はぐれ魔剣士と共鳴少女隊

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はぐれ魔剣士と共鳴少女隊』(はぐれまけんしときょうめいしょうじょたい)は、来生直紀による日本ライトノベル作品。イラストはmmu

概要[編集]

2015年5月20日に富士見ファンタジア文庫より刊行された。『新世の学園戦区』に続く来生直紀による作品。

ストーリー[編集]

正歴(せいれき)2035年、アマテラスにあるギア・ガーデンに入学しているユージン。ユナイツと戦うために日々訓練していた。そんなある日、使役魔獣に襲われている天ツ四季を助けて、魔力共鳴契約のことを知られる。すると909分隊に入隊することになり、五菱小羽大河剣華とも魔力共鳴契約を行い、一緒に戦うことになる。

登場人物[編集]

アマテラス[編集]

ギア・ガーデン[編集]

909分隊[編集]
ユージン
本作の主人公の男。魔法大国ユナイツの出身だが、ユナイツと敵対しているギア・ガーデンに入学した。当初は悪い意味で注目されたが、魔法を使えないことなどから差別は残りつつも「孤独な変わり者」というような存在に落ち着いている。
下級兵兵科生の一人だが、入学から半年で光学武装の腕はかなり上がっている。使役魔獣に襲われている天ツ四季を魔力共鳴契約による魔法で助けたことで魔力共鳴契約のことを知られる。その後、秘密裏に病院に運ばれ、魔力があるために光学武装を使えない909分隊と自分の魔力が使えないために魔法が使えないユージンの利害が一致したことで909分隊に入隊することになった。
一年半前はユナイツの軍人魔放士だった。ユナイツ軍の同僚となった妹リィラから魔力共鳴契約によって魔力を供給してもらうことによって、魔剣の魔力供給不足などを補って戦っていた。しかし、妹のリィラはブラッドによって魔力資源として利用するために触媒鉱石に拘束。ブラッドが、魔力が融合することで高い増幅効果を発揮するが、融合深度が深くなると身体汚染が発生するため、共鳴術式で賢人同士が魔力媒体を使用できる回数には限りがあり、この魔術術式を開発してユージンに施したのが自分だと説明。自分たちが道具として扱われたことを知ったユージンはブラッドに襲いかかるも、ブラッドにはほとんど傷がつかずに倒れてしまったユージンは、大罪人として極刑に処されることが決まってしまう。そのときに体に多くの傷跡がついて残ってしまっている。処刑される寸前に仲間に助け出されて、危ないからと転送魔法で無理矢理アマテラスに送られた。アマテラスで拘束された後、情報と引き換えに身柄の解放と「ギア・ガーデン」への入学を許可されて、魔法を失った状態でも戦っていこうと決めた。そして、ユナイツに戻るための転送魔法を使える高位の魔放士の協力と、ユナイツ軍からリィラを取り戻すための力を手に入れようとしている。
魔力共鳴契約(まりょくきょうめいけいやく)
ユージンに埋め込まれている術式。他人を魔力の吸収源にすることができる。これによって、魔力を有しているために光学武装を使えない909分隊のメンバーが魔力をなくすことができて、光学武装を使えるようになって実戦に出ることができるようになった。ユージンも自分の魔力が凍結されているために普段は魔法が使えないが、909分隊のメンバーから魔力を吸収することで魔法を使うことができるようになる。なお、魔力は吸収しても自然に回復するため、909分隊は戦闘ごとに魔力を吸収してもらわなければならない。
魔力吸収するためにはユージンの身体に直接触れなければならない。術式の発動には共鳴契約者側の精神状態が大きく作用して、一番効率的に作用するにはユージンの体に触れている状態で発情(恥ずかしい)している必要がある。
賢人同士だと魔力共鳴契約を繰り返すと危険。909分隊のメンバーである異人との魔力共鳴契約ならば何度でもできるらしい。
魔剣(まけん)
ユナイツ軍でもユージンだけが使っていた魔法。詠唱する魔放士の魔力と、共鳴契約を交わした別の人間の魔力を上乗せして、初めて発動することができる魔法。共鳴契約者の魔力を剣として凝縮した状態で具現化させて、魔放士自身の魔力を練り込んで倍化(ブースト)させて、力を解放することで、《アースディバイダー》と呼ばれる攻撃魔法が発動。術者と契約者は大きな魔力を消費して、術者への体の負担も大きい。射程、効果範囲、威力を高めるための大規模な魔法である戦域魔法や戦略魔法と呼ばれる特殊な魔法のうち、魔剣は戦域魔法の数少ない成功例の一つ。
