナよりは低身長だが、そこそこの大きさの胸。クレナと冬夜と一緒の無限バスルームでの混浴では、恥じらいもなく堂々とした態度だった。
リウム
オリュンポス連合の一つ、アテネ・ポリスから勇者のうわさを聞いて旅してきた、14歳の晶術師の少女。小柄なため、年齢よりも幼く見える。ココア色の髪を肩まで伸ばしている。
春乃がユピテル郊外で訓練していた近くでモンスターに襲われ、光の女神騎士団の巡礼団によって助けられる。とはいえ、春乃に抱きしめられてたところに襲い掛かってきた一体はリウム自身が倒してみせた。春乃やセーラの妹分として最初は春乃パーティに入っていたが、アテネ・ポリスで冬夜からの手紙を見て一般人に伝えられない何かがあるとハルノたちが思い立ち、春乃と冬夜が個人的にやり取りをするための道具を届けるため、人一人が乗れる飛翔盤で冬夜たちの元に行く。その後は冬夜たちと同行する。
やや天然で、感情の起伏に乏しい。研究好きで好奇心最優先の性格、その反動か羞恥心は薄く、無限バスルームを見た時には、冬夜との混浴になろうがおかまいなしに風呂に入ってみようとしたほど。
ラクティ・ロア / 闇の女神
トウヤが封印から解放した闇の女神。この世界のそれぞれの自然を司る女神姉妹の、末妹である。
500年前、魔王が何らかの魔法陣を敷いて儀式をしていた際に聖王が戦いを仕掛け、聖王が放った対魔王決戦兵器の卒塔婆が聖王のミスにより魔法陣の方に突き刺さり、その魔法陣の力の根源である闇の女神が、本体ごと封印された。以後彼女にかけられた封印は、光と闇の力の両方が一度に干渉しないと解放されない状況にあった。そこに光の女神と闇の女神の祝福を両方携えた冬夜が卒塔婆に触れたことで解放される。
その祝福を受けたものは魔族化し、光の女神の祝福とぶつかると反発を起こし、反動で苦痛を伴うようになる。他の女神の祝福も受けていれば、反動を抑え込むことができる。
総本山はかつてハデス・ポリスに存在していたが、聖王と魔王の戦い後、「仮面の神官」(キンギョ)は逃走、信徒たちも自然消滅していったため崩壊。その存在はハデス・ポリスとともに聖王家によって抹消された。
白磁のような白い肌、豊かな黒髪、人形のように整った顔立ちの美少女。華奢な体だが、現在の体はあくまで現身(うつしみ)であり、この世界で活動するためのかりそめのもの。(ただし神域では、本体の方も復活している)封印解放の影響で彼女自身が召喚されたような状態であり、その力は信仰に左右されるため、闇の女神信仰が廃れている現在はまともに回復していない。
力がないことで卑屈になっており、なんとか皆の役に立とうと奮闘する。臆病で泣き虫、守ってやりたくなる儚い可愛さを持つ。冬夜が闇の祝福を受けたことで魔族化するのを抑えるため、正体を隠し労働レイバーとして冬夜の旅に同行する。時折冬夜たちが知らないことをさらりと答えたりと、女神らしい一面を見せる。
パルドー・ポール
ヘパイストス・ポリスでも指折りの腕を持つケトルトの鍛治師。もうすぐ40歳の鯔背な中年男性(ただし見た目は猫である)。
鑑定をはじめとする職人魔法の使い手として右に出るものはなく、魔王城で手に入れた魔法のかかった鎧を鑑定する際、炎の神殿の神官から紹介された。鍛治仕事のためなら寝る間も惜しまず没頭するタイプであり、魔法の鎧と卒塔婆の処理だけでなく魔王城から持ち帰った多数の武具の鑑定も、シャコバやマークと一緒にこなしてみせた。
その後、冬夜たちの魔将の隠れ家探索にもシャコバやマークと共に同行し、たどり着いた魔将の隠れ家で見た日本庭園(を再現しようとした庭)を見て未知の技術に興味を抱く。冬夜の「無限バスルーム」内の装いにもそれに通じるものがあると気づいて、冬夜の旅に同行を決意する。
白猫なのだが鍛治仕事で全身煤けており、しかも筋金入りの水嫌いなため、娘のクリッサを嘆かせている。
クリッサ・ポール
パルドーの娘である白猫系ケトルト。18歳で、気立てが良い美少女だと近所でも評判らしく、いかついパルドーの娘であることが信じられてないほど(ただし見た目は猫である)。
職人一筋な父親に代わり経理等を担当するしっかり者。パルドーが冬夜の旅に同行を決意した際、父だけを行かせるのは心配だということで、共に同行することになる。
父親が反面教師となったのか、綺麗好きな白猫である。マークのことは仲のいい弟扱い。
シャコバ・リーマス
パルドーと並ぶ腕を持つケトルトの鍛治師。キジトラ白猫系の外見で、パルドーとは若い頃からの親友。
魔法の武具のサイズを縮める最高級職人魔法「調節」の使い手で、細工や装飾の技術はパルドー以上。パルドーと共に冬夜の旅に同行するのを決意したが、炎の祭壇にも興味があるパルドーとは違い、純粋に和風建築の美を追い求めている感があるが、二人が揃って美しいと感じるのは珍しいことらしい。
質実剛健なパルドーと比べて、武具のデザインを派手にしたがる。性格の方もオシャレで気取ったものであり、ケトルトにしては珍しく鍛治仕事後の水浴びを欠かさない。
マーク・リーマス
シャコバの息子である茶トラ猫系ケトルト。鍛治師としてはまだ見習いの身分。クリッサとは幼馴染。
クリッサに淡い恋心を抱いてるようで、若いころは父親が反面教師になり嫌いだった水浴びも、今ではちゃんとこなす青春真っ只中な15歳。作る武具も、パルドーが作るような質実剛健を目指しているものの、シャコバから受け継いだ派手さを捨てきれてないという中途半端なもの。
彼もまた冬夜の旅に同行を決意するが、特に和風文化等には興味がなく、クリッサが付いて行くからという理由が大きい。
北條 雪菜(ほうじょう ゆきな) / ユキナ
中学に入る前に病死した、冬夜の妹。冬夜が召喚される数ヶ月前に不死鳥の闇の「勇者召喚」で、魔族となって異世界に転生を果たす。
その後訓練を受け、不死鳥に逆らえないよう呪いをかけられ、バルサミナの配下となって働かされていたが、抜け出す機会を伺い、不死鳥のアジトとして乗っ取られた島の住人であるギルマンたちと協力していた。バルサミナがコスモスをアジトにおびき寄せたことをきっかけに動き出し、冬夜と合流を果たし、不死鳥にかけられていた呪いも無事に解除される。
両親が共働きで家を空けがちだった分、小さい頃から世話をしてくれた冬夜に懐いているため、自分が魔族になっても受け入れてくれることに喜んだ。魔族の尻尾と翼を持ち、髪が銀色になっていること以外は転生前とまるで変わらないため、冬夜にとっては些細な問題でしかない。血は繋がらなくなっても実妹として、クレナなど周囲の女性陣に(ブラコン気味の)対抗心を燃やす。

