VTEC

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VTEC(ブイテック)とは、本田技研工業(ホンダ)が開発した可変バルブ機構の名称である。

概要[編集]

それまでの可変バルブ機構はバルブ開閉のタイミングを高回転時や低回転時に切り替えるものであり、気筒休止エンジンや日産NVCSに代表されるような位相可変型など、タイミングのみの可変機構であった。

1989年に登場したVTECは高速と低速でカムを切替えることにより、タイミングだけでなくバルブリフト量も可変させた機構である。この機構により低回転域での扱いやすさと高回転域での高出力を両立することが可能になったといわれている。カム切替時に出力の谷ができてしまうといわれていたが、カムが高速側に切り替わった後のパワーフィールに夢中になるユーザは多く、中回転域から湧き上がるパワーは二段ロケットなどと呼ばれて好評であった。

VTECが搭載されたB16Aエンジンは2代目インテグラに初搭載され、過給なしで(自然吸気で)160PSを発揮していた。これは高性能NAエンジンと言われる排気量1Lあたり100PSを超えていた。その後シビック(EK)に搭載されたB16Aは170PSにまで引き上げられ、更にシビック・タイプR(EK9)に搭載された際には排気量は据え置きのまま185PSを発揮するほどに強化された。

このようにVTECには高性能・高出力なイメージが付きがちであるが、低燃費性向上のために応用されることもあり、VTEC-Eはその元祖である。3ステージVTECというものもあり、低回転時は気筒休止、中回転域と高回転域ではVTEC同様カム切替によりトルクと出力の向上など、幅広い回転域に適応したモデルもあり、こちらはIMAシステムと組み合わせることでマイルドハイブリッドながらモーターのみの走行が可能になるなど、環境性能とエンジン性能を両立しているモデルである。

VTECターボ[編集]

かつてVTECにターボは邪道と言われていた時期があり、EK9など高回転型のVTECにターボチューンを施すと圧縮比の関係から高回転域を犠牲にせざるを得なくなってしまうことがあった。同時にその高回転域が出力的にも官能的にも魅力であったため、その魅力を消す=邪道とされていたものである。

時代は下り、2015年に登場したFK2型シビックタイプRには新開発されたK20Cエンジンが搭載され、NAのK20AエンジンをベースにVTEC(排気のみ)とターボが組み合わせられた。吸気側にVTECが装着されていないのは吸気側はターボチャージャーによる吸気ができるため、バルブリフトを可変しなくても吸気効率を高めることができるためと言われている。結果、最高出力320PSを発揮し量産型の前輪駆動車では世界一の出力となったほか、2019年には量産車かつ前輪駆動車でのニュルブルクリンク最速タイムを樹立した(7分50秒63)。

関連項目[編集]