よみもの:どの法令がポツダム命令であるか

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本記事では、太平洋戦争終戦後に、日本政府が連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の要求事項に従って発したポツダム命令に該当する法令の範囲に関する議論について述べる。

ポツダム命令の全体像[編集]

法令の帰すうは、政府の担当者により常に整理されているはずであるが少なくともポツダム命令に関しては、1995年に「法務大臣官房司法法制調査部司法法制課「ポツダム命令について」J&R 80号(1995年)が発表されるまで「ポツダム命令の帰すうを網羅的に把握くした資料は皆無であった」[1]ということであり、どの法令がポツダム命令であるかについても、ポツダム命令についてのなかに、「ポツダム命令の調査対象」という項をたてて議論している。

ポツダム命令であるかの判断基準[編集]

ポツダム命令の根拠となるポツダム緊急勅令は、法令番号としては通常の勅令と同じ番号付けをされ公布時の上諭まで参照しなければ判別できないが、これはポツダム命令一般についても同様であり、法令番号において通常の命令とポツダム命令は区別されておらず、上諭(勅令の場合)制定文(政令、省令等)に「昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基」という文言があるかどうかを確認しないと判別できない。

更に一部改正の場合はこの文言を欠く事例がある。例えば死産の届出に関する規程は、昭和21年厚生省令第42号として制定された際は「昭和二十年勅令第五百四十二号(「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ命令ヲ発スル件)に基づき死産の届出に関する規程を次のように定める」とあったが、昭和22年2月1日厚生省令第4号による改正では「昭和二十一年九月厚生省令第四十二号(死産の届出に関する規程)の一部を次のように改正する」となっている。被改正法令がポツダム命令であるかないかを確認するしかない。 従って場合によってはある法令がポツダム命令であるかないかの判断がわかれることもありえる。

ポツダム命令であるかの検討―「ポツダム命令について」の基準[編集]

ポツダム命令の一覧については、前述のように1995年に始めて、法務大臣官房司法法制調査部司法法制課により「ポツダム命令について」で公表されているところである。このなかでまず、 司令部の要求を受け、これを実現するために閣議を経て制定公布されたか否かは直接には確認できないため

① 題名又は件名に「昭和二十年勅令第五百四十二号に基き(基づく)」との公布文又は制定文が付された命令をポツダム命令とする。ただし「昭和二十一年勅令第百九号(昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く就職禁止、退官、退職等に関する件)の一部を改正する勅令(昭和21年勅令第307号)」や「昭和二十一年厚生省令第42号(昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く死産の届出に関する規程)の一部を改正する省令(昭和22年厚生省令第42号)などのように、ポツダム緊急命令に基づく」旨が、公布文又は制定文の( )内に表記されているに過ぎないものは、改正すべきものがポツダム命令であることを示しているだけで、改正する法令がポツダム命令であるまでは示していないと推察される。

② ポツダム命令を一部改正する命令で公布文又は制定文が①の基準に合致しないが内容的に法律事項を改正している場合はポツダム命令をする。

なお、ポツダム命令のさらに委任命令や実施命令は除く。

ポツダム命令であるかの再検討1―「ポツダム命令について」から除くべきもの[編集]

上記の基準により「ポツダム命令について」は、総数を526件としているが、これに補正をすべきとする可能性があるので以下に記述する。 「ポツダム命令について」の一覧にはあるが、ポツダム命令と認められないものとして次の二つがある。

  • 団体等規正令施行規則(昭和24年法務府令第38号)

