ある日、爆弾がおちてきて

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ある日、爆弾が落ちてきて(あるひ、ばくだんがおちてきて)とは古橋秀之によるライトノベルである。イラストは緋賀ゆかりが担当し、2005年10月にメディアワークスから刊行されている。シリーズ物の作品ではなく、ボーイ・ミーツ・ガールと「あるもの」をテーマにした短編集である。

収録作品[編集]

ある日、爆弾がおちてきて
予備校に通う主人公が回想に浸っていた時、空から突然女の子が降ってくる。その女の子はかつてのクラスメイトに瓜二つであるが、「ピカリ」と名乗り、最新型の高性能爆弾を自称する。ドキドキすると秒針が進む時計を胸元に持ち、かつてのクラスメイトとの記憶を回想しながら成り行きでデートに付き合うことに。
おおきくなあれ
感染すると記憶が一時的に遡行してしまうゴードン症候群(発症しても3日で治るため、阿呆風邪の別称がある)と呼ばれる病気が存在する世界。身長が低い男子高校生の小暮とその幼馴染の身長180cmを超える女子高校生の高峰。学校でゴードン症候群を発症してしまい、記憶が逆行していく高峰を小暮が無事に家に連れ帰るまでのストーリーを描く。
恋する死者の夜
死者が蘇って生前の行動をひたすら「リピート」する世界。その世界で蘇った死者である「リピーター」は生前の特別な日を何度も繰り返すという。そんな「リピーター」の少女と人間である青年が繰り返し続ける1日を描くどこかはかなく哲学的なストーリーである。
トトガミじゃ
歴史ある古い学校の図書委員になってしまった主人公。その図書館には「神様」がいるとされており、その神様を見ることができた人は「ネギサマ」といわれ神様を奉る(要は神様の小間使い)係に選ばれる。偶然姿を見てしまった主人公は今年の「ネギサマ」になってしまい、ちょっと癖のある神様である「トトガミ」様と過ごす放課後のストーリーを描く。
出席番号0番
主人公の学級では出席番号0番の生徒が存在する。その生徒は自分の肉体を持たず、そのクラスの生徒に日替わりで憑依し、その日一日を過ごしている(その際の憑依された側の記憶は無い)。この現象は教師陣も認知しており、部活の顧問などは自分の部の生徒が憑依されると露骨に嫌がることもある。憑依される対象に男女は関係ない模様である。
三時間目のまどか
授業中のに浮かんだ女子生徒の姿。お互いの姿はお互いにしか見えておらず、決まった時間だけ映るというものであった。主人公と女子生徒は筆談手話でコミュニケーションをとっていき、お互いの連絡先を交換するも電話は不通であった。一方で今日の日付を確認したところ二人の間にはズレがあることが判明する。
むかし、爆弾がおちてきて
先の戦争で「時空潮汐爆弾」と呼ばれる「時間衝撃波」を利用した爆弾により、時間的連続性を失って消滅した都市があった。その被害から復興し、爆心地に設立された平和記念公園には爆発の影響で「時間衝撃波」が打ち消しあって時間の流れが極端に遅くなってしまった空間が残されていた。その空間には当時15歳の少女が残されており、外界から見れば当時の姿のまま生き続けているものであった。その少女に心ひかれた主人公が唯一干渉できる場所から同じ時間軸に到達しようとする物語である。

評価[編集]

1話が短く、会話も多いためサクサク読み進めることができる。SFセカイ系のエッセンスを取り込み、手軽に読むことができる作品集である。2013年には「ある日、爆弾がおちてきて」が世にも奇妙な物語で実写化されているなど、同時期の他のライトノベルのように派手に目立ったメディアミックス等はなかったものの、良作な短編集であるとされている。

書籍情報[編集]

  • ある日、爆弾がおちてきて
    • 著:古橋秀之 画:緋賀ゆかり
    • ISBN 978-4-8402-3182-4(旧ISBN:4-8402-182-6)
  • ある日、爆弾がおちてきて(新装版)
    • 著:古橋秀之
    • ISBN 978-4-0489-2886-1