架空緊急警報放送
EAS Scenario(Emergency Alert System Scenario)とは、Youtubeなどの動画におけるカテゴリの1つである。
定着した訳語は今のところ存在しないため、ひとまずこのページでは「架空緊急警報放送」と命名して解説する。
概要[編集]
日本におけるJ-ALERTや緊急地震速報、アメリカの「緊急警報システム」などのようにテレビなどを用いた有事発生時の状況を仮想的に動画にしたものであり、アナログホラーの一種ともされている。
隕石落下や巨大地震などの自然災害発生時や、近年の世界情勢と関与する第三次世界大戦勃発の想定に限らず、同じホラーモノとしてSCPや怪奇現象、現実ではあり得ない創作的な世界で起こり得る重大事態も扱う、非常に多種多様な動画となっている。
動画のフォーマットとしては、実在するシステムを再現したものもあれば、近年はいたずら防止の目的も含めてか、完全オリジナルの緊急警報用のシステムを創作した動画も登場してきている。
創作の内容によっては複数の組織がいがみ合っていたりなど、それを理由にした緊急警報のシナリオも存在している。
なお、いたずら目的で使うのもあれば、あまりにもリアルすぎてジョークの範疇を超えかねないので、視聴時にも音量に注意し周囲に配慮することが動画の冒頭や概要などで説明されていることがほとんどである。
基本的な展開・シチュエーション[編集]
超巨大災害系[編集]
主に日本の動画で見られるもので、緊急地震速報→震度速報→場合によっては津波警報画面の流れになっている。 これはNHKがそういう風に放送しているため、同じように動画も構成されている。
地震大国と言われる日本なのもあってか、緊急警報放送もほとんど地震にまつわるものがほとんどだが、中には『君の名は。』を題材にした隕石落下のJ-ALERT放送、『エヴァンゲリオン』を題材にした特別報道放送を想定した動画も存在している。
海外でも大災害系は使われているが、こちらはもっと深刻なものになっており、場合によってはテレビ放送そのものがシグナル停止するという絶望的な終わり方をするものまである。(発信局そのものが巻き込まれたという演出)
災害とは少し異なるが、ゾンビウィルスによる想定動画も存在しており、パンデミックによるアポカリプスの後の世界も放送で描いた動画もある。(東京連合はその一種である)
また新技術投入による新たな災害(AIによる暴走や、「6G」における致命的なバグで空間そのものが歪む……など)についても扱われているが、どれもシンギュラリティが現実味を帯びているため逆に扱われなくなっているのも事実ではある。
軍事系[編集]
海外でよくみられるもので、大半は「第三次世界大戦」を想定したものとなっている。 2022年以降はロシア・ウクライナなど世界情勢がどこもかしこも悪くなっている関係で実際に勃発しかねない状況なため、ジョークではなく本気で想定されたものまで存在している。
よくあるものとして「敵国から核ミサイルが発射され、残り時間がカウントダウンされるのと同時にシェルターなどに避難せよというメッセージ」が多く、最終的にカウントダウンが0になったりその直前に放送が大幅に乱れて信号が無くなるという終わり方が多い。
ひょっとしたら『フォールアウトシリーズ』なども深く関係しているものかもしれないが、『4』では「自国での核爆発報道後にしばらくお待ちくださいの画面のまま滅亡」するという状況とはなっている。
以降もどういうわけかその画面のままとなっているが、世界がズタズタになっているのに何故テレビ局の電波が送信し続けているのかはさっぱりさるさぱらりらである。(むしろ誰かが送信機をコントロールして独自のテレビ局を放送していると思うが)
また未来とは逆に「もし過去の世界に緊急警報の放送があったら」というのを想定して第二次世界大戦を舞台にした動画も存在しているが、制作時の研究不足か当時のその国家が絶対に使わないであろう単語・言語の出現が目立っている。
更に日本が仮に分割統治されていた時の動画も複数存在しており、日本同士による戦争で緊急警報が発報された動画も存在している。
超常現象・SCP系[編集]
SCPを代表とするファンタジーのような超常現象をそのまま緊急警報放送として扱うものも最近は増えており、近年は「EAS Scenario」と「SCP」を併記しての動画も増えてきている。 動画によってはSCPそのものが登場することもあるが、パターンはその限りではない。