これは制定文が、 法務府は、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件(昭和二十年勅令第五百四十二号)に基づく政党、協会其の他の団体の結成の禁止等に関する件(昭和二十一年勅令第百一号)の施行に関する件(昭和二十一年内務省令第十号)を改正するこの府令を制定する。 とあるために、ポツダム命令に区分したようであるが、これはポツダム勅令の施行に関する実施命令の改正を意味しているにすぎず、この府令がポツダム命令であるまでは示していないと見るべきである。もっともこの施行規則は団体等規正令[2]と同時に閣議決定をうけており[3]、そのことからもポツダム命令であるという主張は説得力がある。しかし、「ポツダム命令について」では、団体等規正令施行規則は、昭和27年法律第81号で平和条約発効から180日間法律としての効力を有するとし、破壊活動防止法施行規則(昭和27年法務府令第81号)で廃止としているが、団体等規正令施行規則がポツダム命令であり、昭和27年法律第81号で平和条約発効から180日間法律としての効力を有すると、法律としての効力があるものを法務府令で廃止することになる(平和条約発効後であるから、破壊活動防止法施行規則がポツダム命令であり法律を改廃できるとする余地はない)からポツダム命令ではないとすべきである。

  • 退職手当、年金其の他此等に準ずべき利益の給付の制限等に関する命令第一條第一項及び第二條並びに閉鎖機関令第二十八條の規定による閉鎖機関の退職手当金、年金其の他此等に準ずべき利益の給付の制限等に関する命令の一部を改正する省令(昭和23年大蔵省令第113号)

これは改正されるもとの命令はポツダム命令としていないのに改正する省令のみポツダム命令としているもの。 もとの命令は 閉鎖機関の退職手当金、年金其の他これらに準ずべき利益の給付の制限等に関する命令(昭和22年総理庁、大蔵省、外務省、商工省、運輸省、農林省、厚生省、司法省令第5号)と日本法令検索ではなっているがこれは件名で、制定文は 昭和二十一年勅令第百十六号(昭和二十年勅令第五百四十二号(「ポツダム」宣言の受諾に伴い発する命令に関する件)に基づく退職手当、年金其の他此等に準ずべき利益の給付の制限等に関する命令第一條第一項及び第二條並びに閉鎖機関令第二十八條の規定による閉鎖機関の退職手当金、年金其の他此等に準ずべき利益の給付の制限等に関し、次のように定める。 つまり根拠規定は 1 昭和二十一年勅令第百十六号(昭和二十年勅令第五百四十二号(「ポツダム」宣言の受諾に伴い発する命令に関する件)に基づく退職手当、年金其の他此等に準ずべき利益の給付の制限等に関する命令第一條第一項及び第二條

2 閉鎖機関令第二十八條

でこれに基づく

閉鎖機関の退職手当金、年金其の他此等に準ずべき利益の給付の制限等

である。従ってポツダム命令の2次命令でありこれ自体はポツダム命令ではない。

これを改正する 昭和23年大蔵省令第113号は、題名があり ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基づく退職手当、年金其の他此等に準ずべき利益の給付の制限等に関する命令第一條第一項及び第二條並びに閉鎖機関令第二十八條の規定による閉鎖機関の退職手当金、年金其の他此等に準ずべき利益の給付の制限等に関する命令の一部を改正する省令 つまり「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基づく」は改正する元の命令の件名の一部(根拠となるポツダム命令を示している)であって昭和23年大蔵省令第113号の根拠ではない。 この閉鎖機関の退職手当金、年金其の他これらに準ずべき利益の給付の制限等に関する命令 ( 昭和22年総理庁、大蔵省、外務省、商工省、運輸省、農林省、厚生省、司法省令第5号 )は、通常の大蔵省令(昭和27年大蔵省令第59号)で廃止されており制定時と廃止は通常の命令で途中の改正のみポツダム命令と解するのは無理がある。

ポツダム命令であるかの再検討2―「ポツダム命令について」に加えるべきもの1新規制定その1[編集]

「ポツダム命令について」の一覧にはないが、ポツダム命令ではないかと考えられるものとしてまず新規設定として次のものがある。

  • 昭和二十二年勅令第一号(公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令)第八条に対する特例に関する命令(昭和22年閣令、内務省令第9号)

閣議決定あり 資料件名 昭和二十二年勅令第一号(公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令)第八条に対する特例に関する命令 国立公文書館請求番号類03054100

