エンベロープ (ウイルス)
ナビゲーションに移動
検索に移動
エンベロープ(英:envelope)はウイルス粒子にある膜状の構造である。膜は脂肪・タンパク質・糖タンパク質からできている。コロナウイルスやインフルエンザウイルスなどのウイルス粒子に見られる脂質二重膜の構造である。
ウイルスの構造[編集]
- (1)核酸(DNAまたはRNA)・・・ウイルスの複製に必要な遺伝情報
- (2)カプシド(capsid)・・・・蛋白の殻。各種酵素(核酸分解酵素)からゲノムを保護する。
- (3)エンベロープ (envelope)・・・エンベロープのないウィルスもある。
エンベロープの役割[編集]
エンベロープは人間や動物の細胞への付着に関与する部分である。脂質は宿主細胞に由来するためエンベロープの脂質は宿主細胞の膜等に類似している。その理由は、ウィルスが細胞内で増殖し、外に出る際に小胞体やゴルジ体などの細胞内膜の脂質二重膜を被ったまま細胞外に出ることによって、エンベロープの脂質膜を獲得する[3]。
エンベロープのあるウイルスはアルコールや石鹸など脂質を溶解する薬品等への感受性が高い。エンベロープはその大部分が脂質であるため、エタノールや有機溶媒、石けんなどの界面活性剤により破壊されてしまう。するとウィルスは活性を失う[4]。
エンベロープの有無[編集]
エンベロープの有無により不活性化させる方法が異なる。エンベロープの有無に規則性は発見されていない。
エンベロープあり[編集]
エンベロープはレセプターへの結合、免疫などの生体防護機能を回避する役割がある。エンベロープはカプシドとタンパク質で結合しているため、エンベロープが破壊されるとカプシドは機能を失うため、不活性化される。
エンベロープなし[編集]
エンベロープをもたないウイルスは単純な構造であるため不活化されにくい。酸、熱、アルコール、塩素に強い。カプシドは界面活性剤による破壊が出来ない。
参照文献[編集]
- ↑ 第11章ウイルスとは大学病院医療情報ネットワークセンター
- ↑ 杉田征彦(2020)「マイナス鎖 RNA ウイルスの構造に関する研究」『ウイルス』第70巻第1号,pp.91-100,
- ↑ イオンチャネル様ウイルスタンパク質「ビロポリン」の機能発現機構を解明北海道大学,(2013年11月19日
- ↑ 野田雅博他(1988)「各種消毒薬の殺ウイルス効果」日本獣医師会雑誌 41(3),pp. 174-179