春乃パーティ[編集]

東雲 春乃(しののめ はるの) / ハルノ
冬夜と同じように召喚された勇者の一人。元の世界では政治家の家の生まれのお嬢様で、中学生のころから女子校に通っていた。
長い黒髪の美少女で、巨乳で非の打ち所のないプロポーションを誇る。家の教育の賜物で、教養があり聡明。特に悪い噂の絶えない父を嫌悪しており、父本人や付き合い相手を幼い頃から見てきたせいで、人の嘘ややましい気持ちをすぐに見抜くセンスが養われており、美術品の真贋をも見極められるほどの審美眼を持つ。悪事を絶対に許さぬ正義感も合わさって周囲には怖い印象を与えてしまいがちだが、本来は年相応の明るい一面も持っている。
冬夜に関しては、春乃たちと混浴したいことを隠したりせずに正直に言ったり、それでいて春乃に迷いがあるうちは無理せずに無限バスルームに入らなくていいと言った気遣いの気持ちを見せたことで信頼する。冬夜や仲間に頼らないために、強くなろうと冬夜とは別々に旅に出ようと決め、旅立つ前に冬夜と想いを確かめ合い、キスを交わした。
リウムの故郷であるアテナ・ポリスに向かい、巡礼団とともに周辺の怪物退治などをこなしながら名声を高めていたが、アテナ・ポリスに潜む陰謀を突き止めたことで、彼女自身の新たなる旅立ちを迎えることになる。
無限リフレクション(アンリミテッドリフレクション)
春乃が目覚めた能力。MP(マジックパワー)に関するすべての影響を跳ね除けるバリアで身体を包む。
MPが関わるものであれば魔法はもちろん、ギフトすら例外ではない。能力のON/OFFの切り替えは春乃の意識が必要で、回復魔法なども意識しなければ受けることはできないが、その分不意打ちの魔法などは安心して防ぐことができる。
この世界、MPが関わるものは多岐にわたり、ドラゴンのブレスなども防ぐことができる。(なろう版原作では、悪霊も触れるだけで消滅させていた)
セーラ
ユピテルにある光の女神の神殿に勤める神官の女性。軽くウェーブのかかったふわふわのブロンドのロングヘアーの美人。
なかなかギフトの目覚めない春乃に最後までつきっきりになった結果すっかり仲良くなり、春乃を手助けしたい気持ちが強くなったため旅の仲間となる。時々天然が入るが、異世界に慣れない春乃の頼れるお姉さんとして振る舞う。しかし冬夜が500年前の真実を突き止めたり、春乃と共にアテネ・ポリスでの陰謀を暴いたりするうち、かつての光の神殿の行いに深刻なまでの責任を感じるようになる。
本人は意識していないが、隠れ巨乳かつ安産型。いずれ春乃と共に冬夜と混浴することは、恥ずかしがりながらも同意している。
リン
春乃より1歳年上の女神殿騎士。ウェイビーな髪をサイドアップにしている。オシャレで春乃もファッションの相談をしている。
飄々としてノリがよく賑やか。要領がよく、お調子者な点が目立つが、時々思慮の深い面も見せる。
サンドラ
18歳の女神殿騎士。藍色のポニーテール。セーラとは同じユピテル・ポリス出身の幼馴染で、同い歳。
長身で、プロポーション良し。生真面目であり、リンの不真面目さの割りを食うこともしばしば。
ルミス
春乃と同い年の16歳の神殿騎士。ブラウンの髪をサイドポニーにしている。春乃と仲が良く、「様」を付けずに名前で呼び合う。
小柄で活発的であり、少年と間違われることもあるらしい。出身地は亜人と共存する地であり、そのため亜人に対する偏見は全くない。
プラエ
風の神殿に使える巫女である、キュクロプスの少女。春乃よりも年上なのだが、ほんわかした空気のせいで幼く見える。
アテネ・ポリスで行われていた亜人の不当な犯罪者レイバー化の被害者の一人だったが、春乃に救出されたあとは春乃に同行する。というよりそもそも彼女は、風の女神の指示により、春乃を風の神殿に導く役目を持っていた。
風の女神に下された曖昧な指示を何の疑いもなく素直に受け入れるほど、精神は歳とは不相応に幼い。身に纏う雰囲気は周りの皆を和ませ、思わずちゃん付けで彼女を呼びたくなるほど。ただし身体のほうは、キュクロプスならではの高身長な巨体に比して色々と大きい。心を許した相手にはハグをしたがるが、ちゃんと力は加減している。
肌はキュクロプスならではの青で、髪も青く、額から角が一本生えている。瞳は赤くくりくりとしているが、右目にはなぜか眼帯をしており、風呂でも絶対に外そうとしないが、それがなぜかはまだ明かされていない。
デイジィ
あてもなく旅していた中でアテネ・ポリスに立ち寄っていた、魔族の一種であるインプの少女。人形並みに小さな身体を持つ。
ちょっとしたイタズラ目的でなんとなく忍び込んだ屋敷で、屋敷の主人である元老院議員と、共犯者である司祭、賄賂を受け取っていた別の大物議員との密談を目撃してしまい、捕まって口封じのために強引に犯罪者レイバー化された。春乃に救出された後、春乃が巡礼団に打ち明けた500年前の戦いの真実と冬夜が闇の女神を解放した様子を聞いてからは、闇の女神に興味を持ち、旅に同行する。
ボサボサの黒髪から、乳白色のツノが2本生えている。目つきは鋭く、耳はエルフほどではないが尖っている。性格はいたずら好きでからかい好き。メンバーの中では一番鋭いツッコミを入れるタイプ。

