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ムルフェ

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
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ムルフェは、韓国の冷製スープ。生の魚と野菜をコチュジャンベースのスープと共に供するものが多い。店によっては麺が添えられていることもある。また、好みによりご飯を混ぜて食べることもある[1]

日本では水刺身と呼ぶこともある[2][注釈 1]。済州島や釜山などが発祥の地とされる[4]が、現在では韓国各地で食べられている。食材やレシピには地域的変異が多い。

起源[編集]

朝鮮時代(1392年 - 1910年)までは韓国の漁船は人力または風で動かす無動力船が主流であったが、近代以降動力船が導入されると、以前よりも遠い場所まで漁に出ることが可能になった。それにともない操業の時間は長くなり、船上での食事をどうするかが問題となった。依然として木造船が主流であったため、船の上での炊事は危険であるとして避けられた。また、ご飯は時間が経過すると硬くなるという特徴があった。そこで漁師たちは、ご飯に冷たい水をかけ、コチュジャンと共にとれたばかりの魚の切り身を流し込むように食べた。操業の合間に食べられる、いわば船上のファーストフードとしてムルフェは誕生した[5]

各地のムルフェ[編集]

(この節出典:[6]

  • 江原道ムルフェ - 多くの人がイメージするムルフェに近い。冷水または冷たいスープにチェコチュジャンに酢・砂糖などを混ぜて作った甘辛いソースを加える。具材はムシガレイなどが多いが、江陵市ではイカのムルフェも有名。
  • 青草水ムルフェ - 束草市にはじまり今では全国チェーンを展開する「青草水ムルフェ」では、アワビ・ナマコ・ホヤ・タコ・トビコなど季節の刺身に牛肉の出し汁を合わせた「海鮮ムルフェ」が人気メニューとなっている
  • 浦項式ムルフェ - 凍らせた出し汁をクラッシュして各種刺身と野菜の上に盛った独特のムルフェ
  • 済州ムルフェ - ムルフェには多くの地域でコチュジャンベースの出し汁を使用するが、済州島では味噌味の出し汁を使うのが特徴的だ[注釈 2]。スズメダイのムルフェが有名。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ムルフェ。鱠または膾は生で食べる魚介料理や肉料理。鰻のフェは鰻膾マンフェである[3]
  2. 済州島ではムルフェに限らずコチュジャンよりも味噌を使うことが多い。地理的条件によりコチュジャンが手に入りにくい

出典[編集]

  1. ソウルの味:夏はおまかせ!韓国料理”. Seoul Tourism Organization (2023年6月12日). 2025年1月20日確認。
  2. はせこ (2015年11月24日). “氷に埋まった水刺身、究極のツルツル麺…韓国・釜山はグルメ天国”. 女子SPA!. 2025年1月20日確認。
  3. 周 永河 『食卓の上の韓国史:おいしいメニューでたどる20世紀食文化史』 丁田 隆訳、慶應義塾大学出版会、2021年12月17日、180頁。ISBN 978-4-7664-2784-4
  4. 松浦誠治 (2015年5月1日). “ヤリイカの水刺身(ハンチムルフェ)”. ELLE. 2025年1月20日確認。
  5. パク 2024, p. 66-67.
  6. パク 2024, p. 67.

参考文献[編集]

  • パク・サンヒョン(朴相泫)「韓国の特別な夏の料理、ムルフェ」、『Koreana』第31巻第2号、The Korea Foundation、済州道西帰浦市、2024年、 64-67頁、 ISSN 1225-4592