GPS

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グローバル・ポジショニング・システム(GPS)とは、アメリカ合衆国により打ち上げられ、運用されている測位衛星システムの一種である。1996年に民生用途にも解放され、最も普及率も高いことから測位衛星システムの代名詞として使用されることも多い。

概要

もともとはアメリカが軍事目的のために打ち上げた人工衛星システムであり、前述のとおり民間向けに開放されたものである。当初は軍事専用であったが、1983年の大韓航空機撃墜事件を契機に方針転換したといわれている[1]。1993年末には民生利用が可能なレベルになったことが確認された後、1995年には軍事利用レベルの性能を満たすようになる。翌年の1996年にGPSが民生向けに開放されたものの、当時は意図的に精度を落とすための処置が施されていた。一方、民間でもディファレンシャルGPSと呼ばれる補正技術が生み出されており、精度を落とすための処置をしていても本来の性能と同等かそれ以上の精度を確保できたことからこの処置は2000年をもって終了され、GPS本来の精度を誰でも利用できるようになったものである。

現在ではGNSSの主要な衛星として測量や航法システムにおいて重要な要素となっており、社会インフラを支える重要なシステムとなっている。

ロールオーバー

GPSは時間の管理を1980年1月6日0時(UTC)を基準とし、経過時間を週と秒で管理している(GPS時)。秒数が60万4800秒を超えると週の経過にカウントが1つプラスされ、秒数は再び0に戻る。これがGPS時の仕組みである。一方、週は1023週までしか数えられず、1024週目に再び0に戻ってしまう。これがGPSにおけるロールオーバーである[2]。ロールオーバーはおよそ19年と半年を超えたあたりで発生する現象であり、最初のロールオーバーは1999年8月22日に発生した。現在は2019年に二度目のロールオーバーが発生し、2038年11月には3度目のロールーバーが発生する見込みである。ロールオーバーが発生すると受信機側ではそれが1980年なのか。1999年なのか、それとも2019年なのか認識できなくなってしまう。また、それが原因で1999年8月のロールオーバー時はカーナビの動作がおかしくなるなどの不具合が発生したといわれている[3]

なお、現在は別バンドで週数カウントの信号を送信しており、この信号を受信できるGPS受信機においては2137年まではロールオーバーが発生しない見込みである。また、古い受信機においては内蔵カレンダーと照合し、日数を補正する機能を持っている機器もあるとか。

ディファレンシャルGPS

ディファレンシャルGPS(DGPS)とは、かつてGPSの精度を意図的に下げる処置がなされていた時に生み出されたGPSの測位法である。この意図的に精度を落とす処置(SA)はどの受信機においても同様の誤差を持つようになることから、その性質を利用して精度改善に利用されていた。

位置精度が担保されている基準点にGPS受信機を設置し(基準局)、計測点(移動局)に設置したGPS受信機で得られる測位情報から誤差を取り除く方法である。この手法により、測位誤差が平均10m程度だった時代においても1m以内までの測位精度を確保できていたという[4]

かつては海上保安庁などが補正データの発信を行っていたが、SAの廃止やGPSを含んだGNSS受信機の性能向上などによりDGPSの需要が相対的に低下していったため、2019年に海上保安庁による補正データの発信は終了している。

関連項目

  • QZSS - GPSの補完を果たす日本の測位衛星。「みちびき」の愛称で知られる。
  • 測位衛星システム - GPSなどの測位衛星を使ったシステムの総称。

参考