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この記事はやや笑えます。 寛容な心でお読み下さい。 |
今の世の無人販売は、古き世の
せるふれじがいはれと云ふ
せるふれじとは、商人のすなる会計を、手前にてする事なり。この言、商人は客に会計させる、買ふ物また銭に手を触れじ、といふ意なり。
このおこりは不詳なるも、掛け買ひをすなる客、見知った商人を煩わせまいと、手前にて帳面に書き立てたことを「触れじ買ひ」と名付けたものが最初と伝わる。
触れじ買ひは当座払ひには使へず、商人いささか難儀であったから、当座払ひの客にも触れじ買ひをさすことを、「触れじ買ひせる」と呼び、やうやうせるふれじと云ふこととなった。
いまにくだると、せるふれじは商人さへ無くなし、ささやかなる店にいささかの物を並みて、銭入れの鉢を置くばかりとなった。