21世紀の精神異常者

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21世紀の精神異常者』 (21st Century Schizoid Man :including Mirrors) は英国のロックバンド、キング・クリムゾンが1969年に発表した楽曲。デビューアルバムの「クリムゾン・キングの宮殿」の一曲目を飾る曲として、真っ赤な顔のジャケットと相まって衝撃的な印象を与えた。

クレジットはロバート・フリップイアン・マクドナルドグレッグ・レイクマイケル・ジャイルズピート・シンフィールドと、バンド全員が名を連ねている。

概要[編集]

レコードでの演奏時間は7分20秒。冒頭の奇妙なミュージック・コンクレートを切り裂くようにヘビーなギターリフとサックス(C Minor)がユニゾンし、金属的にディストーションされたグレッグ・レイクのヴォーカルが来る21世紀の様子をディストピア的に吐き捨て、手数の多いドラムを筆頭に演奏は次第に白熱したジャズ的間奏を見せる。彼らの実質的なデビュー曲にして今もなお代表曲のひとつである。

かすかなノイズのように始まる冒頭部分を聞き取ろうとリスナーがボリュームを上げた途端例のリフが大音量で飛び出すようになっており、ヴォーカルの加工や中間部のジャズ的アプローチも含め、20組以上のアーティストのカヴァーが存在するなどロック界に与えた影響は非常に大きい。編成によって常に演奏曲目が変わるキング・クリムゾンにおいても唯一演奏され続けていた曲であり(80年代と2000年代以降は演奏されていないが)、アンコールのファン・サービスやその編成ごとの解釈を示すことができるという点で価値があった。

なお、レコ倫の審査で「精神異常者はアカンでしょ」との理由から現在は「21世紀のスキッツォイド・マン」と表記されることが多いが、当記事では邦題に敬意を示し依然この表記とする。

作曲[編集]

ベトナム戦争の時期(1968年)に作曲されたためか、「ナパームの炎に犯される無辜の民」、「詩人は飢え、子供たちは血を流す」「欲しい物は何一つ得られない」などと、シンフィールドの歌詞は一貫して具体的で悲惨な世界の様子を描いている。冒頭のリフはフリップ曰くレイクの発案らしく、ジャイルズの豪快なドラムとマクドナルドのサックス、ギターとベースが後半の6/8拍子で微に入り際に入りユニゾンを決める様子は強烈。

その他[編集]

  • ディープ・パープルのリッチー・ブラックモアとジョン・ロードは二人でこの曲を聴き、「こんなヤツらを相手にしなきゃいけないのか」と今後のロック業界に怖気をふるったとのこと。
  • オリジナルメンバーではないが、「アースバウンド」のテイクはより頭のネジが外れたような演奏になっている。ボズのヤケッパチシャウトもメル・コリンズのブロウもすさまじい。
  • 太陽と戦慄」発表後のツアーではサックス部分をヴァイオリンで代用し、ダブルドラムの膨大な手数が加わったことで毛色の違う演奏になっている。
  • エイドリアン・ブリューが加入した80年代や90年代の途中までは彼が歌えないとして演奏されなかったが、ダブルトリオ後期の1996年には演奏されファンを喜ばせた。ちなみに日本では一度も演奏されていない。
  • 日本では映画「脳男」のテーマ曲に使用されたことで記憶に新しい。