幽霊と推進機
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『幽霊と推進機』(ゆうれいとスクリュウ)は夢野久作の短編小説である。昭和7年10月に「新青年」第十三巻第十二号にて発表された。『元の日活社長S・M氏』が作者に話した実体験の怪談、という設定で書かれている。歴代日活社長のうちS・Mのイニシャルを持つ者としては「森田佐吉」が挙げられるが、これが社長に就任したのは昭和11年の事であり、作品発表の方が古い。昭和7年以前にS・Mのイニシャルを持つ社長は居ない(但し執筆者の調べが甘い可能性あり)ため、たぶん架空の人なのであろう。作品内容は明治19年の夏にS・M氏が乗ったシンガポール行きの貨物船内が舞台。チフスに罹患し海葬された船員2名が何度も船内にまた現われる、というホラー風味の筋書きである。「死者の復活」という原始的にホラーな内容を「記憶と幻覚の作用」という近代的科学的な解釈説明によって収束させるラストは夢野久作独特のものであり、彼の代表作『ドグラ・マグラ』やその他諸作品にも通じるテーマを孕んでいる。
外部リンク[編集]
- 青空文庫 - 本文を無料で読むことが出来る。