天ツ 四季(あまつ しき)
本作のヒロインの一人。燃えさかる篝火のように赤い髪と称される長い髪を後ろに結わえてポニーテールにしている。細身の体だが、巨乳。アマテラスを支配する財閥の一つ「天ツ」のお嬢様で、ギア・ガーデンの有名人。
ユナイツ人のことを憎んでいたが、自由時間にまで訓練しているユージンを不思議がるようになる。そんな中、使役魔獣に襲われたところ、駆け付けたユージンの首元にキスをして魔力共鳴契約を行ったことで、ユージンが魔法で使役魔獣を倒して助かる。そして、909分隊のみんなが光学武装を使うためにユージンが909分隊に所属するも、恥ずかしいこともあって小羽や剣華が魔力共鳴契約をする中で、再び魔力共鳴契約をすることができずにいた。ブラッドの襲撃時に、魔剣を生み出すために身体を貸した後、ユージンの過去を909分隊のみんなと聞く。その話を聞いて覚悟を決めて、黒い下着でユージンの前に現れて2度目の共鳴術式を行う。そして、弟が魔法国に連れ去られた過去を話す。そして、ユージンがユナイツ軍が魔力の大きい人間を集めていたが、非魔法国からも人材を集めていたことを話し、守桜はユナイツ軍に連れ去られた可能性があると話した。そして、お互いに大事なものをユナイツから奪還するために戦うことをユージンとふたりで誓い合った。
三年前に弟の守桜が魔法国に連れ去られてしまった過去がある。そのため、自分で弟を見つけ出すために「ギア・ガーデン」に入学して特級兵科を目指している。
山猫(やまねこ)
AMATSUアームズファクトリー製の多目的可変光学銃。
五菱 小羽(いつびし こばね)
本作のヒロインの一人。亜麻色の髪を白いリボンで結んでいる。やや小柄な体型。四季とは仲が良く、四季がいるからという理由でギア・ガーデンに所属した。一鉄がユージンに小羽のファン八二四号にならないかと誘うなど、男子からの人気は高い。
男の人が怖くて、男を目の前にするとオドオドしてしまう。ユージンのことは特別で大丈夫。魔力共鳴契約でユージンをなめたりするのが好きらしい。
柳一鉄とのUFO勝負の時に初めてユージンと魔力共鳴契約をして光学武装「涼風」を使って、UFO勝負に勝利。そして、自分のことを特別扱いすることがなくなり、小羽のファンは心の中でファンと思う程度になった。
涼風(すずかぜ)
五菱重工製の試作型浮遊光学銃。
大河 剣華(たいが けんか)
本作のヒロインの一人。黒髪の女の子。武士のように剣を持ち歩く。
一度も実戦に出れなかったことで、自分が役立たずなのではないかと自信を失っていた。しかし、ユージンに自分にできないことはカバーしてもらい、自分にしかできないことをカバーする覚悟をもてばいいと言われ、魔力共鳴契約をする。そして、顎人を動かすことに成功した。
顎人(あぎと)
大河バイオテクノロジクス製の試作型生体光学太刀(しさくがたせいたいこうがくたち)。
その他の生徒[編集]
柳 一鉄(やなぎ いってつ)
701分隊の男。小羽のファンの一人で、ファン第一号を自称する。
ユージンに自分が勝ったら901分隊を抜けるようにという条件を出し、負けたら五菱を特別扱いしないという条件を受け入れて勝負する。魔力共鳴契約によって光学武装を使えるようになった五菱によって、勝負に負けて潔く負けを認める。そして、「小羽様」呼びを「五菱さん」呼びに変えるなど特別扱いを辞めて、ユージンに小羽のことを頼む。
学園関係者[編集]
天ツ 颯(あまつ さや)
四季の従姉妹。19歳にして「ギア・ガーデン」の理事会メンバーの一人。魔力共鳴契約のことを知って、ユージンが909分隊に入ることを勧めた。
四季の良き理解者であり、魔力共鳴契約のことなどでアドバイスしている。
夜刀凪(やとなぎ)
「ギア・ガーデン」の理事長兼校長。中性的な風貌をもつ男性。909分隊の面々を立場がデリケートだとして実戦には出したくないと考えていたが、ユージンに909分隊の彼女たちを守る意思があるのかどうかを確認。ユージンに守る意思があると確認すると、家の圧力は何とかするとして実戦に出ることを許可した。

