静岡県伊東市湯川児童虐待死事件
静岡県伊東市湯川児童虐待死事件(しずおかけんいとうしゆがわじどうぎゃくたいしじけん)は、静岡県伊東市湯川で2歳の男児と生後8か月の女児がそれぞれ死亡した事件。
概要[編集]
男児[編集]
静岡県警伊東署は2012年7月5日に男児Aを死亡させたとして、父親のSを逮捕。2012年5月3日に自宅で当時2歳4か月の男児Aに暴行を加えて死亡させた傷害致死の疑い。司法解剖で死因を暴行の衝撃による脳損傷となったことで逮捕した。Sは妻と長男のA、双子の次男、Sの母親の5人暮らし。事件当時、家にはSと長男のAと双子の次男の3人だけだった。
2010年5月から2011年1月まで3回にわたって病院から「頭部に外傷があり、頭に水がたまっている」 と虐待の疑いで児童相談所に通報があった。3回の怪我のうち、2010年11月の怪我は頭部骨折の重傷。児童相談所はS宅を訪問するなどして、2011年2月から2012年3月までの1年2カ月間の間、民間児童福祉施設に入所させた。3月に「保育園に入園させる態勢が十分だ」 として、Aを自宅に戻していた。4月20日にも児童相談所が訪問していたが、虐待の兆候はみられなかったという。
2012年8月、地検沼津支部はSを嫌疑不十分で不起訴処分とした。2013年4月にこれを不服としてSの元妻でAの母親が不服を申し立てを行う[1]。沼津検察審査会は2013年6月に不起訴不当と議決した[2]。
女児[編集]
2014年2月26日頃に伊東市湯川の自宅で生後8か月の女児Bが暴行して死亡させたとして、2015年2月14日に長女Bに暴行して頭部に損傷を与えて殺害したとして父親のSを逮捕する[3]。2014年2月26日午前11時15分頃に、Sは妻と二人で長女Bを伊東市の病院に運んでいた[4]。Sは「親戚の子が長女の頭を踏んだ」と説明していた。Sは2013年1月に再婚して女児Bと妻とで暮らしていた。女児Bが死亡した事件当時は実母と弟夫婦を含めた6人暮らし。事件後に平塚市に転居して妻と2人暮らしとなっていた。
女児Bは、3月1日に病院で死亡。頭蓋骨に複数の骨折が見つかり、脳内は出血していたことから病院が「虐待の疑い」で通報していた。事件前の2月19日には親族から「女児Aの具合が悪いようだ」という伊東市に連絡があり、保健師が事件前日の25日に自宅訪問していたが、異変は感じられなかったという[5]。
起訴[編集]
2015年3月5日、静岡地検沼津支部は女児Bを死亡させた殺人罪と男児Aを死亡させた傷害致死罪でそれぞれ起訴した[6]。一度は不起訴処分となった男児Aの事件も、再捜査で起訴に当たると判断した。
児童虐待で殺人罪として起訴するのは珍しい。
脚注[編集]
参考文献[編集]
- 2012年7月6日、読売新聞「2歳長男に暴行、死なす 容疑の父逮捕 3月まで施設で保護」
- 2012年7月6日、静岡新聞「2歳男児、虐待死か 傷害致死容疑で父親逮捕 伊東」