女神たち[編集]

光の女神
女神姉妹の長姉。金色の髪を高く結い上げ、白く裾の長いドレスを纏う。顔はきつめの印象で、胸は控えめ。
総本山はユピテル。支配者層に信徒が多い。信徒たちからは「正義」と「公平」を司る女神とされているが、その力の本質は「清浄」と「浄化」。祝福を受けたものは、すべての種族の言葉と文字を理解できるようになり、亜人も人間寄りの見た目に変化する。また、闇の女神の神域では視覚を与える。
パーソナリティは威厳がありプライドの高い淑女。比例してやきもちも焼きやすく、冬夜が他の女神の神官魔法ばかりを使ったりすると、目に見えて機嫌が悪くなる。
大地の女神
女神姉妹の5番目。肌は褐色、波打つ翠の髪、大樹を思わせる出で立ち。上半身の露出が多くスリットも長いドレスを纏う。作中の女性キャラ中最大の巨乳を誇る。
総本山はアレス。農夫や狩人たちに信徒が多い。「育成」を司る女神であり、祝福を授かると他の女神の祝福の力すら増幅する。また闇の女神の神域では、他の女神の祝福の恩恵を活かせる身体を与える。
パーソナリティは母性溢れるお姉さん。他の女神が怒ったりした時のなだめ役。穏やかで滅多に怒らず、優しい瞳で見つめる。
炎の女神
女神姉妹の2番目。ラフな髪型の赤い髪で、パレオを巻いたビキニのような一番露出の高いドレスを纏う。胸は光の女神以上、大地の女神以下。
総本山はヘパイストス・ポリス。鍛治師たちにとっての絶対的存在である。信徒たちからは情熱と熱狂の神ともされている。祝福を授かると、闇の女神の神域では感熱力を与える。
パーソナリティは元気な姉御肌の女性。熱血系のノリが大好きで、冬夜が勇ましさを見せる時に大いに同調する。
水の女神
女神姉妹の4番目。白に近い薄い青の髪は床まで届くほど長く、胸元から腹の部分と両肩を露出した、袖の長い薄手の布のマーメイドラインのドレスは、スカート部分も床についている。
すべての海がつながっているため、海全体が総本山のようなものらしい。現身自体は、海底深くの水の都に佇んでいる。漁師たちに信徒が多いだけでなく、すべての海の生物たちが信徒と言える。祝福を授かると、闇の女神の神域では触覚などの各種感覚を与える。
パーソナリティは物静かな外面を保つ切れ長の目の美女だが、内に秘める思いは激流の如し。その天然な言動は、当初冬夜を誤解させた。
風の女神
女神姉妹の3番目。若草色の髪をツインテールに結っている。
総本山はかつてアテネ・ポリスにあったが、数百年前の亜人排斥と光の神殿の乗っ取りにより追い立てられ、テーバイの森の中でひっそりと存在している。祝福を授かると、闇の女神の神域では聴覚を与える。
パーソナリティは健康美溢れる少女で、性格は軽め。その現身はアテナ・ポリスを離れてから力が衰えており、テーバイの森を訪れた春乃に現身の力の大半を託す。