909分隊関係者[編集]

天ツ 守桜(すおう)
四季の弟。三年前に魔法国に連れ去られて、行方不明になる。
祇園 小夜子(ぎおん さよこ)
大河の分家の一つで剣華とは血縁ではないが、幼少のころから剣華は一緒に鍛練してきたことで、剣華が「姉上」と呼んでいる。国防軍の人間。
剣華の方が剣術では優れているが光学武装を使えないため、小夜子が顎人を使う予定となっていた。しかし、魔力共鳴契約によって剣華が顎人を使うことができたことで、自分がお偉方を説得すると言って、顎人を剣華に託した。

ユナイツ[編集]

ブラッド・ジャコール
ユージンの敵。ユナイツ統合軍東部方面師団のトップで、ユナイツ最高位の魔放士である「《正罪級》魔放士(セイクリッド・シン)」で、異人討伐官。ユージンの魔法の師匠だった。
仮想体としてルルーカと共にアマテラスに侵入。ユージンたちを襲撃した。
ルルーカ・ルーン
ユナイツの「《大罪級》魔放士(デッドリー・シン)」で、《正罪級》、《原罪級》に次ぐ力の称号の持ち主の少女。仮想体のブラッドと一緒にやってきたことで、自分を仮想体と錯覚させてアマテラスに侵入。数日間潜伏して、送り込まれる使役魔獣を魔力源として巨大な転送門を作り上げた。そして、アマテラスで魔力を持つ四季たちを連れ去ろうとした。しかし、一騎打ちを申し込んだユージンの策略によって転送門が破壊されてしまう。そして、909分隊の連携の前に倒される。
その後、手術によってユージンと共に一命をとりとめる。そして、触媒は取り上げられる。夜刀凪曰く、膨大な魔力そのものは残るも、内臓に損傷を負って、回復しても元のように魔法を使えるかどうかはわからない。
リィラ
ユージンの妹。ブロンドの髪。《レクスの器(うつわ)》と呼ばれて、常人とかけ離れた魔力を有していた。ユージンと軍の同僚となって、ユージンが魔剣を使用するたびに共鳴契約者として魔力を供給していた。しかし、ブラッドが魔力資源として利用するために触媒鉱石のために拘束されてしまう。

用語一覧[編集]

