TO-92

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TO-92パッケージのトランジスタ(2SC1815)。下に敷いているのが2.54mmピッチのユニバーサル基板。ユニバーサル基板に合わせるため、左のものは2.54mmピッチに広げて出荷されている。右は規格通りの1.27mmピッチで、ユニバーサル基板に対して導線の間隔が短いのがわかる。

TO-92は、トランジスター用などに広く使われている、小型かつ安価な半導体パッケージ ()のひとつ。外装はエポキシ樹脂やプラスチックが用いられる。 TO-92は、JEDEC ()半導体技術協会がトランジスター用外装(Transistor Outline Package)92番様式、から略されたもの。[1]同様の外装は、SOT54、電子情報技術産業協会 ()SC-43Aとの名もつけられている[2]

構造[編集]

外装は表面パーツ・背面パーツの2つから構成されていて、表面パーツには平らな面があり、そこに電子部品の型番が印字されている。背面パーツは半円形となっている。表面パーツと背面パーツが分離することはないが、パーツの張り合わせに合わせて線が見える。

電気を伝える導線は底面から3本伸びている。日本で使われる2Sシリーズでは、型番の印字されている表面パーツに向かって左から、エミッタ・コレクタ・ベースとなっている場合が多いが、海外の2Nシリーズではエミッタ・ベース・コレクタとなっている場合が多い。この違いはトランジスターの互換性にしばしば問題を生む。導線の間隔は0.05インチ=1.27mmであるが、ユニバーサル基板などでは0.1インチ=2.54mm間隔が多く使われるため、その間隔に広げて使用・出荷されることも多い。[3]

特徴[編集]

TO-92パッケージには以下の利点がある。

  • TO-92を採用するトランジスターはおおむね安価で場所を取らない。また採用実績が多く、販売店数の少ない電子部品店でも見つかりやすいため、趣味用途・試作に適している。

ただし、小型のため、排熱性能は低い。

  • 大電圧・大電流を扱うような用途では採用し辛い。
    • そのような用途では、外装に金属が露出しヒートシンクなどを取り付けやすいTO-220パッケージが好まれる。
  • ピン配列が混在する。日本ではエミッタ・コレクタ・ベースの順番が、アメリカではエミッタ・ベース・コレクタの順番が多く、ベース・エミッタ・コレクタ配列のものも存在する。
    • 形状が同じでも配線を修正する必要があり、完全な互換品とはいいがたい。

基本的にTO-92パッケージを採用した製品は低電圧・低電流(おおむね30V・1A未満)で使われ、公称耐電圧は1Wを下回るものがほとんどである。

トランジスターに使われることが多いパッケージだが、以下の製品にも利用される。

  • MK484 - AMラジオIC
  • 三端子レギュレータ
  • トライアック
  • 温度センサー(DS18B20:デジタル出力、LM335:アナログ出力)

References[編集]

  1. JEDEC TO-92 package specification”. JEDEC. 2017年6月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。
  2. TO-92 (SOT54)”. Nexperia (2004年11月16日). 2017年12月12日確認。
  3. Package Mechanical Information, TO-92”. 2016年2月28日確認。