他の勇者と仲間たち[編集]

西沢 秋桜(にしざわ あきお) / コスモス
召喚された勇者の一人。ナルシストで、無駄に爽やかな印象のお調子者。
最も早くギフトに目覚め、ノリノリで勇者コスモスを名乗る。聖王女や王女の親衛隊、エルフの美少女を仲間にし、聖王の勇者として旅立った。
空気を読まず、女の子に甘く、他にも色々ゆるい点が目立つが、基本的に悪事には手を染めそうにない善人な性格。
無限弾丸(アンリミテッドブリット)
二丁の拳銃を生み出して弾丸を放つ、攻撃的なギフト。
戦闘時はガンアクションと格闘技を融合させたような動きで派手に立ち回る。なお時折ポーズを決めるが、決めたからといって何らかの幻惑効果等があるわけではない。
フランチェリス王女
現聖王家の聖王女。品のいい出で立ちで線の細い小柄な美少女で、髪は亜麻色の縦ロール、胸は控えめ。
光の女神の神託が下されたことにより、「光の勇者召喚」を行なった人物。コスモスとともにノリノリな様子で旅立ったが、その内心は計算高く行動する切れ者。それなりの理由があってコスモスのノリに付き合っている。
500年前の戦いの真実も知っている様子を見せる。兄王子ほど亜人排斥派ではないと公言し、冬夜の動向も注意深く見ている。
フォーリィ
エルフの里から、魔王復活の兆しについて知らせに来たエルフの美少女。肩まで伸ばした蜂蜜色の髪をしている。
ユピテルで悪徳な金貸しに捕まり、不当にレイバー化されようとしていたところをコスモスに救出され、無事に役目を果たしたことでコスモスの仲間として旅立つ。
天然気味で、コスモスのノリに何の疑いもなくそのまま同調している。
リコット
フランチェリス王女が率いる親衛隊の隊長。色々と苦労人。
神南 夏樹(かんなみ なつき)
召喚された勇者の一人。寡黙で真面目の雰囲気の、がっちりした体格の男で、二十歳の大学生だった。
自分に勝ったものを仲間にすると宣言し、勝負で連戦連勝していた。ユピテル一の猛将と名高い老騎士に負け、弟子入りし仲間にして、聖王の勇者として旅立つ。
中花 律(なかはな りつ)
召喚された勇者の一人。召喚される前はOLで童顔。見栄えの良い男二人を仲間にする。その後、王子を怒らせてしまい、密かに仲間二人と旅に出た。

魔族[編集]