昭和二十二年勅令第一号(公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令)第8条第3項は公職に対する選挙の立候補する場合、内閣総理大臣が交付する覚書該当者(公職追放の対象)でないことの確認書を選挙長へ提出すること規定していた。 しかしこの確認作業が行われている最中の1947年4月に国会議員、地方自治体の長、議会の選挙があいつで行われることになった。そのため、確認書が選挙の立候補に間に合わない場合の措置として

地方自治体の議員選挙については、昭和二十二年勅令第一号(公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令) の特例に関する勅令(昭和22年勅令第61号)で

国会議員及び地方自治体の長の選挙については、昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く昭和二十二年勅令第一号第八条に対する特例に関する命令(昭和22年閣令、内務省令第5号)で

それぞれ確認書に代えて確認書申請をした証明書で代用できる旨が規定された。この二つの命令はポツダム命令とされている。(それぞれ施行後初めて施行されると規定して1947年4月の選挙に限定としていた)。

ところが衆議院議員選挙における資格確認期間が追加(4月12日から17日)されたため[4]、急遽閣令、内務省令第9号が4月25日に行われる衆議院議員選挙について、4月12日から17日に確認申請をした者を対象に制定された。しかるに「昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く」という文言が閣令、内務省令第5号にはあるが、閣令、内務省令第9号にはないために、「ポツダム命令について」は、閣令、内務省令第5号のみをポツダム命令とし、また公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令等の廃止に関する法律も閣令、内務省令第5号のみを廃止対象とし、閣令、内務省令第9号については触れていない。また日本法令検索では、閣令、内務省令第9号は実効性喪失としている。しかしそうすると根拠法令のない独立命令となってしまうことになるので、ポツダム命令と解し、平和条約発効から180日間後に失効したとすべきである。

ポツダム命令であるかの再検討3―「ポツダム命令について」に加えるべきもの2新規制定その2[編集]

  • 聯合国軍検閲官ノ為ス通信検閲上ノ必要ニ基キ電報及電話通話ノ取扱ニ関シ制限ノ件(昭和20年閣令第72号)

この命令は、占領軍の検閲のため国際電報について暗号の使用を禁止するなどの制限をするものであり、 「聯合国軍最高司令部ヨリ別紙ノ通申入アリタルニ」[5]とあり、ポツダム命令の要素をそなえているように見える。しかし閣議決定は確認できず、制定文に「ポツダム宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件」に基づく記載もない。占領軍の検閲に関しては、昭和20年10月12日にポツダム命令として公布された連合国占領軍ノ為ス郵便物、電報及ビ電話通話ノ検閲ニ関スル件(昭和20年閣令第43号)が、占領軍の検閲に協力するため必要な行為をさせることができるとしており、聯合国軍検閲官ノ為ス通信検閲上ノ必要ニ基キ電報及電話通話ノ取扱ニ関シ制限ノ件(昭和20年閣令第72号)は、連合国占領軍ノ為ス郵便物、電報及ビ電話通話ノ検閲ニ関スル件(昭和20年閣令第43号)に基づく2次的な命令とすればこれ自体はポツダム命令でないことになる。

  • 海外に発着する電報及び電話通話の取扱制限に関する件(昭和22年逓信省令第32号)

この命令は、海外に発着する電報及び電話通話について、金融取引に関するもの等を扱わないとするもので、閣議決定は確認できず、制定文に「ポツダム宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件」に基づく記載もない。なおこの省令で閣令第72号を廃止している。

昭和25年9月1日に公布された海外に発着する電報及び電話通話の取扱制限に関する省令(昭和25年電気通信省令第13号)は、制定文に「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基づく」の文言があり、また閣議決定[6]も経ておりポツダム命令であることは明らかである。(「ポツダム命令について」でもポツダム命令としている)。

