俺氏、異世界学園で『女子トイレの神』になる。

『俺氏、異世界学園で『女子トイレの神』になる。』（おれし、いせかいがくえんでじょしといれのかみになる）は、周防ツカサによる日本のライトノベル作品。イラストはもくふう。

概要

2016年1月9日に電撃文庫より刊行された。電撃文庫からは、『ラストダンジョンへようこそ』に続く周防ツカサの作品となる。

ストーリー

地球と異世界を繋ぐ『扉（とびら）』が自然発生。異世界の種族が現れて、交渉や調整が行われて『異世界連合』という組織ができる。そこで異世界文化交流を目的とした異世界連合学院が作られた。

内閣総理大臣の三男坊である世良隼也は、父親によって異世界連合学院に通うことになるも周囲に馴染めないでいた。そんな中で、しっかり者のクラス委員長アイリス・オースティンの秘密を知ることとなる。アイリスによって、誰か困った人がいると女子トイレに召喚されて相談を受けることとなってしまうのだった。

登場キャラクター

異世界連合学院

世良 隼也（せら しゅんや）

本作の主人公。内閣総理大臣の三男。父親によって、四月下旬に異世界連合学院に転入して一年C組に所属する。アプリの自作が得意。ボイスチェンジャーアプリによって、自分の声を元に声優や俳優の声を出せる。

小学生時代に当時の国務大臣だった父親が失言問題で騒がれて同級生に「失言、失言」とからかわれてからトラウマとなる。ちょっとでも間違ったことを言うと同級生に指摘されると恐れて、極端に口数が少なくなって中学を卒業するまでボッチな生活を送ってきた。異世界連合学院に転入してきた当初もクラスメイトと話せずに友達のいない日々を過ごしてきた。

ある日、トイレにこもっていたときに女子トイレからアイリスの声が聞こえてくる。次の瞬間、アイリスのいる女子トイレの個室に召喚されてしまう。アイリスが悲鳴をあげたため、咄嗟に口をふさいでやり過ごす。そして、何とかアイリスに事情を説明したとところ、アイリスが故郷の神の天空神（てんくうしん）マーテルを召喚しようとしていたら間違って隼也を召喚してしまったと分かる。アイリスは反省するも、その後も隼也はアイリスの召喚魔法で何度も召喚されてしまう。

召喚されているうちにアイリスが飛べないことを隠していることなどを知って、アイリスと自分の境遇が似ていると思うこととなる。そんな中で、アイリスがみんなに飛んでみせてくれと言われているのを見て、見過ごせないと止める。すると、逆にユリアンに感謝される。そして、今まで自分が「外の世界の連中には興味がない」と思われていたことを知り、自分の意思を伝えなければ周囲には何も伝わらないという当たり前のことに気づいた。

アイリスによってトイレに何度も召喚したことによって、「東校舎三階の女子トイレで願いや悩みを抱えた女子生徒が神頼みする」と隼也が女子トイレに自動召喚されてしまうようになる。女子トイレに召喚されると周囲が明るくなるため、不在でごまかすことができずにボイスチェンジャーアプリによって神様を演じて相談を受けていくことになる。アイリスのフォローを借りて相談を受けていく。その場で解決できないときには、『神様の導き』として外部の協力者を装って自分やアイリスに接触して相談するように仕向けて行く。

アイリス・オースティン

一年C組のクラス委員長の女子。有翼人（ゆうよくじん）で、背中に真っ白な大きな翼が生えている。真面目で嫌味のない優等生で一年C組の人気者。個性的なクラスメイトに翻弄されつつも、まとめているしっかり者。

実は、他力本願で有翼人の守護神のような存在である「天空神（てんくうしん）マーテル」を召喚魔法で呼び出して相談に乗ってもらっていた。これは、故郷にいたころからの習慣で、ささいなことまで相談していた。ある日を境にマーテルを呼び出すことができないようになって、代わりに隼也を召喚してしまうこととなる。

