闘争

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ここでは、小酒井不木の小説作品について解説しています。


闘争』(とうそう)は、小酒井不木の短編小説。

概要[編集]

新青年」の昭和4年(1929年)5月号に発表された。

全編、書簡体で記述されており、記述者の先輩医師たちの学術上の闘争を描いている。

ストーリーをざっくり言ってしまうと以下のような感じである(ネタバレ注意)。記述者の涌井が師事している先生の名は、毛利といい、人間の精神状態の解釈に関して、狩尾氏と争っている。狩尾は「体液学派」を主張しており、たとえば殺人者の体質を有する者には僅かの暗示的刺戟を与えるだけで、殺人を行わせることが可能だというのだが、一方の毛利の「脳質学派」によれば、脳質自体に何らかの変化が起こらない限り、たとい殺人者体質を有するものでも、僅かの暗示的刺戟のみで殺人を行わせることは出来ないとする。ある日、毛利は警察から死体の鑑定を依頼される。当初、自殺と認定されたものが、そうではない可能性が出てきたということなのだが、再調査の結果やはり自殺の結論に問題はない。司法上の問題はそれで解決したのだが、興味を持ってその事件を個人的に更に調査していくうちに、ある驚くべき結論を見出す。というのは、この自殺者は、狩尾博士が自殺者体質を有するものに暗示的刺戟を与えて自殺させしめたものであって、云わば或る種の科学実験の結果としての産物であったのである!

何となく『ドグラ・マグラ』に似ている気もするが、発表年から言ってただの偶然であろうと思われる。(ドグラ・マグラは昭和10年の発表であるが、草案自体は発表の10年以上も前から書かれている。)ある意味、当時の医学界が、精神と意識について強い関心を寄せ始めた時代であり、それが両作品に反映されているのだ....という解釈も出来なくはないであろう(たとえばジークムント・フロイトが登場・活躍したのは19世紀半ば~20世紀半ば頃である)。

外部リンク[編集]

  • 青空文庫 - 本文を無料で読むことが出来る。