マイウス
バルサミナの部下の魔族。トラノオ族を助けるためにルリトラとともに冬夜が「空白地帯」に行くのを知り、襲い掛かってくる。
トラノオ族の集落に襲いかかるが、冬夜の無限バスルームを利用した攻撃によって倒される。
キンギョ
金魚のような姿の魔物で、水から離れられない。トウヤたちを砂漠の王国「ハデス・ポリス」に行くまでの道案内をする。
実は十六魔将の一人「仮面の神官」。闇の「勇者召喚」の使い手で、魔王や五大魔将などを召喚してみせた。しかし狂信的な闇の女神の神官であるがゆえに、神殿を政治と切り離す魔王たちの政策に、闇の神殿がないがしろにされたと憤慨。自分こそが魔王軍や闇の神殿を支えるキーマンだと増長している。
勇者を魔王のところまで連れて行ったとしてかつては賢者と呼ばれていたが、実は信仰心の薄い魔王を勇者に倒してもらって、新たな魔王を召喚するための策略だった。しかし、魔王が殺されずに封印されたことで新たな魔王を召喚できずに目論見が外れてしまう。
「ハデス・ポリス」に冬夜たちが着いた後に始末しようと襲いかかってくるが、倒される。最後にトウヤに呪いをかけていった。
百獣将軍
魔王軍の十六魔将の一人。神南夏樹に討伐されたらしい。
炎の魔神
魔王軍の五大魔将の一人。ヘパイストス・ポリスを見下ろせる火山の中腹に隠れ家を作っていた。かなり腹黒い性格のようだ。
バルサミナ
「不死鳥」の配下である女魔族。銀髪で長いツインテールの髪型。
ユピテル・ポリスでコスモスの仲間になるふりをして襲った。その後、執拗にコスモスを襲撃してはコスモスにモーションをかけられる。
短気で早とちりしやすい性格で、冬夜をコスモスと間違えて襲撃、「不死鳥」の制止を無視して独断専行するなど、幹部としては厄介者。
不死鳥
ネクロアークと呼ばれる、アンデッド達の王たるモンスター。見た目は炎を纏ったスケルトン。剣や魔法において個人戦力はルリトラを圧倒するほどであるほか、闇の「勇者召喚」を使えるほどの神官でもある。
かつて魔王達とともにキンギョに召喚され、不死鳥の二つ名をもらって魔将となったが、魔王軍たちから無能だと切り捨てられた存在。それはひとえに、ボケに突っ込まずにはいられなかったり、やたらと挑発に弱かったり、注意力散漫なところが戦闘指揮官として向いていない面。その他の分野においては優秀らしいが。
冬夜と雪菜の連携で隙ができたところにルリトラによって打ち倒されたものの、死んでもすぐに復活する体質のため、簡単には討伐できないようだ。
闇の王子(ダークプリンス)
魔王の息子にして、五大魔将の一人。魔王復活の方法を探していたが、最近、魔王に成り代わって新たな魔王になろうとしている動きがあるらしい。
暗黒の巨人
魔王軍の五大魔将の一人。やけに体格の良いダークエルフ。闇の王子擁護派に与している。
自ら愛用の十文字槍に「人間無骨」と名をつけ、あらゆるものを斬りたがる戦闘狂。ルリトラ相手に優勢に立ち回るほど、戦闘力は高い。
水の都を襲った際、冬夜の「火炎舞踏」を2発食らってもまだ立つほどの凄まじいまでの超人ぶりを見せたが、最後は水の女神による濁流で海に消える。
魔犬
魔王軍の五大魔将の一人。ロニとは違い本来たるリュカオン。落ち着きを見せる穏健な人物。
魔王復活派と闇の王子擁護派、どちらにも属さない中立派だと公言する。水の女神に囚われ、冬夜たちに質問されたことで、冬夜たちは500年前の戦いのより詳細な真実にたどり着くことになる。
クレナが持っていた闇の王子の剣を見て混乱し、クレナと魔王、闇の王子との血縁を確認するため、冬夜たちの捕虜のような立場として、魔王の御許への案内を引き受ける。
白面鬼
魔王軍の五大魔将の一人。魔王復活派の筆頭。
魔王 / アマン・ナーガ
かつてキンギョによって召喚された魔王。実は織田信長が転生した姿。
その手腕を理解できない周辺国やキンギョ本人から忌み嫌われ、聖王との闘いを仕組まれまれた際、闇の女神の封印の余波を受けて同じく封印され、部下の魔将たちにより逃がされる。

その他[編集]

神殿長(しんでんちょう)
ユピテルにある光の神殿総本山にて、異世界に召喚された冬夜の世話をみた、冬夜の担当のような人。戦闘手段を持たない冬夜を心配し、神官魔法を教える。短く整えられた口髭が印象的。
執事
聖王家から派遣され、冬夜や春乃たち勇者の案内役を務めた神殿騎士。執事という呼び方は冬夜が心の中で決めたもの。
フィークス
昔の職人の名前で、女物の下着ブランド「フィークス・ブランド」創始者として知られる。男性物の下着は作らずに、自身は葉っぱ一枚で過ごしてある冬の日に病死した。
聖ピラカ(サン・ピラカ)
初代聖王の仲間の一人である大神官。闇の女神以外の5柱の女神の祝福を受けた者であり、単一の女神の信徒であることが美徳であり当たり前とされるこの世界では、変わり者であり賛否両論の存在である。
(現)聖王
冬夜たちを召還したユピテル王国の現国王。光の神殿の神殿長とは、召喚された異世界人たちの仲間選びの結果で、「聖王の勇者」と「女神の勇者」に分けるよう取り決めをしていた。
王子
ユピテルの第一王子で、フランチェリスの兄。亜人排斥派らしく、フランチェリス曰く「伝統ある聖王家を体現した人物」。
コパン
冬夜が無限バスルームで生み出した真水を売ったやり手の商人。その後ネプトゥヌス・ポリスで再会し、冬夜が入手した魔王城からの財宝のオークションを引き受け、恐るべき口八丁ぶりで貢献してみせる。
ドクトラ
空白地帯に住むサンド・リザードマンの戦士。ルリトラとは違い太鼓腹で、ティラノザウルスを思わせるどっしりとした風貌。ルリトラに代わってトラノオ族の戦士長を務めている。
長老
空白地帯に住むサンド・リザードマン、トラノオ族の長老。「砂漠の王国」について知っているだけの情報を提供してくれた。
ナーサ
アテナ・ポリスの郊外に屋敷を構える一流の水晶術師で、リウムの師匠。滞在していた春乃たちに神殿が使う通信道具の簡易版を提供した。
上品な老婦人といった出で立ちだが、はっきりとした物言いには威厳が感じられる。ロンダランからは「銀の処刑人(エクゼキューター)」と言われており、その過去は謎。
ディラン
カリストの旅人の男で、スパー、マハー・メリス、プラエとともに旅をしていた。アテナ・ポリスでの不当な亜人レイバー化の被害者の一人。
無口で、春乃を終始警戒していた。
スパー
ディランたちと共に旅をしていたマーシュ・リザードマン。不当な亜人レイバー化の被害者の一人。
陽気な男だが、その目は油断なき光を保つ。
マハー・メリス
ディランたちと共に旅をしていた、長い銀髪と灰色の瞳の妖艶な美女。不当な亜人レイバー化の被害者の一人。
自らの種族を明かさなかったり、グラウピスのことを知っていたりと、何気に謎を残す。
ヘパイストス14世
ヘパイストス・ポリスの現国王。炎の神殿の色濃い信徒であることがわかるマッチョな肉体。
ハデス・ポリスから発見されたヘパイストス王家の紋章付きの武具を引き取った。その後、魔将の隠れ家の調査を成功させた冬夜たちに勲章を授与して褒め称え、冬夜たちとの繋がりを強くした。
性格も見た目通りに豪快だが、亜人と人間がうまく共存している都市の長として、いろいろ考えて政治をしている。
炎の神殿の神官たち
ヘパイストス・ポリスにある炎の神殿総本山で、光の神殿の神官を差し置いて冬夜たちの面倒を見た神官たち。なぜか皆、すべからくマッチョ男で、やたらとポージングを決める。
神殿長は現国王ヘパイストス14世の弟で、ヒゲが生えている以外はそっくりな容貌。
ロンダラン
ネプトゥヌス・ポリスに住む晶術師。爆発したような髪型と長いヒゲ、煤けたローブを着ている様はマッドサイエンティストを思わせる。
性格も偏屈で自分勝手。神殿騎士たちや周りの漁師たちを呆れさせている。しかし腕の方は本物で、パルドーたちと協力してノーチラス貝を利用した潜水艦「グラン・ノーチラス号」を完成させてみせた。
ヴェル
補給島にて冬夜たちが出会ったピンク色の肌のギルマン。血気盛んな男。
妹が病気になり、補給島に存在すると言う幻の果実を求めていた。境遇に共感した冬夜に協力され、島の環境を整えていた花ドラゴンから採取した果実を提供してもらった。

