名数秘法
『名数秘法』(めいすうひほう、原題:英: Name and Number)は、イギリスのホラー小説家ブライアン・ラムレイによる短編ホラー小説。タイタス・クロウのシリーズでありクトゥルフ神話。
1981年1月に書かれ[1]、セミプロジン『カダス』に掲載された[2]。
テーマは数秘学と反キリスト[2]。米ソ冷戦の時代に書かれた話であり、ラムレイは執筆前年まで職業軍人としてイギリス軍に奉職し、核戦争の緊張感を目の当たりにしていた。またラムレイはアザトースを核の力とみなしてクトゥルフ神話に位置付けている。
あらすじ[編集]
碩学セルレッド・グストーは、スルスエイ山の噴火跡地から、古代ティームフドラ大陸の魔術師テフ・アツトの魔道書を入手する。グストーは、タイタス・クロウに翻訳を依頼し、タイタスは対価として複製を作る許可を得る。かくして、タイタスは古代の魔術の知識を己のものとする。
武器商人シュトルム・マグルゼル・Vは、英国政府に新防衛システムを売り込んでいた。だが彼の真の目的はテロである。タイタスは、MODがマグルゼルに原子爆弾を発注していたことを突き止め、英国がマグルゼルの陰謀に騙されていることを知る。マグルゼルは、手始めに世界の複数個所に原爆を落とし、続いて新兵器で報復戦の連鎖を起こさせることで、最終的には人類を絶滅させることを目論んでいた。
タイタスは、マグルゼルを葬り去らねばならないと決意する。お互いの数と名前を把握した2人の戦いは、数秘術を駆使した知略戦となる。タイタスを強敵と勘付いたマグルゼルは、工場敷地内の私設飛行場から国外へ脱出しようと試みるが、タイタスは追いつき、敵の数を宣言して生殺与奪を握る。続いてタイタスは情報を政府に流し、原爆を撤去させる。マグルゼルは世間的には謎の急死を遂げ、原爆の件も隠蔽される。マグルゼルの遺灰は風に撒かれる予定である。
アンリ‐ローラン・ド・マリニーは、1964年3月6日の深夜に、タイタスの自宅に呼び出される。タイタスはアンリに、自分とマグルゼルが戦っていたことを説明する。アンリは、マグルゼルが既に死んでいたことに拍子抜けしたものの、説明を聞くうちにマグルゼルの仕掛けを理解し、戦慄に震える。だが、タイタスの読みはさらに上回っており、マグルゼルに完全勝利する。
登場人物[編集]
- タイタス・クロウ / Titus Crow
- 魔術師・数秘家。戦時中はMODに所属していた。
- アンリ‐ローラン・ド・マリニー
- 語り手。タイタスとは30年来の友人。
- シュトルム・マグルゼル・V / Sturm Magruser V
- 7ヶ国に10の工場を持つ兵器商にして、テロリスト。ペルシャ人とドイツ人の混血であり、アルビノ体質。1921年4月1日に生まれ、1964年3月4日に死去した。
- 数秘術に長け、名前と数には何重もの仕込みがあり、知略で完勝しなければ倒しきれない化物。
- 大英博物館の学芸員
- タイタスの協力者。
- セルレッド・グストー / Thelred Gustau
- アイスランド人。スルスエイ山の噴火現象[注 1]を調査していた。
- 名前はAugust Derlethのアナグラム。
- テフ・アツト
- 古代ティームフドラ大陸の魔術師。