問題はこの閣議決定の説明資料としてそれまでの取扱制限の法令として連合国占領軍ノ為ス郵便物、電報及ビ電話通話ノ検閲ニ関スル件(昭和20年閣令第43号)と海外に発着する電報及び電話通話の取扱制限に関する件(昭和22年逓信省令第32号)を記載し「以上の制限は、通信における国民の権利を制限するものであり憲法第二十一条に規定する「表現の自由」「通信の密[7]」との関連もあるからポツダム省令の形式をもつて施行している」のしていることである。となれば形式はともかく所管省は実質的な面からこのふたつの命令はポツダム命令であったとしていることになる。

ポツダム命令であるかの再検討4―「ポツダム命令について」に加えるべきもの3改正関係1[編集]

ポツダム命令は、前述の「連合国軍最高司令官の要求に対する対応」にあるように法律事項になるものについて制定され、法律と同等の効力があるのであるので、その後の改廃は法律又はポツダム命令でしかできないと解することもできる。以下の命令(勅令4件、省令19件)はポツダム命令の改廃に関するもので、「ポツダム命令について」の一覧にはないもの[8]である。

以下まず、ポツダム命令を単独で改正するものについて検討し、次に制度改正等に伴う一括改正中にポツダム命令を含むものについて記述する。なお検討にあたり、改正内容が実質的に法律事項の改正と考えられかどうか、また閣議決定[9]が確認できるかについても記述する。

  • 昭和二十一年勅令第六十八号(昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く恩給法の特例に関する勅令)の一部を改正する勅令(昭和21年勅令第304号)

この勅令の上諭は下記のとおりであり確かに直接「昭和二十年勅令第五百四十二号に基き」とはなっていないが、内容は恩給を支給しない対象から「第一復員又は第二復員部内の軍人以外の公務員に恩給給与の道をひらくために改正」[10]であり、法律事項の改正である。

朕は、昭和二十一年勅令第六十八号(昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く恩給法の特例に関する勅令)の一部を改正する勅令を裁可し、ここにこれを公布せしめる。

  • 昭和二十一年勅令第百九号(昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く就職禁止、退官、退職等に関する件)の一部を改正する勅令(昭和21年勅令第306号)
  • 昭和二十一年勅令第百九号(昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く就職禁止、退官、退職等に関する件)の一部を改正する勅令(昭和21年勅令第307号)

同じ昭和21年6月12日付けで同じ勅令を改正しているが、昭和21年勅令第306号は枢密院の諮詢を経ている。

内容は、第306号は、公職追放される者の範囲を拡大するもの、第307号は、公職追放に関して資料提出をさせる規定(拒むと罰則の適用がされる)の追加でありいずれも法律事項にかかわるものである。

地代家賃統制令の一部を改正する勅令(昭和22年勅令第17号)

規制される地代家賃の変更に関する規定の改正。規制される内容の変更であり法律事項にかかわるものである。

  • 昭和二十年大蔵省・外務省・内務省・司法省令第一号の改正の件(昭和21年大蔵省・司法省令第1号)
  • 昭和二十一年大蔵省・外務省・内務省・司法省令第一号の改正の件(昭和21年大蔵省・外務省・司法省令第2号)

閣議決定あり 資料件名 昭和20年大蔵、外務、内務、司法省令第1号及昭和21年大蔵、外務、司法省令第1号中改正ノ件(閣議了解) 国立公文書館請求番号平14内閣00001100

もともとの昭和二十年大蔵省・外務省・内務省・司法省令第一号は、件名が外地銀行、外国銀行及特別戦時機関ノ閉鎖ニ関スル件であり、後の閉鎖機関令の前身であり、日本が旧植民地や占領地に設立した機関の閉鎖を行うものである。また昭和二十一年大蔵省・外務省・内務省・司法省令第一号は、閉鎖機関保管人委員会等ニ関スル件であり閉鎖機関の管理についてのものである。改正はこれらの二つの命令の対象機関を追加するものである。閉鎖という強制措置の対象の変更は法律事項の改正とみるべきである。