翼の大きな一族だが、実は飛ぶことができない。そのことを気にしていて周囲には隠している。Aの爆発から隼也を助けるときに一度飛べたが、その後はまた飛べなくなっている。

マーテルを召喚しようとしたことで、飛べないことを隼也に知られてしまい、その他の恥ずかしい話も知られてしまう。そして何度も召喚したことによって、「東校舎三階の女子トイレで願いや悩みを抱えた女子生徒が神頼みする」と隼也が女子トイレに自動召喚されてしまうようになる。そして、何とか自動召喚を解除する方法を探しつつ、隼也の相談を全力でフォローすることにした。

フィオナが自分の翼を奪おうと言われていることをトイレの神様に相談していたことを隼也から聞かされる。そして、フィオナが学校からいなくなる事態にならないように自分たちだけでこのことを解決しようと提案して、隼也と一緒に動く。そして、フィオナの上司であるAをみんなの協力で捕まえて無事にフィオナが学院に残ることができた。

ネット中毒気味でエッチなサイトを見たりもしている。やや、妄想が激しいところもある。ノエルと隼也の三人で出かけたときにスマホを買っているが、隼也によってフィルタリングをかけられてエッチなサイトを見れないようにされている。

ノエル

エルフ族。一年D組。金髪碧眼の美少女。隼也のことは「セラっち」と呼ぶ。元気でノリの良い性格。隼也が男の生理現象を起こしたと勘違いした時も、笑っていた。

女子トイレの神様こと隼也に故郷では魔法に頼った生活をしていたが、学院では魔法が禁止なので不便で困っていると相談する。そして、アイリスと隼也の三人で『リバーモール門世（かどせ）』に出かける。そこで、隼也の紹介したスマホや家電商品などを買って満足した。

フィオナ・ハイドフェルド

一年C組の女子。額に角を持ち、尻尾を持つ魔人族の少女。褐色の肌。『心なき毒舌』の二つ名で呼ばれている。入学以来、何人もの男子に告白されているが全員振って、毒舌を喰らった男子は学校を休んでいるという話もある。魔人ということで耳がよく、アイリスと隼也の会話を聞いてアイリスが飛べないことを知るも内緒にしてくれている。相手を激励しようとしてきつい言葉になることも多く、誤解されやすい。

故郷では貧民街で暮らしていた孤児。雇い主に「私の計画を手伝ってくれたら人並み以上の生活を与えてやろう」と言われて、異世界連合学院に行ったところでアイリスの翼を奪うように言われる。有翼人の翼には膨大な魔力が蓄えられている。かつての故郷では翼狩りがされていて、雇い主はその禁忌を犯そうとしている。直属の上司が監視に付いており、上司個人の情報を特定できる言葉を口にすると命を絶たれるという呪いをかけられている。アイリスがいい人だということを知って葛藤し、トイレの神様に相談する。

アイリスや隼也たちの協力によって、上司のAが捕まって呪いも解いてもらう。そして、世良隆也によって奨学金の手配もしてもらい、学院に残ることができた。

ユリアン

一年C組の男子。オーク。素肌に学ランを羽織っており、身長二メートル、体重百八十キロというクラス一の巨漢。威圧感のある見た目と裏腹に気の良いやつ。棍棒部の部長を務めており、他のオークたちと一緒に活動している。一年C組のムードメーカー的存在。現在のオークキングの息子。隼也のことを王子と呼んでいる。

オーク族の評判が悪いということで、外の壁から登って女子トイレの神様に相談。神様の導きによって、アイリスと隼也に屋上で相談した。アンケートでオークの評判が「エロファンタジーにおける女騎士との絡み」という風評被害が上位となったことにショックを受ける。そして、イメージを変えるために行動するが、極端な方向に行ってしまって空回りする。だが、隼也の言葉を聞いて得意なことを伸ばすことにして、「オークズ・ビー・アンビシャス!」と棍棒を振り回しながら他のオークたちと一緒に歌って踊る。そして、「オークズ・ビー・アンビシャス!〜オークよ大志を抱け〜」と名付けた動画を投稿したところ、口コミで評判になっていく。結果的にイメージアップにつながった。

