二重心臓

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二重心臓』(にじゅうしんぞう)とは、夢野久作の中篇推理小説。昭和10年(1935年)8~11月に、『オール読物』(第3巻第8-11号)へ連載された。

概要[編集]

経営的にはやや行き詰っているものの、『怪奇趣味専門の劇場』ということでいえば国内トップクラスである、その劇場主がある日刺殺された。劇場主の養女で、劇場の花形女優でもある天川呉羽は、彼の死を知った直後、犯人への復讐を口走る。それから1ヶ月ほどして、彼女は事件の真相を暴露する劇を興行する。ラストの部分は、脚本家も演出家も共演者も内容を知らされていない独り語り。そこで明かされた真実は実に驚くべきものだった・・・・・!

因みに心臓はあまり関係ない。

登場人物[編集]

轟 九蔵
殺害された劇場主。呉羽の養父。呉羽との性的関係が疑われる。
天川 呉羽
劇場の花形女優で、九蔵氏の養女。全ての真相を明かす劇を執り行う。
笠 圭之介
劇場の支配人。呉羽と結婚したいと思っている。
江馬 兆策
劇場の脚本家。美人の妹・ミドリを持つ。
ふたり揃って朝鮮出身であるらしく叙述されているが、何故なのかの説明は最後までされていない。
この人物も呉羽との関係が疑われている。
「江馬兆策」という姓名や、“田舎ダネの下らない探偵小説を何とかかんとか言ってアトカラアトカラ本屋へ持込む”といった叙述は、作者の夢野久作自身をモチーフとしているかと思われる。
江馬 ミドリ
兆策の妹。彼とは裏腹にとても美形で、また歌手としての才能を持っている。
しかも呉羽は養父の九蔵に度々、ミドリとの結婚を許すよう頼んでいた(同性愛)というが・・・。
生蕃小僧
過去に静岡から信越地方を荒らしまわった経歴を持つ、有名な強盗殺人。轟氏殺害の容疑で逮捕される。
彼の自白によると、自分は呉羽の旧悪を知っているので、それをネタに轟を強請り、小切手を受け取ると密告を恐れ刺殺したということらしいのだが・・・・・。

講評[編集]

作風はやや『暗黒公使』にも似通っている。

江馬兄妹の「朝鮮出身」設定の必然性の無さや、巡査の登場・活躍などの点に就いては、やや叙述が行き届いていないような処も見られる。『二重心臓』という言葉の意味も、明確に説明されないまま終わってしまう。

映画化[編集]

2008年には映画化されている。配給はカエルカフェ

スタッフ
監督:秋原正俊
音楽:THE 金鶴
キャスト
畑野ひろ子
温水洋一
斎藤洋介
松田洋治
今村祈履
マギー司郎
江口のりこ
綾田俊樹

関連項目[編集]

外部リンク[編集]