中学唱歌

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

中学唱歌(ちゅうがくしょうか)は、東京音楽学校が当時の中学校向けに編纂した唱歌集である。

概要[編集]

1901年(明治34年)制作の「中学唱歌」は95ページ、38曲がある[1]。作曲に際しては歌詞が示され、これに作曲を1人3曲まで懸賞募集した。入選者には1曲5円の賞金であった[1]。38曲中21曲が日本人作曲科となった。5月18日と19日に優れた作品13曲の演奏会が行われた。

曲目一覧[編集]

順番 曲名 作曲者 作詞者
第一 雪中行軍 
第二 富士山
第三 運動会
第四 明日は日曜
第五 朝起の鐘 外山正一
第六 駒の蹄 小山作之助
第七 牛おふ童 安藤幸 大和田建樹
第八 旅路の愉快
第九 雲雀 ドイツ民謡 桑田春風
第十 我等は中学一年生 小山作之助
第十一 前途万里
第十二 占守島 安藤幸 与謝野鉄幹
第十三 太平洋 永井幸次郎
第十四 夏やすみ
第十五 來れ秋
第十六 寄宿舎の古釣瓶 小山作之助 小池友七
第十七 四季の朝
第十八 告別 Friedlich Silcher 滝田和夫
第十九 老将軍 深沢登代吉
第二十 武蔵野 中村秋香
第二十一 松下清水 ドイツ民謡
第二十二 入船出船 田村虎蔵 旗野十一郎
第二十三 遠別離 杉浦チカ 中村秋香
第二十四 馬上の少年 F.Kochen
第二十五 歳暮
第二十六 壷の碑 栗本清夫 阪正臣
第二十七 我家
第二十八 祖先の霊 栗本清夫 黒川真頼
第二十九 初旅 橋本正作 佐々木信綱
第三十 箱根八里 瀧廉太郎 鳥居忱
第三十一 荒城の月 瀧廉太郎 土井晩翠
第三十二 甲鉄艦 山田源一郎 東宮
第三十三 小川の流
第三十四 歸雁 岡野貞一 中村秋香
第三十五 豊太閤 瀧廉太郎 外山正一
第三十六 去年今夜 岡野貞一 鳥居忱
第三十七 楽しき教場  ドイツ民謡
第三十八 今は学校後に見て 幸田延

原本[編集]

初版発行時の原本は国立国会図書館東京都立図書館にもないが、神奈川県立川崎図書館に「再版」が所蔵されている[2]

他の出版物[編集]

之より早く、1889年(明治22年)12月、『中等唱歌集』が出版された[3]。官製の最も早い時期の中学生用唱歌の教科書である。歌数は18曲、譜は伴奏なしの旋律譜であった。18曲のうち、10曲は外国の曲に作詞をつけたものであった。この時点ではまだ国産化されていない。

その後、1909年(明治42年)05月31日に『中等唱歌』が刊行されている。しかし30曲中、半数以上が外国曲であり、明治34年の「中学唱歌」に対して逆戻りした印象がある。

注・リファレンス[編集]

  1. a b 松本正(2016)『東京音楽学校編『中学唱歌』に関する研究』大分大学教育学部研究紀要、大分大学 Vol38,No1,pp.75-90
  2. 東京音楽学校(1904)『中学唱歌教科書』巻1、共益商社楽器店
  3. 深沢登代吉編(1889)『中等唱歌集』東京音楽学校