2019年6月競走馬禁止薬物検出事件
本項では、2019年6月15日・16日に発生した、禁止薬物を摂取した可能性がある日本中央競馬会所属の競走馬が競争除外となった事象について解説する。
サプリメントの一種である競走馬用のカルシウム剤「グリーンカル」から、血管拡張や利尿作用などの効果がある禁止薬物「テオブロミン」が検出された[1]ことが原因であり、6月15日・16日に中央競馬に出走を予定していた馬のうち156頭が競走除外または馬番発表前の出走取りやめとなった[2]。また船橋競馬でも、6月16日・17日に出走予定で、同じく「グリーンカル」を使用していた厩舎の所属馬5頭が競走除外となっている[3]。
重賞競走では函館スプリントステークス(GⅢ)で13頭中6頭が除外、ユニコーンステークス(GⅢ)で15頭中2頭が除外となり、前者には最有力候補と目されていたダノンスマッシュも含まれた[4]。同馬を管理する安田隆行調教師は「最悪ですね。コメントがないです。期待していただけに残念です。おかしいですよ。これだったら旅費も全部出してほしいくらい。こっちが被害者です」と怒り心頭であり、新馬戦に使う予定だったレッドヴェイパーに至っては「(クラブの)会員さんも内地から来ているし、どうすればいいのか」と困惑している様子を話した[5]。
「グリーンカル」は日本農産工業の子会社であるニッチク薬品工業が製造し[6]、日本中央競馬会(JRA)の関連会社であるJRAファシリティーズなどを通じて販売されていたもの[7]。日本農産工業では15日現在「原材料としてテオブロミンを使用していない」こと、並びに「原因が特定できていない」ことを明らかにしており[6]、今後原因究明に努めるとしている。
一部報道によれば、今回問題になった「グリーンカル」については2018年12月より製造工程が変更になっていたが、変更後のロットの商品について競走馬理化学研究所への検査依頼が行われたのが2019年4月であるにも関わらず、実際には工程の変更直後から当該ロットの商品が販売されていたという[8][9]。このため、なぜ未検査のサプリメントが大々的に販売されてしまったのかという点も疑問視されている[8]。
脚注[編集]
- ↑ “競走馬の飼料から禁止薬物検出、156頭が競走除外(日刊スポーツ)” (日本語). Yahoo!ニュース. 2019年6月15日確認。
- ↑ “今週の中央競馬の競走除外について JRA”. jra.jp. 2019年6月15日確認。
- ↑ 船橋競馬でも5頭競走除外 - サンケイスポーツ・2019年6月17日
- ↑ 函館スプリントSは7頭立てに ダノンスマッシュなど6頭が禁止薬物検出問題で競走除外に スポーツ報知、2019年6月15日
- ↑ 禁止薬物検出で函館スプリントSのダノンスマッシュも除外…安田隆調教師「こっちが被害者です」怒りに震えた スポーツ報知(msnニュースによるアーカイブ)2019年6月16日
- ↑ a b 競走馬用飼料の禁止薬物検出について - 日本農産工業・2019年6月15日
- ↑ 弊社販売の飼料添加物「グリーンカル」の販売停止につきまして - JRAファシリティーズ・2019年6月17日
- ↑ a b JRA「史上最悪」禁止薬物問題に「隠蔽工作」疑い!? 実は「未然に防げた」が、昨年12月から「無検査」出荷...... - ギャンブルジャーナル・2019年6月16日
- ↑ 禁止薬物問題でJRAと製造会社に食い違い…日本農産工業、検査クリア製品と同一の扱いにしていた - スポーツ報知・2019年6月16日