海外クール宅配便

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

海外クール宅配便(かいがいクールたくはいびん)とは、物品冷蔵及び冷凍して輸送する宅配便の形態の一つ。小荷物ドア・ツー・ドアで運送するサービスの一種。国際宅配便、国際エクスプレス、スモールパッケージやパーセル、あるいはクーリエと呼ばれるサービスの一種である。

荷主となる事務所、家庭あるいは工場など荷物の出発地における集荷から、別の国の最終目的地への配達まで、様々な運送経路と運送モード(陸上、海上、航空)の組み合わせを必要とする一連の輸送について、一貫した運送責任を負ったうえで提供される運送サービスで、このうち、冷蔵や冷凍など低い温度環境保持のもとで行われるサービス。

概要[編集]

これまで研究用試薬品の冷凍輸送のような緊急を要する特別な輸送手段として考えられてきた。しかし近年、一般商業ベースで大幅に利用され、物流の新たな方法と考えられ始めている。例えば食料品サンプルや、昨今の金余りの状況からくる寿司用高級魚の冷凍輸送などである。もともと航空輸送の利点は安全性、高速性、運航頻度、安定性、信頼性を特徴としており、ボーダレスな現代において航空機での冷凍、冷蔵のサービスは今後需要を見込める運送形態といえる。

FedEx、DHL、UPSと言った世界的に大きなネットワークを張ってDoor to Doorの国際宅配便サービスを行っている各社でもこれまではクール宅配便のサービスを提供していなかったが、2013年1月に日本郵便が「クールEMS」、同年9月にヤマト運輸が「国際クール宅急便」のサービスを開始した。 現時点では、まだ取扱い国(日本郵便:香港、台湾、シンガポール、ベトナム、マレイシア、フランス。ヤマト運輸:香港、台湾)が限られているが、両社とも随時拡大に向けて取り組んでいる。両社とも【冷蔵(0℃~10℃)】【冷凍(-15℃以下)】の2温度帯の取扱いを行っている。

なお、日本郵便は、冷蔵(チルドゆうパック)に限り個人・法人問わず利用できるが、ヤマト運輸は、法人向け無料ソフトウェア「送状発行ソフトB2」を利用できる法人・個人事業主に限定している(冷凍ゆうパックは、法人ないしは個人事業主が、ゆうゆう窓口設置局との契約を行った場合に限って利用可能である)。

クール宅配便で送る必要があるような、食品や医薬品などは、世界いずれの国においても、大変厳しい輸入規制や管理法などが施行されているのが一般的で、これらの法規制をクリアしていくことが今後の更なる拡大に向けて重要なポイントとなる。

国内クール宅配便と海外クール宅配便の違い[編集]

国内クール宅配便は、あくまで日本国内での荷物の輸送であり、内国貨物のまま集荷から配達までの一連の業務が完了する。すなわち荷物が外国貨物になることはない。それに対して、海外クール宅配便の場合は、内国貨物を外国に向けて送り出すことになり、どれだけ荷物が小さかろうが、送り人(荷主)が、個人であろうが、法人であろうが、その区分を問わず関税法上、輸出とみなされる。また、当然であるが、荷物の送り先の国では、同じく輸入とみなされる。

したがって、日本から荷物が出る際には、日本の関税法、通関業法が定める輸出通関手続きや、その他輸出貨物について規制を課している外為法、輸出貿易管理令、文化財保護法、食糧法、大麻取締法などを始めとする様々な他法令に沿った通関申告手続き、輸出関連法申告手続きが不可欠となる。同様、荷物が送り先の国に入るときには、送り先の国が定める関税法をはじめ、動植物検疫法や食品衛生法、薬事法といった法令が定める通関申告手続きや検疫申告手続きなどを経る必要がある。

用途と可能性[編集]

これまで送ることが非常に難しかった生鮮食品や冷凍食品、お菓子や果物、惣菜などの加工食品を送ることを可能としてくれる。これまでは、貿易会社や輸出入商社のような冷蔵や冷凍のコンテナや倉庫、トラックなど設備を持った会社が、大量に輸送、輸出入したものを、買うしかなかったが、この国際クール宅配便は、ごく少量でも送れるため、輸出入専門業者でない個人や企業も気軽に、海外に、または、海外から、冷蔵や冷凍の品物を送ったり、取り寄せたりすることを可能としてくれる。

食品に限らず、医薬品や工業用素材、化学原材料、さらには最近さかんなバイオ、ナノテク分野における生成物や商品の輸送にも大きく貢献するものと思われる。近年の企業活動のグローバル化と、世界的な高度技術製品の浸透が進む今日においては、多国籍企業の研究開発活動や海外子会社における現地生産活動のスタートアップなどを、よりスムーズに実現させることは間違いない。

欧州、とりわけ北ヨーロッパでは、海外向けの温度管理を行う輸送サービスが、数年前からいくつかの企業によって手掛けられているが、非常に高額であり、ごく少量の輸送でも€3,000~€5,000程度、数十キロや数百キロともなると€10,000や€20,000程度、簡単にかかってしまうようで、この高額な費用がゆえに、上記の概要にある日本企業による取組の拡大に期待したい。

主なサービス提供会社と特徴[編集]

  • 日本郵便 : 日本の郵便事業体。EMSから派生したクールEMS(冷蔵国際スピード郵便)を開発し、アジアを中心に海外宛ての冷蔵サービスを提供している。
  • ヤマト運輸 : 日本で宅配便シェアNo1を誇り、小口の荷物の輸送を得意としている。クールEMSと同じくアジアの一部に対して国際クール宅急便のサービスを提供している。2013年10月28日サービス開始[1]
  • 日本通運 : 比較的規模の大きな法人向け輸送を得意とし、毎週荷物を送るような定期的な利用者向け。世界でも屈指のネットワークを誇る。
  • 近鉄エクスプレス : 日本通運と同じく比較的規模の大きな法人向け輸送を得意とする。個人や単発での少量荷物での利用は基本的に難しい。ネットワーク規模も近年は日本通運に迫る。
  • ジェットエイト : 国際クール宅配便にほぼ特化。元々は国立大学の医学部の研究者支援輸送機関として事業開始し、公的機関の輸送に強み。医学系、バイオサイエンス系、農学系の学会および研究者の間では著名。
  • TNTエクスプレス : もともとはオランダ郵便事業会社。日本ではクリニカルエクスプレスという事業を展開しており、製薬会社などを顧客に抱える。オランダ、ベルギーなどのネットワークに強み。
  • 伊藤忠ロジスティクス : 中国向けの輸送に特に力を注いでおり、電子や精密機器関連、医薬品などの温度管理輸送も積極的手掛ける。伊藤忠系列企業のほか、大規模な国際優良大手企業を顧客に抱える。

出典[編集]

(リンク切れ)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]