トランジスタ

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
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トランジスタとは電子部品の一種。 増幅したりスイッチングしたりできる素子。

種類[編集]

トランジスタには、N型半導体とP型半導体の接合方法により、様々な種類が存在する。

バイポーラトランジスタ

  • 歴史的に、普通トランジスタといえばバイポーラトランジスタを指す。バイポーラとは、2種(バイ)の電子正孔をキャリア(ポーラ)として使うことによる。
  • P型とN型半導体をサンドイッチしたような形になっている。N型 P型 N型のように組み合わさたものは、NPN型トランジスタ。P型 N型 P型のように組み合わさたものはPNP型半導体という。

電界効果トランジスタ(FET)

  • FETは、フィールド(界つまり電界)・エフェクト(効果)・トランジスタに由来する。別名ユニポーラトランジスタともいう。ユニポーラとは、1種(ユニ)の電子あるいは正孔をキャリア(ポーラ)として使うことによる。
  • バイポーラトランジスタは電流で制御する電流制御素子であるが、FETは電圧でON/OFFを制御する電圧制御型素子である。
  • FETには大きく分けてJFETとMOSFETに分別される。
  • MOSはメタル(金属)・オキサイド(酸化物)・セミコンダクター(半導体)に由来する。MOSFETには組み合わせによって、NチャネルMOSFET PチャネルMOSFETに分かれる。またこの中でもしきい値電圧によって、エンハンスメント型とディプレッション型に区別される。非常にややこしい。 ちなみに一般的に使われるのはNチャネルMOSFETのエンハンスメント型。電子と正孔の移動度の違いによってN型とP型で違うので特殊な用途ではP型も使う。また同様に、使いたいしきい値電圧によってディプレッション型も使う。
  • 少し前だと、小電力にはMOSFET 大電力にはIGBTなどが一般的であったが、SiC(炭化ケイ素、シリコンカーバイド)などが登場してから変わった。
    • E235系とかSiC VVVFインバータらしい。
  • GaN(窒化ガリウム)を使用したFETも登場しているが、動作周波数がとても高く、小電力なものに使われているイメージ(5G基地局とかACアダプタとか)

絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)

  • バイポーラトランジスタなんだけど、電圧制御できる素子。MOSにバイポーラの要素を加えた構造である。IGBTとは、インスレーテッド(絶縁)・ゲート・バイポーラ・トランジスタに由来する。
  • NPNPのような形(サイリスタのような構造)であり、サイリスタではゲート電圧でONはできてもOFFにできない(自己消弧能力を持たない素子)特性を持っているのだが、IGBTは、ゲート電圧を0またはマイナスにすることによりOFFにできる。(自己消弧能力を持っている)
    • ゲートターンオフサイリスタ(GTO)も同じような特性を持っていたが、回路が複雑になる、スイッチング周波数が低くうるさい、消費電力や発熱が大きいなどのデメリットが多いため、IGBTに変わりつつある。
  • MOSFETよりも大きい電力を扱う場合に使われるイメージがある。(電車とか)
    • E231系とかE233系はIGBT VVVFインバータらしい。

バイポーラトランジスタの使い方や特徴[編集]

ここでは、バイポーラトランジスタの使い方や特徴について書く。 またここからは、バイポーラトランジスタのことをトランジスタと略す。

特徴

  • エミッタ・コレクタ・ベースの3端子であることが多い。接地(あるいは交流的な接地)箇所によって、エミッタ接地・コレクタ接地・ベース接地などと呼ぶ。
  • 小電力用だと、TO-92パッケージが多い。大電力用だとTO-220TO-3Pなどある。

増幅作用

  • トランジスタは電流により、増幅したりできる。
  • ベース-エミッタに電流が流れると、コレクタ-エミッタ間に大きな電流が流れる。
  • トランジスタには、製品ごとに直流電流増幅率(hFE)という値があり、ベースに流れた電流✕hFE=コレクタに流れる電流になる。
    • つまりベース電流とコレクタ電流は比例するということ。
  • オーディオアンプなどには、この増幅作用が使われている。

スイッチング作用

  • ベース電流を流すと、コレクタにより大きな電流が流れる特性を使ったもの。
  • 増幅作用では、比例ではなく飽和する領域(それだけでかい電流を流すということ)で使う場合が多い。
  • ON/OFFを制御できることから、スイッチやリレーなどの代替ができる。
  • ANDやORなどの論理回路はこの作用を利用している。
    • つまりトランジスタを大量に用意すれば、PCやスマホも作れるかも?
      • 実際、ICの中にはFETが大量に入っていて、その中に論理回路が構成されている。

MOSFETの使い方や特徴[編集]

ここでは、MOSFETの使い方や特徴について書く。

特徴

  • ソース・ドレイン・ゲートの3端子があり、それぞれバイポーラのエミッタ・コレクタ・ベースに似ている。
  • バックゲートを加えて4端子として考えることもあるが、バックゲートをソースと一体化する設計もある。

バイポーラとの相違点

  • 有限のベース電流が流れるバイポーラに対して、理想的なMOSFETはゲート電流=0である。
  • しかし、実際には寄生素子としてキャパシタなどがあって、高周波ではこの影響も見られる。

型番[編集]

1993年までは、JIS C 7012:1982により型番のルールが付けられていた。

  • 2SAxxxx PNP型バイポーラトランジスタ 高周波用 (例:2SA1015)
  • 2SBxxxx PNP型バイポーラトランジスタ 低周波用 (例:2SB1115)
  • 2SCxxxx NPN型バイポーラトランジスタ 高周波用 (例:2SC1815)
  • 2SDxxxx NPN型バイポーラトランジスタ 低周波用 (例:2SD1615)
  • 2SFxxxx サイリスタ (例:2SF248)
  • 2SHxxxx ユニジャンクショントランジスタ
  • 2SJxxxx PチャネルFET (例:2SJ447)
  • 2SKxxxx NチャネルFET (例:2SK2231)

ちなみに、先頭の数字は端子の数を表していて、トランジスタだと足は3本なので、3本 - 1 で2となる。

  • 2本足タイプのダイオードとかだと1Sxxxxとかになる。(例:1S1588)

この型番は、どこからどこまでが高周波なのか、低周波なのかが定義されていないため、あやふやなものではあった。

  • みんな大好き2SC1815だと、型番的には高周波用となっているが、TOSHIBAのデータシートでは低周波電圧増幅用になっていた。

使い方[編集]

脚注[編集]

関連項目[編集]