日本であれば異世界系もあればその逆パターン、そもそも現実世界そのものがおかしなことにもなっているので、ネタには全く困らないのだが製作する人が少なすぎるのであんまりそのネタは見られない。
今のところ東京セキュア財団とその関連組織がこれらを得意としている。
最後に国歌斉唱[編集]
よく出てくる演出として、もう国家がどうにもならないと悟って最後に国歌斉唱するというパターン。 そして国歌が流れる途中で弾着して放送信号が止まるという演出までが動画の内容となっていることが多い。
国歌ではない場合でも「あなた方に神の御加護があらんことを」や「幸運を」(Good Luck.)で終わる場合も絶望的な状況で終わることを示唆するものが多い。
LOCAL58の『有事対応』で放送事故という演出で流れた映像が、こうした自体を想定したものと同じようなものとなっており、日本では汚れたインターネットミームと融合した『日本国尊厳維持局』がよく知られている。
また日本政府が直で「国家存続危機」という映像を放送するというのもこの一種とは言えるかもしれない。
放送スタイル[編集]
現実のものと同じもの[編集]
日本の緊急警報放送系の動画では、NHKのものをベースにした動画がほとんどを占めている。 J-ALERTについてもほぼそのままのレイアウトが採用されていることが多い。
海外でも同じようにアメリカのEASやオーストラリアのEASなどを使用したものがあるが、近年それが著作権違反になる可能性もあるため、似たものを使用しているか完全なオリジナルの画面に移行していることが多い。
また研究不足で本来使用している効果音と違うものがあったり、それぞれがシステム違うのにごちゃまぜになっていることもある。(スマホで通達される音が何故かテレビ放送で使われているなど)
自国で使われているものを他国で適用させる系[編集]
その国で発生したという設定であっても資料らしい資料がない場合、完全オリジナルのものではなくて自国で採用されているものをベースに適用させる動画も存在している。
特に日本のJ-ALERTやNHKの特別報道番組の内容、通常時の放送までは研究しきれていないのか、海外の動画では思い思いの日本の緊急警報放送を製作しており、その度に日本人から「(機械翻訳の意味も含めて)ちょっとおかしいね」と言われるまでがテンプレである。
ちなみに日本の緊急地震速報(EEW)はかなり有名なのもあってか、自国ではまだEEWと同様のシステムがないために日本の緊急地震速報を導入するというこのパターンとは逆のものもあれば、日本人が北朝鮮に緊急地震速報を入れたらという変なパターンも存在する。
完全オリジナル系[編集]
前述したように現実世界と同様の緊急警報放送の動画を製作してしまうと、著作権違反から悪戯目的に使われる危険性も高いため、完全なオリジナルレイアウトで動画を製作するパターンも増えている。 製作者によってはフォーマットや色を統一することもある。
日本では近未来の作品でそうした処置をとることも多く、NHKのものをベースにしつつオリジナルの要素も入れるというパターンも存在はしている。 また崩壊世界で新たな国家(東京連合)によるテレビ放送が介入する、宇宙人による乱入などのパターンもある。
また「BBCによる緊急警報放送」の資料があまりないのもあってか、BBCの緊急警報放送も動画ごとにフォーマットが異なっているのも、このオリジナル系の一種とは言える。
こうしたことは『NNN臨時放送』の再現動画でも時より起きる話で、犠牲者の名前が現実的にあり得ないものになっていたり、あり得てもインターネット上ではネタである確証が取りやすいものにしているのは、実際に起きた時の責任が取れないというのを防ぐ意味合いもある。
ただ現代においては小説よりも現実の方が遥かに不可思議なことをしている関係で、そういう対策をしても無駄になる可能性も出始めているのは確かである。
オリジナルのものは動画ごとにオリジナルに作られることがほとんどだが、中には東京セキュア財団の「東京セキュアシステム」のように共通したシステムによるシリーズモノも存在している。
またAlert Worldなどでは細かなフォーマットは違えど、単色系で大まかなフォーマットを共通化しているパターンもある。