なお昭和二十年大蔵省・外務省・内務省・司法省令第一号の改正の件(昭和21年大蔵省・司法省令第3号)も、対象機関の改正(追加ではなく、日沸銀行を除外するもの)であるが制定文[11]が、昭和二十年勅令第五百四十二号を根拠とする言及があるため「ポツダム命令について」は。ポツダム命令としている。制定形式は重要であるが内容的には相違はない。

  • 昭和二十年大蔵省・外務省・内務省・司法省令第一号の改正の件(昭和21年大蔵省・外務省・司法省令第2号)
  • 昭和二十一年大蔵省・外務省・司法省令第一号の改正の件(昭和21年大蔵省・外務省・司法省令第3号)

こちらのほうは閣議決定を確認できない。内容的には閉鎖機関の追加であり、前のものと共通の性格である。

  • 昭和二十年商工省・文部省・農林省・運輸省令第一号の改正の件(昭和21年商工省・文部省・農林省・運輸省令第1号)

閣議決定あり 資料件名 昭和20年商工、文部、農林、運輸省令第1号(兵器、航空機等ノ生産制限ニ関スル件)中改正ノ件(閣議了解)(商工省) 国立公文書館請求番号平14内閣00001100

もともとの昭和二十年商工省・文部省・農林省・運輸省令第一号は、件名が兵器、航空機等ノ生産制限ニ関スル件であり、兵器や航空機の生産を禁止するものである。制定当時は、他の用途への使用は許可制であったが、この改正で原則禁止(占領軍の許可があれば可能)と規制が強化されており、法律事項にわたるとみるべきである。 また閣議決定には、占領軍の指令文書の添付もあり明らかにポツダム命令である。

  • 労働に関する團体の主要役職員への就職禁止等に関する件の改正の件(昭和21年厚生省、運輸省、内務省令第1号)

閣議決定あり 資料件名 昭和21年厚生、運輸、内務省令第1号の一部改正 労働組合役員に追放令適用の件) 国立公文書館請求番号平14内閣00018100

労働に関する團体の主要役職員への就職禁止等に関する件は、国策のための報国会等の役員の追放に関するもので、改正はその就職禁止を労働組合へ拡大するもの。禁止の範囲の拡大で法律事項にわたるとみるべきである。

  • 工場事業場、研究機関等ノ事業報告書等ニ関スル件の改正の件(昭和21年閣令、文部省、農林省、商工省、運輸省令第1号)

閣議決定あり 資料件名 昭和二十年閣、文、農、商、運令第一号(昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く工場事業場、研究機関等の事業報告書等に関する件)を改正する 国立公文書館請求番号類03025100

工場事業場、研究機関等ノ事業報告書等ニ関スル件は、兵器、航空機、軍需物資の工場の事業報告並びにこれらの研究報告書の提出を義務付けるものである。改正は研究報告書についてその提出頻度等の改正をするものであり、義務の変更として法律事項にわたるとみるべきである。

  • 正規陸海軍将校又は陸海軍特別志願予備将校であつた者の調査に関する件の改正の件(昭和21年内務省令第34号)

正規陸海軍将校又は陸海軍特別志願予備将校であつた者の調査に関する件は、陸海軍の将校だったものに届出義務を課すもので、改正は将校の死亡の場合に戸籍法の死亡届を出す義務のある者に届出義務を追加するもの。罰則の対象になることから法律事項にわたるとみるべきである。

  • 鉛屑回収規則の改正の件(昭和21年商工省令第51号)

閣議決定あり 資料件名 鉛屑回収規則の一部改正について(商工省) 国立公文書館請求番号平14内閣00012100 レファレンスコードA17111046700

鉛屑回収規則は、鉛及びその屑について指定会社以外との取引を禁止するものであるが、改正は戦災等で埋没したものについて強制譲渡を認めるものであり所有権の制限であり法律事項にわたるとみるべきである。

  • 昭和二十一年大藏、遞信省令第一號の一部改正の件(昭和21年大蔵省・逓信省令第2号)

