アヌシ湖

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アヌシ湖(あぬしこ、フランス語: Lac Anosy、英語:Lake Anosy)とは、マダガスカルの首都アンタナナリボの中心部にある人工の湖。
湖の中心には、土手道で渡ることのできる島(通称:女王の島)があり、現在は戦勝記念碑が建っている。

概要[編集]

ハート形に近い形をしており、面積はおよそ2平方キロメートルである。
平野の中心部という立地と歴史的経緯から、長らくアンタナナリボの開発計画の中心と位置付けられている。
湖の周辺は、市民の憩いの場となっている。だが水は正直かなり臭く、夕方以降は治安が悪化するので、日本の公園の感覚で訪問することはできない。

歴史[編集]

17世紀、当時マダガスカルを支配していたメリナ王国の王アンドリアンジャカは、稲作を効率化するため、湿地帯であった首都のアンタナナリボに運河を張り巡らせた。運河の内側には、複数の湖と島ができた。その一つが女王の島であった。
18世紀には、女王の島には火薬工場が一棟建っているのみであった。しかし、ラナバロナ女王の時代(19世紀の中頃)に、島はメリナ王室の別荘地へと変貌した。スコットランド人の宣教師ジェームズ・キャメロンらは、西洋の技術を導入して、水たまりをハート形に整えて現在のアヌシ湖を作り、島に豪勢な別荘を建設した。これが女王の島の名前のゆえんである。
ところが1897年、メリナ王国はフランスに併合されて消滅した。別荘が王室に活用されたのはわずかに50年ほどであった。王室の所有地であったアヌシ湖一帯は民衆に解放され、女王の島はヴァコドラザナと呼ばれる民族舞踊のステージや祭りの会場として使われるようになった。
フランス当局は、かつて敵対していたメリナ王国の残滓を極端に嫌い、1900年代のうちに女王の島にある旧王国時代の建物をすべて破壊した。
1924年には、島の大部分を占める巨大な「戦勝記念碑」が建てられた。碑には、第一次世界大戦でのフランス軍マダガスカル連隊の活躍の様子が刻まれている。