アーユルヴェーダ
アーユルヴェーダ、アーユル・ヴェーダまたはアーユルベーダ(आयुर्वेद、ayurveda、aayurveda、ayurvedic medicine)は5000年ほど前に古代インドで誕生し、今に伝わる世界最古の伝統医学。現代医学にも深く結びついていて、WHOも西洋医学の代替医療として着目しているという。
名称[編集]
「आयुर्वेद」(ayurveda、aayurveda)は「生命科学」を意味するサンスクリットの語である。生命を意味するआयुस्(アーユス、ayus、aayus)と科学・知識を意味するवेद(ヴェーダ、veda)からなる。日本では広くアーユルヴェーダとされる。
概念[編集]
生命の存続には他を取り込み、外に排除し続ける必要があるが、良いものを的確に心と体に取り込み、悪いものを的確に排除することで心身のヴァータ(वात、vata)、ピッタ(पित्त、pitta)、カパ(कफ、kapha)[1]の三つのバランスを整えることで健康で活力みなぎるより良い生活を送ろうというのがアーユルヴェーダの考え方である。
なお、アーユルヴェーダにおいて健康であるとは、ドーシャのバランスが整っていることのほかにも、排泄物のバランスが整っていることや食欲があることなどがある。
ドーシャ[編集]
上記のヴァータやピッタをドーシャ(दोष)と呼ぶ。ドーシャは濁りという意味であるが、我々と我々を取り巻くあらゆる物質や場面に存在し、人に影響を与えるものをさす。また、前述のヴァータ、ピッタ、カパをまとめてトリ・ドーシャと呼ぶ。三つ(トリ)のドーシャという意味であるが、この3つのドーシャがすべてのドーシャを占めるという。それぞれのドーシャは異なる自然の様子を表し、また、異なる性質を有している。たとえば、ヴァータは空気、ピッタは火、カパは水・土を表している。これらのドーシャの相互関係により我々の健康が左右される。トリ・ドーシャのバランスを整えることでより健康に生きることができる。アーユルヴェーダではその人の特徴などからその人がどの型に当てはまるか調べるなどして、我々の体質を大きくヴァータ型、ピッタ型、カパ型の3種類に分ける。また、この結果から現在の自分の様子を知ることもできる。これは、その人のドーシャのどれが最も優勢かを示す。
また、ドーシャは一日、一年、一生などの時間の中にサイクルがあり、たとえば、午前午後の2回において4時間ごとに各ドーシャのサイクルが訪れるという。
ドーシャのバランスを整える[編集]
それぞれのドーシャのバランスを整えるには以下のような方法がある。
- 自分のドーシャのバランスを知り、適した食べ物を食べるなどそれに適する生活を営み、また、周囲の環境を整える
- アビヤンガ
- パンチャカルマ
- ヨガ瞑想
- ハーブの同調作用
アビヤンガ[編集]
アビヤンガ(Abhyanga)はアーユルヴェーダのオイルマッサージである。パンチャカルマの前処置として行われることもある。
アーユルヴェーダ医がハーブを含むオイルを用いた、相手のドーシャのバランスに対応したマッサージを行うことで、相手のドーシャの乱れを落ち着かせる。なお、使用するハーブのすべてが日本で合法とは限らないので、日本でアビヤンガを行うのが難しいこともあるだろう。
なお、生のごま油を加熱処理したものを用いることや、オリーブオイルを用いることもある。これは家庭でも行いやすいように簡易化したものである。
パンチャカルマ[編集]
パンチャカルマ(Panchakarma)または心身浄化法は下剤療法や浣腸法などの五つの方法で体外に無駄なドーシャを排出させるものである。ただし、これは医療行為であり、アーユルヴェーダ医の適切な管理や指導が必要である。
アーユルヴェーダの神[編集]
ダンヴァンタリ神はアーユルヴェーダの神である。なお、ダンヴァンタリはもともと医学の神であるという。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
脚注[編集]
- ↑ カファとも。