大津園児死傷事故

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

大津園児死傷事故(おおつえんじししょうじこ)は、令和元年(2019年5月8日午前10時15分頃、滋賀県大津市の大萱6丁目交差点で直進車両と右折車両が接触し、そのはずみで直進車両が保育園児らの列に車が突っ込み、園児ら16人が死傷した交通事故である。

概要[編集]

「車両の運転者は、互に他の運転者が交通法規に従つて適切な行動に出るであろうことを信頼して運転すべきものであり、そのような信頼がなければ、一時といえども安心して運転をすることはできないものである。そして、すべての運転者が、交通法規に従つて適切な行動に出るとともに、そのことを互に信頼し合つて運転することになれば、事故の発生が未然に防止され、車両等の高速度交通機関の効用が十分に発揮されるに至るものと考えられる。したがつて、車両の運転者の注意義務を考えるに当つては、この点を十分配慮しなければならないわけである。」(昭和42年10月13日 最高裁判所第二小法廷 刑集 第21巻8号1097頁)

さて、道路交通法37条は「車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない。」と定めている。直進車両の運転者は右折車両の運転者が上記の法規を順守すると信頼したものと考えられる。また、上記の信頼が不相当であったとも考えられない。つまり、直進車両が右折車両と接触したことになんら過失はなく、道路交通法37条に違背した右折車両にのみ過失が存在する。

次に、接触後、制動により園児に突っ込むことを回避し得たかを検証する。 グーグルマップ航空写真で滋賀県大津市の大萱6丁目交差点で右折車両と直進車が接触したであろう地点から歩道までの距離を測定すると、10.74mである。さて、直進車両の制限速度は60km/hである([1] 「滋賀・大津市で起きた衝突事故現場」)。60km/hの自動車の空走距離は15mを超えている([2] 「速度による停止距離 - 警察庁」)。つまり、直後の直進車両運転者が園児に突っ込む前にブレーキを踏むなど土台無理な話であり、また、よしんば踏めたとして、制動距離も合わせた停止距離は35mを超えている(出典同じ)。つまり、直進車両運転者が園児に突っ込むのを回避する等不可能であり、直進車両運転者に過失はなく、とどのつまりが本件交通事故の過失は右折車両運転者にのみ存在する、と考えられる。一方で、直進車両運転者にも過失割合(過失相殺)が存在するとの考え方もある。

  • 2020年2日17日、大津地裁で右折車両の女に禁固4年6カ月の判決が言い渡された(求刑は禁錮5年6カ月)。
  • 2021年5月7日、遺族は大津検察審査会に、直進車両運転者に下された不起訴処分を不服として、申し立てをした。
  • 2021年12月20日、大津検察審査会は、直進車両運転者に下された不起訴処分を「不起訴相当」とした。