十九の春

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十九の春』(じゅうくのはる)とは、ラッパ節を元に派生し、沖縄県で歌われている民謡である。このラッパ節を元に、主に鹿児島県奄美群島地方や沖縄県、福岡県などでも別歌詞で歌い継がれている。

概要[編集]

十九の春は明治38年に日本中で流行した、ラッパ節(トコトット節)の旋律を用いて歌われている民謡である。ラッパ節は東京の演歌師として活躍していた添田唖蝉坊(そえだあぜんぼう)によるもので、当時、歌いやすい歌を知人に要望されて作詞・作曲したものとされる。ラッパ節の歌詞は当時の情景を歌ったもので、若者の恋もあれば、生活習慣なども歌っている。

本記事名の十九の春は、沖縄民謡として歌われているものであり、ラッパ節の旋律を組む中では最も知名度の高いものである参考

その他有名なところでは、福岡県の「炭坑節」もこのラッパ節を元にしており、「月が出た出た月が出た」という歌い出しは有名である。

また、主に沖縄県の酒会の場では、この歌を即興で替歌をして楽しんできたともされている。

本記事では、「ラッパ節」、「炭坑節」、「十九の春」の歌詞をとそれぞれの情報を紹介する。また、十九の春を元にした英詩も紹介する。

ラッパ節(トコトット節)[編集]

前述のとおり、添田唖蝉坊により作曲されたものである。歌詞は多数存在し、明治38年の日露戦争後の時代を歌ったものである。これらは恋の歌もあれば、軍人を介抱する歌もあったり、財産分与に関するものまで様々である。

ここでは、5首のみを掲載するに留める。より詳しく知りたい方は五十雀俗謡集 - ラッパ節佐原ばやしの 唄の詞 - ラッパ節を閲覧して欲しい。

この歌詞は、実際はお囃子として「トコトット」という囃子詞(はやしことば)を付けて歌われる。この囃子詞が印象的であったため、トコトット節とも呼ばれる。この囃子詞が付くか否かで時代背景や歌詞の派生を紐解くことができるとする研究者も居る[1]

なお、ラッパ節の日本大百科全書ニッポニカ)における解説においては作詞・作曲者は不詳とされているが、この見方はやや劣勢である[2]

ラッパ節 - 添田唖蝉坊
  1. 今鳴るラッパは八時半
    それに遅れりゃ重営倉
    今度の休みは無いじゃなし
    はなせ軍刀にさびがつく
  2. 倒れし兵士を抱き起こし
    耳に口あて名をよべば
    ニッコリ笑って目に涙
    バンザイとなうも口の内
  3. 海軍大将胸先で
    ピカピカ光るはなんでしょね
    金鵄勲章か違います
    かわいい兵士のシャレコウベ
  4. 寝ている芸者をゆり起こし
    裾をまくってながむれば
    三国一の富士の山
    甲斐て見るより駿河よい
  5. 石の地蔵さんに団子あげて
    どうかよい子ができるよに
    そこで地蔵さんのいうことにゃ
    団子じゃいけない餅あげろ
佐原ばやしの 唄の詞 - ラッパ節にて掲載されている先頭5首を引用。

炭坑節[編集]

炭坑節は盆踊りで用いられる歌として有名である。この歌の原型は先述のラッパ節であり、三池炭鉱の女性労働者達が歌っていた「伊田場打選炭唄」が後に編曲を経てレコード化されたとされている[3]。なお、より詳しくラッパ節との関係を探していくと、添田唖蝉坊によるラッパ節の別歌詞である「奈良丸くずし」という歌詞に影響を受けていたとする文献もある[4]

炭坑節
  1. 月が出た出た 月が出た(ヨイヨイ)
    三池炭坑の 上に出た
    あまり煙突が 高いので
    さぞやお月さん けむたかろ(サノヨイヨイ)
  2. あなたがその気で 云うのなら(ヨイヨイ)
    思い切ります 別れます
    もとの娘の 十八に
    返してくれたら 別れます(サノヨイヨイ)
  3. 一山 二山 三山 越え(ヨイヨイ)
    奥に咲いたる 八重つばき
    なんぼ色よく 咲いたとて
    サマちゃんが通わにゃ 仇の花(サノヨイヨイ)
  4. 晴れて添う日が 来るまでは(ヨイヨイ)
    心一つ 身は二つ
    離れ離れの 切なさに
    夢でサマちゃんと 語りたい(サノヨイヨイ)
世界の民謡・童謡 - 炭坑節 たんこうぶしより引用。

十九の春の歌詞[編集]

十九の春は、ラッパ節を元にしたものの中でも、囃子詞のない所に特徴が見られる。この理由は、ラッパ節が流行していくなかで、囃子詞のない歌詞が元になって伝わっていったからだと見られている。なかでも男女の掛け合いに重点を置かれるなどの特徴が見られる。


十九の春 沖縄俗謡 補作詞:本竹裕助
  1. (女)
    私があなたに ほれたのは  ちょうど十九の 春でした
    いまさら離縁と 云うならば  もとの十九に しておくれ
  2. (男)
    もとの十九に するならば  庭の枯木を 見てごらん
    枯木に花が 咲いたなら  十九にするのも やすけれど
  3. (女)
    みすて心が あるならば  早くお知らせ 下さいね
    年も若く あるうちに  思い残すな 明日の花
  4. (男)
    一銭二銭の 葉書さえ  千里万里と 旅をする
    同じ那覇市に 住みながら  逢えぬ我が身の せつなさよ
  5. (女)
    主(ぬし)さん主さんと 呼んだとて  主さんにゃ立派な 方がある
    いくら主さんと 呼んだとて  一生添えない 片想い
  6. (男女)
    奥山住まいの ウグイスは  梅の小枝で 昼寝して
    春が来るような 夢をみて  ホケキョホケキョと 鳴いていた
五十雀俗謡集 - 十九の春より引用。

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外部リンク[編集]