ナポリの6

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ナポリの6(ナポリのろく、ナポリの六)は、クラシック、西洋音楽における和音で、短調において、主音の短2度上の音をルートとするメジャーコードのことである。

概要[編集]

短調のIIの和音のルートをフラットさせ、第1転回形にしたもの、または短調のIVの和音の第5音を短2度上げたものである。例として、イ短調の場合、IIの和音「シ.レ.ファ=Bm(♭5)」のルート「シ」をフラットさせ、第1転回形にしたもので、イ短調のナポリの6の構成音は「レ.ファ.シ♭」、コードネームは「B♭/D」となる。また、これを基本形にしたものは「ナポリの和音」という別の名前になる。和音機能は、短調では変則的なサブドミナント、変則サブドミナント(irregularity subdominant)である。イ短調の場合、ナポリの6「B♭/D(レ.ファ.シ♭)」と、本来のサブドミナントコード「Dm(レ.ファ.ラ)」と比較したとき、共通音は「レ.ファ」で、「レ.ファ」の2和音はイ短調のサブドミナントとして重要な音であり、シ♭はイ短調のスケールから外れており、五度圏ではイ短調の主和音から見て♭系の調に2つ進んだ音が含まれており、ダイアトニックコードに含まれておらず、ノンダイアトニックコードで、イ短調の下属調の平行調であるヘ長調のIVの和音でもあるので、イ短調では変則的なサブドミナントとなる。短調の♭II音(イ短調ならシ♭)をコードトーンに持っている。短調の和音記号では、「-II」、伝統的に「N」の記号で表す。ナポリの6の響きのイメージは、絶望的、運命的な感じで、劇的に変化した、独特な効果を生む響きを持つ。

短調のコード進行では、ナポリの6の次のコードは、ドミナントや、主調の下属調の平行調のドミナントにも進行する。イ短調の場合、ナポリの6は「B♭/D」で、次のコードは、「E7」か「Am/E」か「C7」となる。