ロジャー・テイラー
ロジャー・メドウス・テイラー (Roger Meddows-Taylor 1949年7月26日 - ) は英国のロックバンドクイーンのドラマー、シンガーソングライター。ドラムは勿論ヴォーカル、ギター、女装、ベースをこなすマルチプレイヤー。フレディ死後も活発に活動を行っており、ブライアン・メイとクイーン名義を守り続けている。なお、息子のルーファス・テイラーもドラマーとなっている。
経歴[編集]
スマイルまで[編集]
イングランドのノーフォーク生まれ。8歳の頃にウクレレを弾きはじめ、12歳でドラムも始めた。1960年にトルロ大聖堂学校の聖歌隊に加入し、この頃鍛えた高音が後にクイーンで活躍する。当初はギタリストになるつもりだったが、途中ドラマーに転向。1965年に「ジョニー・クエイル&ザ・リアクションズ」というバンド(後にリアクションズ単体で活動)にヴォーカル兼ドラムスとして加入し、期待のドラマーとして地元で名を馳せた。
母親の勧めでロンドン医科大にロジャーが進学ためリアクションズは消滅したが、「一生分の歯を見た」、「解剖気持ち悪い」などと抜かし、ここでの学業は好ましさが聊か少ないと感じた彼はほかの大学に転入し生物学を専攻した。そして1968年、ティム・スタッフェルとバンドを組む予定のブライアンがクリスマスカードと共に配った「ミッチ・ミッチェル(ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス)やジンジャー・ベイカー(クリーム)のようなドラマーを求む」という広告を友人から見せられたロジャーは彼らのバンドに参加することになる。この三人がクイーンの母体となるスマイルを結成したのだった。
クイーン[編集]
クイーンにおいては、元聖歌隊としての高音(4オクターヴを持つフレディ・マーキュリーよりも高い声が出せた)が役に立ち、スタジオでのコーラスワーク、ライヴでは喉を痛めがちなフレディの代わりに高音部分を担当。またロッド・スチュワート似のハスキーな地声でメインヴォーカルを務めるなど、初期は特にヴォーカル面での貢献が大きかった。そして彼が何よりイケメンだったことが日本を中心としたクイーンのアイドル的人気を大きくしたと言える。
'70年代はある意味「クイーンらしからぬ」ロックな作曲センス(自身の曲でメインヴォーカルや他の楽器を演奏するなど、ソロに関心があったことが伺える)でアルバムのテンポを良くしていた彼だが、時代の変化に敏感だったこともあって80年代は「レディオ・ガ・ガ」(19ヶ国で1位を記録し、レディー・ガガの芸名の元ネタとして有名)や「カインド・オブ・マジック」などのポップス路線で次々にヒット作を生み出す。これによってクイーンが「メンバー全員がナンバーワンヒットを生んだ」という、ビートルズも成し遂げなかった偉業を達成した史上初のバンドとなった。
ソロ活動[編集]
女装もこなすマルチプレイヤーだからか、ソロ活動に積極的で、'77年には楽器全てを彼が担当した初のソロ・カヴァーシングル(I Wanna Testify/Turn On The TV)を英国限定で3000枚自費リリース。商業的成功には至らなかったものの、その後1998年までに4枚のソロ・アルバムをリリースしている。
1987年から「ザ・クロス」という5人組バンドを結成し、アルバムを3枚リリース。クイーンとは趣を異にするシンプルなロック・サウンドを打ち出したが、商業的成功には至らなかった。そのままクロスは1993年に解散し、彼はソロ活動を再開。1994年の3rdアルバム「ハピネス?」ではX JAPANの卒倒王子ことYOSHIKIと共演した「フォーリン・サンド」などで話題となり、同年開催された「あをによし スーパーコンサート 東大寺から世界へ」でライヴ披露された。
近年[編集]
2004年からブライアンとポール・ロジャースで、「クイーン+ポール・ロジャース」としてツアーを行い、2008年にはアルバム「ザ・コスモス・ロックス」を発表。一旦休止したソロ活動もiTunesでの限定配信などで続けており、活動への意欲は衰えていない。職業病ともいえる難聴に悩まされてはいるものの、単発的なライヴ活動は継続して行っている。
代表曲[編集]
初期は単純なロックサウンドに頭の悪そうな歌詞を好んだものの、クイーン随一の読書家とあってソロ活動期や後期クイーンでは「イニュエンドゥ」に代表されるようなシリアスで社会的な歌詞を書くようになった。ヴォーカルをフレディに任せてから一般受けした部分もある。
- アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー - 初期ロジャーの真骨頂。ライヴでの首を痛めそうなドラム&ヴォーカル同時進行が見どころ。
- シアー・ハート・アタック - 1977年発表。同名アルバム('74)には収録されなかったパンキッシュナンバー。ジョジョ読者にはお馴染みの曲名である。
- インビジブル・マン - Queenでは異色のテクノ・ポップ。かのスキャットマン・ジョンにもカヴァーされた。
- ブレイクスルー - 列車をイメージした曲らしく、疾走感のある隠れた名曲。
- ライド・ザ・ワイルド・ウィンド - 疾走感のある名曲なのだが、シンセサイザーのアレンジやフレディのヴォーカルから悲壮感が感じられてしまう。
- 輝ける日々 - ラストアルバム「イニュエンドウ」収録。フレディにとって最後に撮影されたビデオであるため、痩せ細り浮き出た死相を隠すための化粧と白黒加工が施された。
- ヘヴン・フォー・エブリワン - 元々はクロスの曲だったものをフレディがレコーディング、彼の死後「メイド・イン・ヘヴン」に収録された曲。
ソロ・ディスコグラフィー[編集]
ファン・イン・スペースのジャケットに描かれたエイリアンが「ET」のモデルになったという説があるが、定かでない。
- Fun In Space (1981) - 全英18位、全米121位
- Strange Frontier(邦:ロックンロール・フロンティア) (1984) - 全英30位
- Happiness? (1994) - 全英22位
- Electric Fire (1998) - 全英53位
- Fun Out Earth(2013) - 久しぶりのソロアルバムは、81年作のタイトルをもじったもの。
ザ・クロス[編集]
- Shove It(邦:夢の大陸横断) (1988) - 全英58位
- Mad Bad And Dangerous To Know (1990) - ドイツ48位
- Blue Rock (1991) - データなし