日本の図書館における漫画
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図書館学の分野において、漫画はコミック資料 (comics material) とかたく呼ばれることもある[1]。このページでは、議論が続けられてきた図書館における漫画[2]について概説する。
漫画は書誌コントロールの対象から長らく排除され、図書館が収蔵の対象とすることもなかった[1]。この例外として『サザエさん』や『クリちゃん』があり、人口に膾炙したこれらの漫画だけは、一般の図書館で取り扱われることも少なくなかった[3]。しかし、現在では漫画を図書館資料の一つとして認め、取り扱うケースが増えてきている[4]。また、貸出件数の向上という愚直な考えで漫画を導入する図書館も見受けられる[4]。
需要の拡大に伴って発生した現在の課題として、漫画の提供と保存をどのようにやっていくのか[1]、予約の対応をどのようにするのかという問題があげられる[5]。
漫画を専門に扱う図書館[編集]
広島市まんが図書館をはじめとした、いくらかの館は、漫画を専門とした図書館として知られている。京都国際マンガミュージアムは、誰でも館内閲覧が可能な5万冊の漫画[6]に加え、調査研究のためだけに開放された25万冊の漫画、計約30万冊を蔵書に収めている[7]。国立国会図書館は、法定納本が義務付けられている国内唯一の図書館である。しかし、貸本屋だけで流通していた漫画はその特殊性から、国立国会図書館にすら所蔵がないものが数多く存在する[8]。現代マンガ図書館は、このような国立国会図書館にすらない資料を所蔵している[8]図書館として貴重である。以下では漫画を専門に扱った図書館を一覧にして列挙する。ただし、今でいう所の漫画喫茶のような業態や私設文庫レベルの規模が多くを占める点に留意。
- 現代マンガ図書館(東京都千代田区神田猿楽町1-7-1、1978年4月1日 - )[9]
- まんがサミットハウス(岐阜県飛騨市宮川町杉原、1994年5月1日? - )[10]
- 開館時蔵書は2万7000冊[10]。
- 吉備川上ふれあい漫画美術館(高梁市川上町地頭1834番地、1994年4月29日 - )[11]
- 1989年に漫画図書館として仮開館している[12]。
- 広島市まんが図書館(広島市南区比治山公園1番4号、1997年05月01日 - )[13]
- 北九州市漫画ミュージアム(福岡県北九州市小倉北区浅野二丁目14-5、2012年8月3日 - )
- 蔵書は7万冊。[14]
2017年現在閉館[編集]
- あすかマンガ図書館(奈良県大和高田市東三倉堂9-6、開閉館日不詳)[3]
- 京都マンガ図書館(京都市左京区一乗寺払殿町、1986年4月[15] - 1991年末[16])
- 閉館時には6万冊の蔵書が存在した[16]。
- まんが図書館(宇都宮市池上町3丁目3番地、1988年12月初旬?[註 1][17] - ?)
- 開館時蔵書は約1万6000冊[17]。
- えーひこべや(川崎市多摩区生田5丁目、1992年9月12日? - ?)[18]
- 開館時蔵書は約2000冊[18]。
- まんが図書館(小山市若木町二丁目、1997年1月上旬 - ?)[19]
- 開館時蔵書は2万2000冊[19]。
- 漫画図書館(高松市瓦町2丁目、1998年1月頃 - ?)[20]
- 開館時蔵書は1万3000冊[20]。
参考資料[編集]
- 『最新 図書館用語大辞典』 図書館用語辞典編集委員会、柏書房、2004年4月30日、初版。ISBN 4-7601-2489-6。
- 『図書館情報学用語辞典』 日本図書館情報学会 用語辞典編集委員会、丸善出版、2013年12月25日、第4版。ISBN 978-4-621-08774-9。
- 『図書館用語辞典』 図書館問題研究会 図書館用語委員会、角川書店、1982年10月30日。
註釈[編集]
出典[編集]
- ↑ a b c 日本図書館情報学会 用語辞典編集委員会 2013, p. 79.
- ↑ 図書館用語辞典編集委員会 2004, pp. 526-527.
- ↑ a b 図書館問題研究会 図書館用語委員会 1982, p. 610.
- ↑ a b 図書館用語辞典編集委員会 2004, p. 526.
- ↑ 図書館用語辞典編集委員会 2004, p. 527.
- ↑ マンガ資料 | 京都国際漫画ミュージアム - ウェイバックマシン(2021年12月6日アーカイブ分)
- ↑ “研究閲覧室”. 京都国際漫画ミュージアム (2017年6月15日). 2023年3月30日確認。
- ↑ a b “消えゆく貸本マンガ 散逸し収集難しく、レトロ流行で高値 「全点を」私設図書館長が執念 漫画”. 朝日新聞 夕刊 (朝日新聞社). (1978年6月11日)
- ↑ “戦後マンガ史 三万冊一堂に 初の図書館が完成 早稲田 図書館”. 朝日新聞 朝刊 東京面 (朝日新聞社). (1978年3月31日)
- ↑ a b “飛騨・宮川村に「まんが図書館」オープン 宿泊もOK”. 朝日新聞 朝刊 名古屋版 (朝日新聞社). (1994年4月13日)
- ↑ “吉備川上ふれあい漫画美術館”. 高梁市. 2017年6月15日確認。
- ↑ “漫画にかけろ、まちおこし 自治体が記念館や施設オープン”. 朝日新聞 朝刊 (朝日新聞社). (1997年10月14日)
- ↑ a b c “貸し出しOK、まんが図書館 公立で初、無料で 広島市”. 朝日新聞 朝刊 大阪版 (朝日新聞社). (1997年5月1日)
- ↑ 北九州市漫画ミュージアムとは | 北九州市漫画ミュージアム
- ↑ “「京都マンガ図書館」、経営ピンチ”. 朝日新聞 朝刊 (朝日新聞社). (1988年10月7日)
- ↑ a b “貴重な本、譲ります 資金続かずにマンガ図書館閉館 京都”. 朝日新聞 夕刊 大阪版 (朝日新聞社). (1992年1月18日)
- ↑ a b c “まんがばかり16000冊、会員制の図書館オープン 宇都宮市”. 朝日新聞 朝刊 (朝日新聞社). (1988年11月20日)
- ↑ a b “マンガ図書館に寄ってごらん 川崎・多摩区の元中学教師が設立”. 朝日新聞 朝刊 (朝日新聞社). (1992年8月23日)
- ↑ a b “日本最大?蔵書ざっと二万二千冊 小山の「まんが図書館」好評/栃木”. 朝日新聞 朝刊 (朝日新聞社). (1997年2月5日)
- ↑ a b “蔵書は1万3000冊 高松に漫画図書館オープン /香川”. 朝日新聞 朝刊 (朝日新聞社). (1998年1月21日)