アイザック

一年C組の男子。半魚人。一人称は「ボク」。常に白衣をまとっていて、ポケットから白い粉（塩）の入った小瓶を持ち歩いている。食事は塩水だけを取っている。「ふっ」と笑う癖がある。父親は半魚人を束ねる族長。

フレイムハートにデートに誘われて出かける。そこで、フレイハートの属性がオンになったことで白衣が燃えるが、故郷でも全裸で過ごしていたから大丈夫と外に出たところで警察に連れて行かれている。

フレイハート

一年C組の女子。炎の精霊。フロストンとは仲が悪い。

好きな人をデートに誘いたいと、トイレの神様こと初めて自動召喚された隼也に相談。アイザックの死んだ魚のような目がクールでたまらないとのこと。アイザックとデート中にノエルの買い物に付き合っていた隼也とアイリスに出会う。素直じゃない性格でデートと言われて否定するも満更でもない様子を見せた。その後、アイザックにワンピースを試着して褒められたことがうれしくて、つい属性をオンにしてしまってアイザックの服もろとも服を燃やしてしまう。アイザックの塩水によって消火されて大事にはならなかったが、故郷では全裸で生活していたとそのまま外に出たところで警察に連れて行かれたことで動揺して、相談したために隼也が女子トイレに召喚されている。

フロストン

一年C組の女子。氷の魔獣。フレイハートとは仲が悪い。

ベティーナ

一年C組の女子。セイレーン。下半身が魚なので、下半身を水槽の水に浸した状態で授業を受けている。魅了の歌声で男子たちに水槽を運ばせたりしている。

一条（いちじょう）

一年C組の担任の男性教師。一時、Aによって体を操られていた。

早乙女 早織（さおとめ さおり）

一年D組の副担任で数学教師。一時、Aによって体を操られていた。

その他

世良 隆也（せら たかや）

内閣総理大臣。隼也の父親。隼也を異世界連合学院に通わせる。

A

本名不明。フィオナの監視役。フィオナに自分の情報を特定できることを言ったら命が絶たれる呪いをかけた。正体は赤い煙のような姿であり、相手の体に入って操ることができる。実はフィオナの監視役というだけでなく、雇い主でもある。

隼也たちが動いたことで直々にアイリスの翼を奪おうとする。他のみんなもかけつけてくるも、ユリアンの身体を乗っ取るなどして戦うも、ノエルが持っていたドライヤーに吸い込まれる。その後、警察に捕まってフィオナにかけた呪いも解いている。

オーク

棍棒の扱いに一番長けているものが『オークキング』の称号を受けて王となる棍棒で全てが決まる社会に生きる種族。

用語一覧

異世界連合学院（いせかいれんごうがくいん）

人口20万人ほどで海沿いにある過疎化が進んでいる町「門世町（かどせちょう）」にある学院。工場跡地に建てられた。教師は全員日本人だが、人間以外の種族が多く通っている。

許可のない魔法や魔術の使用は原則的に禁止されている。例外的に、体質的に熱や冷気を発してしまう場合や使わないと命に関わったり体調が悪くなる場合には使用許可が下りるようになっている。

単行本

タイトル	初版発行日	ISBN	その他	サブタイトル
俺氏、異世界学園で『女子トイレの神』になる。	2016年1月9日（2016年1月9日発売）	ISBN 978-4-04-865688-7		プロローグ 第一話 秘密の女子トイレ 第二話 神様就任 第三話 オークズ・ビー・アンビシャス 第四話 二人の想いと真実 第五話 自由を手に入れるために エピローグ

外部リンク

• 俺氏、異世界学園で『女子トイレの神』になる。｜電撃文庫公式サイト