ワスレガイ
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ワスレガイ(忘貝, 英: broad hinged venus, Cyclosunetta menstrualis)は、マルスダレガイ目マルスダレガイ科の二枚貝。
分布[編集]
太平洋に分布。日本国内では常磐以南。他に朝鮮半島、東南アジア、オーストラリア北部[1]。
形態[編集]
円形に近い殻は弱く膨らみ、殻長60ミリ、殻高70ミリ、殻幅25ミリ。殻は厚い。殻表はなめらかで光沢がある。殻表の色彩の個体差は小さく[2]、通常紫褐色である。放射帯や細かい網目模様がみられる[3]。殻頂の後方に深くくぼんだ楯面があり、その中に靭帯がある[4]。内側は紫色、套線湾入は小さい[4]。周縁は細かい刻みがある[2]。
生態[編集]
潮間帯下部から水深50メートルの砂泥底に生息。プランクトンなどを摂食[1]。
人との関わり[編集]
食用。一部観光地ではハマグリなどと共に売られている[3]。
古来、海岸に置き去りにされた二枚貝の片方の殻(一説に、アワビのような片貝[5])を「忘れ貝」と呼ぶ[6]。 恋の思いを忘れさせる貝であるという。『万葉集』に10例出現する[5]。
出典[編集]
参考文献[編集]
- 奥谷喬司(編著) 『日本近海産貝類図鑑』 東海大学出版部、2017年1月30日、第二版。ISBN 978-4-486-01984-8。
- 『日本大百科全書』24、小学館、1988年11月1日。
- 『改訂新版 世界文化生物大図鑑 貝類』 世界文化社、2004年6月15日。ISBN 4-418-04904-5。
- 黒住耐二(文)、大作晃一(写真) 『くらべてわかる 貝殻』 山と渓谷社、2021年10月5日。ISBN 978-4-635-06356-2。
- 『日本うたことば表現辞典③―動物編』 日本うたことば表現辞典刊行会、大岡信(監修)、遊子館、1988年1月16日。ISBN 4-946525-06-8。
- 『万葉ことば事典』 青木生子, 橋本達雄(監修)、大和書房、2001年10月10日。ISBN 9784479840572。