昭和21年大藏、遞信省令第1号は、占領軍の発行する弗表示の軍票の所持の禁止と例外的に逓信官署(郵便局や電話局)で、受け入れる例外を規定していたもの。改正はこの例外において換算レートの規定を削るものである。罰則付きの規定の改正であり法律事項にわたるとみるべきである。

死産の届出に関する規程(昭和21年厚生省令第42号)は、死産について届出を義務付けたもの。占領時における4回の改正すべてがポツダム命令でないとされているが内容をみるとポツダム命令とみるべきである。

  • 死産の届出に関する規程の改正の件(昭和22年厚生省令第4号)

届出事項を改正(「届出の住所に母が引き続き住んでいた期間」を「届出の住所の市町村に母が引き続き住んでいた期間」)に改正。細かい改正であるが法定の届出事項の改正であり、法律事項にわたるとみるべきである。

阿片法施行規則等中改正(昭和22年厚生省令第14号)による改正は、制度改正等に伴う一括改正の一部である後の記載を参照

  • 死産の届出に関する規程の改正の件(昭和22年厚生省令第42号)

届けの事項を改正。法定の届出事項の改正であり、法律事項にわたるとみるべきである。

  • 死産の届出に関する規程の改正の件(昭和24年厚生省令第44号)

閣議決定あり 資料件名 昭和二十一年厚生省令第四十二号(昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く死産の届出に関する省令)の一部を改正する厚生省令 国立公文書館請求番号類03389100</ref>

届けの事項を改正。法定の届出事項の改正であり、法律事項にわたるとみるべきである。

  • 昭和二十二年閣令、内務省令第五号(昭和二十二年勅令第一号第八條に対する特例に関する命令)の改正の件(昭和22年総理庁令、内務省令第2号)

国立公文書館保存文書(国立公文書館請求番号昭57総00001100)は存在ずるが、総理府公文のファイルで閣議の案件番号もないので閣議を経ていない可能性は否定できない。しかし、昭和22年閣令、内務省令第5号を改正して適用範囲を「昭和二十二年十二月三十一日までに行われる衆議院議員、参議院議員又は地方公共団体の議会の議員若しくは長の選挙に関して」と拡大し、補欠選挙についても適用するもの。元の命令がポツダム命令であるからこれもポツダム命令とすべきである。

ポツダム命令であるかの再検討5―「ポツダム命令について」に加えるべきもの4改正関係2[編集]

制度改正等に伴う一括改正中にポツダム命令を含むものである。

  • 地方官官制等ノ改正ニ伴フ工場法施行規則外十八省令中改正ノ件(昭和20年厚生省令第48号)

被改正ポツダム命令

  • 労務充足ニ関スル件(昭和20年厚生省令第41号)
  • 機械技術者検定令施行規則等改正の件(昭和22年労働省令第2号)
  • 被改正ポツダム命令
  • 昭和二十年勅令第五百四十二号ニ基ク港湾荷役力及船舶等造修能力ノ確保昂上ニ関スル件(昭和20年厚生省・運輸省令第1号)
  • 労働に関する團体の主要役職員への就職禁止等に関する件(昭和21年厚生省・運輸省・内務省令第1号)

この二つは性格が類似しているいずれも行政組織改変に伴い関係の省令を一括改正するものであるがその対処にポツダム命令であるものがあったものである。法律事項の性格はあまりないものである。

  • 阿片法施行規則等中改正(昭和22年厚生省令第14号)

被改正ポツダム命令

  • 麻薬取締規則(昭和21年厚生省令第25号)
  • 死産の届出に関する規程(昭和21年厚生省令第42号)

この改正は、日本国憲法に施行に伴い、戸主制度の廃止がされたことによる関連の厚生省令の改正するもので、死産の届出に関する規程については届出義務者から「戸主」を削除するもの。これ自体は法律事項の色彩は弱いがそれでも法的義務のあるものの変動であるから法律事項にわたるとみるべきである。

