メロトロン

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メロトロン(Mellotron)は、1960年代アメリカで開発されたテープ再生機のお化けである。プログレファン三種の神器のひとつ。[1]

概要[編集]

世界初のサンプラーとして知られているメロトロンは、箪笥とオルガンを混ぜたような鍵盤楽器の形状をしているが、内部に三種類の音色(フルート、ヴァイオリン、コーラスの三種類が基本)のテープを鍵盤に合わせて配置し、鍵盤に接続されたヘッドを押しつけることでテープを再生し読み取るという非常にアナログな楽器である。

その構造上現在のシンセサイザーやキーボードからは考えられないほど不安定な機器であり、ちょっとした電圧変化や湿度の変化ですぐに音程が狂い、和音を弾くとすぐに音程が下がり、なまじ複雑な構造なため重くて壊れやすく、スタッカートに向かず、鍵盤を押し続けても最大で8秒間しか音が持続しない。[2]しかしその不安定さゆえにもたらされる微妙な揺らぎなどの人間的な表現は他のキーボードからは得難いもの[3]であり、よって擬人化すらできるほど特徴のある音色が愛されているといえよう。

メロトロンを使用した代表曲[編集]

冒頭の間が抜けたような音はフルートメロトロンによるもの。
恐らく最も効果的にメロトロンを使用した楽曲の例。プログレッシブ・ロックやらシンフォニック・ロックやらといったジャンルの音楽はほとんどこの曲の影響下にあるとみていい。[4]
冒頭の荘厳な曲想はメロトロンの表現におけるひとつの到達点である。

「レイン・ソング」やライヴにおける「天国への階段」等、本来ベーシストであるジョン・ポール・ジョーンズも優れたメロトロン奏者として知られる。

脚注[編集]

  1. ハモンドオルガンモーグ・シンセサイザー合わせての三種類。
  2. イエスリック・ウェイクマンはあまりの扱いの難しさにキレてガソリンをかけて燃やし、その後すぐ後悔した。
  3. シンセサイザーにメロトロンの音色がサンプリングされていることも多いが、不安定さを再現できているとは言えず、現在もこの高価な機器を買い求める物好きなミュージシャンや個人も多い。
  4. 作曲者のイアン・マクドナルドはなぜかバンド脱退後この楽器を徹底的に嫌っている。