用語一覧[編集]

亜人種族名[編集]

エルフ
華奢で耳が長い、美しい容姿の種族。生活している森から出ることはほとんどなく、彼らが森から出るときはむしろ不吉の前兆とまで言われるほど。
リュカオン
狼型の亜人。体格も人間よりは低い。
光リュカオン
リュカオンの中でも、光の女神の祝福を受けた一族。見た目が人間寄りになっている。
サンド・リザードマン
リザードマンの中でも砂漠種と呼ばれる、体格と力に優れる種族。入浴の習慣はないが、水浴び程度は行う。
トラノオ族
空白地帯に住むサンド・リザードマン。砂漠の王国が亡くなって、空白地帯ができてから住み着いた。生命線である溜め池をサンドウォームに壊されたため、冬夜が水不足の解消のために最初の旅の目的地として訪れる。
魔族
この世界において、かつて聖王に討伐された忌むべき敵であり、話し合いの余地もない怪物のような存在とされる。
しかし実際にはあくまで亜人の一種であり、先入観から印象を歪められているだけに過ぎない。
「魔」と言う字は彼らにとって名誉な称号とのこと。ちなみに一口に魔族といってもいろんな種族がいる模様。
ケトルト
見た目は二足歩行する猫といった出で立ちの亜人。鍛治技術においてこの世界では他の追随を許さない。水嫌いの種族でもあり、毛並みはグルーミングで整える。
グラウピス
白い体毛の、フクロウ型の亜人。風の女神の神殿に仕える種族であり、戦える者は神殿騎士を務める。
キュクロプス
青い肌の巨人系亜人。グラウピスとともに風の女神の神殿に仕え、神官を務めるものが多数である。
カリスト
熊系の亜人。
マーシュ・リザードマン
リザードマンの中でも沼種と呼ばれる、素早さと器用さに優れる種族。サンド・リザードマンとは対照的に、水辺で生活する。
ギルマン
胸ビレと尾ビレが手足のように発達した、イルカ型の亜人。多くが水の女神の神殿に仕える。
バシノム
ダイオウグソクムシ型の亜人。ギルマンと同じく水の女神に仕える。海中深くでしか生活できない水棲種族のため、地上ではその存在をほとんど知られていない。

地名、拠点名[編集]