ポツダム命令であるかの再検討6―「ポツダム命令について」に加えるべきもの5 廃止関係[編集]

  • 衆議院議員選挙法施行規則等の一部を改正する省令(昭和23年総理庁令第1号)

被廃止ポツダム命令

  • 選挙運動ノ費用等ノ届出ニ関スル件(昭和21年内務省令第11号)
  • 衆議院議員及び地方議会の議員等の選挙に関する選挙運動の費用及び選挙運動に関する収入の公開に関する省令(昭和22年内務省令第1号)
  • 鉛屑集荷規則(昭和23年商工省令第25号)

被廃止ポツダム命令

  • 鉛屑回収規則(昭和21年商工省令第25号)

この二つは、いずれもその省令自体は、法律の委任命令でありポツダム命令ではないが、ポツダム命令を廃止している。ポツダム命令制定後に法律が改正され、ポツダム命令の内容が委任命令で可能になったため[12]である。

ポツダム命令であるかの最高裁判例[編集]

公布の際に「昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基」の文言を欠いていた[13]重要物資在庫緊急調査令(昭和23年3月27日政令第65号)について最高裁判所大法廷は「罰則を設けた政令を公布するに当つてその根拠を示さなかつたとしても、それだけでは直ちにその政令を無効であるとする二一[14]とはできない。その効力如何は、罰則を設けることができる実質上の根拠があつたかどうかによるのである」として「本件政令第六五号は、その実質において「昭和二〇年勅令第五四二号ボツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件」に基くものであるから」として形式的にポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基がなくてもポツダム命令であることがあると認めている[15]

脚注[編集]

  1. ポツダム命令についてp19
  2. 閣議決定 資料件名 団体等規正令 国立公文書館請求番号平14内閣00063100レファレンスコードA17111506800
  3. 閣議決定 資料件名 団体等規正令施行規則 国立公文書館請求番号平14内閣00063100レファレンスコードA17111506900
  4. 命令の決裁文書の理由。国立公文書館請求番号類03054100
  5. 資料件名 聯合国軍検閲官ノ為ス通信検閲上ノ必要ニ基キ電報及電話通話ノ取扱ニ関シ制限ノ件ヲ定ム 国立公文書館請求番号類02949100 レファレンスコードA14101349500
  6. 資料件名 海外に発着する電報及び電話通話の取扱制限に関する省令について(電気通信省) 国立公文書館請求番号平14内閣00118100 レファレンスコードA17111944600
  7. 原文のまま
  8. 政令にはこれに該当するものはない。
  9. 閣令、省令は、本来閣議決定は不要であるが、前述のようにポツダム命令である場合は、閣議決定を行うことになっている。なお勅令の場合は、一般の勅令も閣議決定がされるので、閣議決定の有無はポツダム命令であるかの判断基準にはならない。
  10. 勅令の理由。国立公文書館請求番号類03032100
  11. 「昭和二十年勅令第五百四十二号(ポツダム宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件)昭和二十年大蔵省・外務省・内務省・司法省令第一号を、次のように改正する。」となっており基づくとか基づきの文言はない。ただしこれは誤植として5月4日官報第5788号P14で訂正され「関スル件)」の次に「に基づいて、」を加えるとされた。
  12. 選挙運動の費用の公開については、衆議院議員選挙法、鉛屑集荷規則は、臨時物資需給調整法
  13. 昭和23年4月16日に、官報の正誤表をもつてこの政令の公布書中「重要物資在庫緊急調査令」の上に「昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く」を加えるべきの誤りであつたと正誤されている。
  14. 「二一」は、裁判所HP(http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/323/054323_hanrei.pdf)に掲載のままである。おそらく紙媒体をスキャンしてOCRする際に「こ」とすべきだったものと思われる。
  15. 昭和24(れ)2696  重要物資在庫緊急調査令違反 昭和26年1月31日  最高裁判所大法廷  判決 刑集 第5巻1号137頁

参考文献[編集]