ギア・ガーデン
アマテラスの衛士学校(えいしがっこう)。財閥の共同出資によって設立された。「兵科」は、予備兵扱いの「下級兵科」、主戦力となる「上級兵科」、独立した「特級兵科」にわかれている。分隊は原則的に4名で組むことになっている。
アマテラスの首都「ムサシ」の湾内に浮かぶ巨大人工島に建造された学園都市の中にある。通称「武装都市島(アームド・フロート)。
909分隊
上級兵科ながらも実戦経験がなく「箱入り分隊(はこいりぶんたい)」と揶揄されている隊。メンバーの四季、小羽、剣華が魔力を有しているために光学武装を使えないために実戦に出られなかった。魔力を持っていてもアマテラス人は魔力回路がないために魔法を使うことができずに魔力を持てあましていた。しかし、ユージンが分隊に加わって、その特性で戦闘のたびにユージンが魔力を吸収することによってみんあが実戦にでることができた。
光学武装(こうがくぶそう)
アマテラスの最新兵器。賢人に利用されないように安全機構(セーフティー)がついていて、使用者の魔力を検知して機能をロックする。909分隊のメンバーは、アマテラス人にも関わらずに魔力を有しているために光学武装を使えずにいた。
賢人(ウィザーズ)
アマテラスでは正式名称「レゾナンストリガー」と呼ばれている。共鳴発動現象(レゾナンス・エフェクト)と呼ばれるアマテラス人にはない特性をもつ者。魔力をエネルギー源として、呪文と触媒を介することで物理法則から外れた特殊な現象を引き起こすことができる。ユナイツではこれらの力を魔法と呼ぶ。ユナイツ人などの魔法を使える人間は、生まれながらに共鳴発動現象の源の魔力、それを外界に出力するための「魔力回路(サーキット)」をもつ。ユナイツでは、魔法を使える自らを賢人、魔法を使えない人間を「異人(イデイオル)」と呼んでいる。
使役魔獣(スレイヴ)
魔法国がアマテラスの偵察のために送り込んでいる。
魔放士(マギアン)
軍人などの職業的に魔法を使う人間。「魔を放つ者」を意味して、アマテラスの脅威となっている。
衛士(えいし)
魔放士に対抗するためにアマテラスがギア・ガーデンで育成している。
ゲート・ジャンパー
転送門(ゲート)を空間に開いて、その場所に使役魔獣や魔放士を送り込むことができる。魔力の大きいものほど運ぶのに大きな魔力を使うために、制約も多い。
UFO
ユージンと一鉄が勝負することになった方法。空中に浮遊する球体上のターゲットをブレイクスペースに出現させて、撃ちぬく。ランダムに出現するターゲットと空中で不規則に動くことからUFOと呼ばれる。

国家[編集]

アマテラス
極東の島国で魔法を使えない人々が住む。魔法の代わりに独自の科学技術を発展させてきた。ユナイツとは敵対関係にある。
魔法大国ユナイツ(まほうたいこくユナイツ)
南北ユナイツ大陸全土を支配し、世界の中心に君臨する国家。
ブリテン
“西”側の魔法国。魔法発祥の地でもある。
サヴィート
“東”側の魔法国。

財閥[編集]

財閥(ざいばつ)
アマテラスから古くから存在している一族独占資本の巨大企業体。財閥によってアマテラスが支えられており、影響力は大きい。十大財閥として君臨している。
五菱(いつびし)
航空や船舶などの重工業を核とする。
化澄(かすみ)
エネルギー分野をリードする。
大河(たいが)
最先端のバイオテクノロジーを有する。

単行本[編集]

富士見ファンタジア文庫富士見書房)より刊行。

巻数 初版発行日 ISBN その他 サブタイトル
1 2015年5月25日(2015年5月20日発売) ISBN 978-4-04-070636-8
  • 序章 ある日の出撃直前の光景
  • 一章 はぐれ魔放士(マギアン)と箱入り分隊(ユニット)
  • 二章 魔力共鳴契約
  • 三章 異邦(いほう)の罠
  • 四章 契約と誓いの差
  • 五章 首都防衛線
  • 終章 はぐれ魔剣士(まけんし)と共鳴少女たち
  • あとがき

外部リンク[編集]