オリュンポス連合
冬夜たちが召喚された世界の大陸がこう呼ばれており、十二の都市国家からなる連合である。王政をとる国はそのうち4つ。
支配者層は全て人間だが、かつてハデス・ポリスをはじめとして亜人が治める国が存在していたことが明らかになる。
ユピテル
オリュンポス連合の国の一つで、冬夜たちを召還した王国。首都ユピテル・ポリス(聖王都とも呼ばれる)と周辺の地域からなる都市国家。聖王が魔王を倒してからは、聖王の血をひく聖王家が代々治めている。
空白地帯
聖王都の南方に位置する地域で荒野が広がる。伝承では砂漠の国が滅びてから、サンド・リザードマンとモンスターしか住み着かなくなる。
砂漠の王国(ハデス・ポリス)
実在していたが、歴史から抹消された国。魔王と魔族が生まれた場所とされる。
聖王が闇の女神を封印した影響で、もともと地上にあった国が地下へと沈み、地上部分を空白地帯と為したらしい。
ユノ
オリュンポス連合の国の一つ。ユピテルより北方に存在する雪国で、クレナとロニの出身地。
ケレス
オリュンポス連合の国の一つ。空白地帯の西側に存在する。農業が盛んで、首都ケレス・ポリスには労働レイバーたちの主である豪農たちが住む。
冬夜はここに存在する大地の女神の神殿で祝福を受けたことが、後々に影響した。
アテナ
オリュンポス連合の国の一つ。ユピテルの西、ケレスの北に存在する。労働は下働きのレイバーたちに任され、首都アテナ・ポリスには中流階級たる知恵者たちが集い、日々「民会」にて議論を交わす。
春乃たちがこの地で亜人の不当なレイバー化を暴いたことにより、かつてはこの地を治めていたグラウピスと呼ばれる亜人と、風の神殿の総本山が存在したことが判明する。
ヘパイストス
オリュンポス連合の国の一つ。空白地帯の東側に存在する。ヘパイストス王家が治めており、首都ヘパイストス・ポリスには炎の女神の神殿の総本山が存在する。
鍛治が盛んで、鍛治や鉱山で働くことはこの国においては堅気の仕事とされ、犯罪レイバーの立ち入る余地がなく旨味が少ないらしい。
元々はケトルトの12家が治めており、かつてはこの国も聖王家と光の神殿が乗っ取りにかかったが、鍛治技術においてケトルトを上回ることができず、王家が炎の女神信仰に傾倒することでケトルトが譲歩したため、光の神殿の勢力は今はかろうじて残るのみである。いわば主要産業をケトルトたちが抑えており、新王家が聖王家からの防波堤となって立ち回ることで、人間とケトルトの奇妙ながら理想的な共存が実現できている。
レムノス火山
ヘパイストスの鍛治師たちの聖地。鉱山が多数存在し、火の石掘りは鍛治師見習いたちの重要な仕事である。
ガス地帯を抜けた先に「炎の魔人」の隠れ家が存在し、冬夜たちが調査に向かった。
ヴェスタ
オリュンポス連合の国の一つ。大陸東方に位置し、ワインのおいしい国。
オリュンポス連合の中でもナンバー2の大国で、フランチェリス王女達が乗るガレオン船が作られた。
ネプトゥヌス
オリュンポス連合の国の一つ。大陸南部の東側、鉤爪半島に位置する、海と商人の国。
首都ネプトゥヌス・ポリスは富豪達が多く住み、オークションも盛んに行われる。青い石材「ハイドラン石」がポピュラーな建材として使われており、見た目は海の中にあるような錯覚を覚える。
ギルマンの集落
沖合にある島に存在する集落。水の神殿があり、漁師達は近くまで寄って船上から礼拝する。
集落がある島を不死鳥がアジトとして使っており、雪菜と冬夜達が不死鳥たちを撃退したことで解放された。
テーバイの森
アテナとケレスを結ぶ街道の中間地点から、街道を離れてさらに西に向かった先に存在する森。
アテナを追われたグラウピスたちが、キュクロプスたちとともにひっそりと新たな風の神殿を守っている。
補給島
ネプトゥヌスから水の都に向かう途中に存在する島で、フルーツ溢れるジャングル以外には何もない島。
漁師たちが新鮮な果物を補給するための島で、冬夜たちも立ち寄った際、ヴェルとともに花ドラゴンの果実の採取に挑んだ。
水の都
大陸南部、東の鉤爪半島と西の竜尾半島が囲む内海の海底深くに存在する水棲種族たちの国。神殿には水の女神の現身が佇んでいる。
岩棚をそのまま住居にした巨大な建造物群が並び、ユピテルよりもはるかに巨大な街となっている。

その他[編集]

