聖アンナと聖母子
聖アンナと聖母子(せいあんなとせいぼし、英:The Virgin and Child with Saint Anne、伊: Sant'Anna, la Vergine e il Bambino con l'agnellino、仏: La Vierge, l’Enfant Jésus et sainte Anne)はレオナルド・ダ・ヴィンチの絵画である。
概要[編集]
1508年から1510年の間に描かれたと推定されている。元は1499年のルイ12世の娘クロードの誕生を聖アンナに感謝するための奉納画と考えられている。アンナはルイ12世王妃の名であるが、本来は不妊の女性や身ごもった女性のための守護聖人である。聖アンナは聖母マリアの母親であるから、聖アンナ、聖母マリア、幼子イエスの3世代が描かれていることになる。幼子イエスの祖母であるが、ダ・ヴィンチは母アンナを若々しい風貌で描いている。
この絵はダ・ヴィンチから依頼主に届けられることはなかった。現在はパリのルーヴル美術館に展示されている。
絵の象徴的意味[編集]
イエスは生贄の子羊を掴んでいる。これは将来の受難を象徴している。聖母マリアは聖アンナの膝の上に座っている。
3人が近い位置にいることを意味を井出洋一郎は聖アンナ三代の図像は、ゴシック絵画やビザンティンのイコン(聖人像)によくみられるとして、太古(背景となる山岳)から律法が与えられた旧約時代(聖アンナ)、そして新時代(聖母子と人間を象徴する子羊)、最後にひび割れた大地が落ち込む未来の世紀、という人類の悠久の歴史を表していると説明する[1]。
下絵[編集]
2008年の赤外線リフレクトグラムによる調査により、『聖アンナと聖母子』の下層に馬の頭部のスケッチがあることが判明した。これは『アンギアリの戦い』を描く前に描いた馬のスケッチに似ていた。さらにその下層にイエスが子羊と遊んでいるスケッチが見つかった[2]。
注[編集]
- ↑ 井出 洋一郎(2007)『聖書の名画をたのしく読む』中経出版
- ↑ AMAZING SKETCHES ON FLIP SIDE OF DA VINCINewYork Post、2008年12月19日