勇者
冬夜のように召喚された異世界人のこと。勇者召喚の魔法は、光と闇の神官魔法となっており、それぞれ高位の神官のみが行使できる。
光の神官魔法の勇者召喚は、異世界人の中で現世への未練がない、もしくは少ないものが無作為に選ばれて転移される形となり、特別な能力『ギフト』に目覚める。光の女神の祝福も自動で付与されるため、言語能力に困ることはない。
闇の神官魔法の勇者召喚は、異世界人の中ですでに死去しているものが無作為に選ばれ、闇の女神の祝福が自動で付与されるため、魔族としての新たな肉体を得て転生する。
いずれにせよ、勝手に異世界人の力をあてにして意のままに操ろうという、この世界の負の歴史の象徴でもある。
聖王家
初代「聖王」となった勇者の血を引くとされる王家。代々の国王が「聖王」となり、ユピテルを治めている。
この世界の平和の象徴たる認識をされているが、冬夜たちが歴史の闇を暴くにつれ、人族至上主義たる実態と、非道なまでの亜人排斥運動の歴史が明らかになっていく。
光の女神の神殿
ユピテル・ポリスを総本山とする、光の女神を信奉する宗教。聖王家と協力して勇者召喚を行なった。
本来は国家に属さないため、聖王家とは必ずしも一枚岩ではない。春乃と冬夜は「女神の勇者(光の女神の神殿の勇者)」となっている。
亜人排斥主義など持たないはずだが、末端では…。
神官魔法
女神の祝福を受けたものが、修行することで行使できる魔法。技術体系として確立されている。
この世界の魔法が神官魔法とそれ以外とで一緒くたに分けられているほど、神官魔法以外は全く体系化されておらず、身につけたければ師弟のような個々のつながりを持つ以外にない。
古代神官魔法
冬夜が夢の中で女神たちから直接伝授されており、現在の神官魔法として伝えられてないものは全てこれとされている。
重要なポイントのみを教授されてるせいで基礎を習得していないと理解できない高度なものだが、強力な効果を持っている。
レイバー
金で買われて所有され、譲渡されるなど自由がない奴隷。ただし、自由がないのは仕事中だけで休みはあり、酷い主人でない限りは過酷な待遇にはならない。また、働く期間が定められているために一生レイバーというわけではなく、年季が明けると市民階級をもらえる。オリュンポス連合における一種の雇用契約のようなもの。
犯罪を犯したことでレイバーとなった犯罪者レイバーも存在する。一部の国では罪もないのに犯罪者レイバー化される者が存在し、不正と犯罪の温床ともなっている。
光の女神巡礼団
「光の女神が女神官の姿を借りて地上に現れる」という名目で各地の神殿を回っている女性のみの集団で、女性の神殿騎士もいる。モンスターのいる中で人助けをしているため、神殿の中でもトップクラスの実力を持つ。
複数の団が存在し、そのうちの一団が、旅立った当初の春乃の護衛となった。ルミス、サンドラ、リンが所属。ちなみになろう版原作では、団長にもルビアという名前が存在していた。
水晶術
特殊な水晶を核にしたマジックアイテムを作成できる魔法。これを扱える魔法使いは晶術師と呼ばれる。
飛翔盤、攻撃用の銀の串、ステータスカードを作る道具、神殿が使う通信用の神具など多岐にわたる。
精霊魔法
精霊の力に働きかけることで行使する魔法。精霊の声が聞こえるなど、特殊な素質が必要。
単一の精霊の力を借りれる者はそれなりにいるが、クレナのようにほとんどの精霊の力を借りれる者は珍しい。
聖魔法
聖王家に代々伝わる魔法。フランチェリス王女が使えるらしい。
五大魔将
魔王と同じく、異世界から召喚された故人たち。「闇の王子」「炎の魔人」「魔犬」「白面鬼」「暗黒の巨人」の5人であり、いずれも十六魔将に数えられる実力者。
十六魔将
ハデス軍の中でも圧倒的な戦果を挙げた将軍たち。五大魔将と11人の将軍とで成る。五大魔将以外では、「百獣将軍」と「仮面の神官」しか生き残っていなかった。
職人魔法
魔法がかかった品物の鑑定、魔法の武具の調節など、鍛治師が使う魔法。
鑑定の場合は専用の道具がなくても、その専用の道具を作るための魔法を使えば鑑定はできるが、その場合負担も時間もかかるらしい。

単行本[編集]

タイトル 初版発行日 ISBN その他 サブタイトル
異世界混浴物語 1 お風呂場の勇者 2015年3月25日(2015年3月25日発売) ISBN 978-4-86554-038-3
  • 序の湯 プロローグ
  • 一の湯 異世界へおこしやす
  • 二の湯 裸の心で
  • 間の湯
  • 三の湯 お肌ふれ合うおつきあい
  • 四の湯 死湯・熱湯・大激湯
  • 春の湯 春乃のおもい
異世界混浴物語 2 熱情の砂風呂 2015年8月25日(2015年8月25日発売) ISBN 978-4-86554-064-2
  • 序の湯 フロローグ
  • 一の湯 タオル、是か非か
  • 春の湯 名探偵はるのん
  • 二の湯 場面に浮かぶ月
  • 三の湯 ハデス地獄めぐり
  • 四の湯 地獄の釜の蓋が開く
異世界混浴物語 3 混迷の岩盤浴
  • 序の湯 フロローグ
  • 一の湯 炎の国名物、温泉湯豆腐
  • 春の湯 はるのん犯科帳
  • 二の湯 黒鉄の底無し風呂
  • 三の湯 ラコニクムを越えて
  • 四の湯 探訪、いにしえの湯
  • 間の湯 にゃんにゃんクエスト
異世界混浴物語 4 古代海水の湯
  • 序の湯 フロローグ
  • 一の湯 水底のネプトゥヌス
  • 二の湯 水蒸気は爆発だ
  • 間の湯 新たなる配管
  • 三の湯 『潮騒の乙女』亭にて
  • 間の湯 追憶の残り湯
  • 四の湯 黄昏の水平線に妹を洗え!
異世界混浴物語 5 激動の海底温泉
  • 序の湯 フロローグ
  • 一の湯 家族風呂のひととき
  • 二の湯 孤島の果実湯
  • 三の湯 海底の大混浴
  • 間の湯 体感女神風呂
  • 四の湯 秘密は湯煙の向こう側に

外部リンク[編集]