聖アベリア女学院

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聖アベリア女学院
ジャンル 学校もの、恋愛、女装
作者 山田姉妹
出版社 芳文社
掲載誌 きららフォワード[1]
レーベル まんがタイムKRコミックス[2]
発行日 2011年10月27日[3]
発表期間 2010年10月号、2011年5月号 - 同10月号[1]
巻数 1巻完結
話数 7話

聖アベリア女学院』(せいアベリアじょがくいん、St. ABELIA Girl School[註 1])は、山田姉妹(山田可南とこたろの共同名義)による日本の漫画作品。全1巻。

舞台[編集]

舞台となっている「聖アベリア女学院」は、人里離れたところに立地された[4]、カトリック系と思われる[註 2]名門[2]女学校であり、主人公の筑波常夏らは高等部の学生として通っている[5]。学校システムは、幼稚園から大学までのエスカレータ式で[6]#登場人物で最初に挙げる4人以外は全員エスカレータ式に進学している[7]。水泳の授業はなく[8]、体育の授業の際は、寮(寮生でない学生は特別に設けられた個室)で着替えをする[9]。「女学校」にも拘らず、男性を受け入れてきて栄えてきた[10]。その割合は全体の3分の1であるが、かつてはそれよりも多かったという[10]

3分の2の学生が入寮している[6]。寮には大浴場や食堂はなく、それぞれに割り当てられた寮の個室で食事をし、設けられた浴室で入浴する[11][註 3]。寮の部屋は一人一部屋割り当てられており、2人以上が同じ部屋で生活することはない[13]。もちろん、ルームメイトなる存在もない[13]

ストーリー[編集]

1話[編集]

主人公の筑波常夏は、名門女学校の「聖アベリア女学院」に入学するが、掃除を任された理事長室で、学生の3分の1が男性であるという話を聞いてしまう[14]。この子があの子が男かもしれないと疑心暗鬼になる[15]中、親睦会のフルーツバスケットで桃子とぶつかって気を失う[16]。保健室まで運んでくれたのが撫子だと知る[17]と、格好良い撫子に恋のような感覚を抱き始める[18]。ちょうどその時、撫子が足元の段差でつまずき、常夏の元へと倒れるアクシデントがあった[19]。その時の撫子の体が柔らかいものであった[20]ために、常夏は撫子が女性であると考える[20]が、女性に恋する自分を恥ずかしく思い[21]、また撫子が男性であればよかったのにとも考えてしまう[22]

2話[編集]

高等部で入学してきた4人と、エスカレータ組の「九重グループ」「花山院グループ」との間には強い軋轢があった[23]。特に常夏は資産家の生まれではなかったために嫌がらせも受けたが、桃子の「そんなんじゃ 王子様 来ないんだからねっ」発言[7]や好きなものの話題[24]、撫子の「[男性を]嫌い… というより むしろ恨んでるの」発言[25]、椿の勇敢な姿勢[26]で、エスカレータ組と打ち解けていく[27]

3話[編集]

クラスのイベントで怪談があった。怖さから眠れずにいた常夏を心配して、撫子は彼女の部屋で一緒に寝ることにする[28]。完全個人主義なアベリアで、他の学生を寮の個室に招き入れ、または入るのは規則違反であった[29]が、違反してでも常夏のもとへとやってきた撫子を王子様に見立ててしまい[30]、恥ずかしくなる[31]

なお、怪談中、常夏から怖くないの?と問いかけられた撫子は「世の中には おばけや 七不思議なんかより 怖いものがあるもの…」と、意味深に囁いた。

4話[編集]

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姫と王子を決めるコンテストが行われる[32]。姫・王子候補は自薦・他薦され[33]、投票で選ばれるため、立候補者による選挙活動が行なわれ始める[33]。王子候補として立候補した椿は、常夏や撫子から、どうして立候補したのかと聞かれるが、はぐらかしてしまう[34]。次の時間は体育であったが、着替えから戻ってこない椿を心配した常夏が、椿の様子を見に行くと、そこにいたのは(サラシ)を胸に巻いている最中の椿であった[35]

椿が口を開くと、兄ばかりが可愛がられていた反動から自身も男の子になりたいと考え、筋肉トレーニングや空手をしたり[36]、サッカー部に入部してサッカーをしていたが、胸が大きくなり辞めてしまった[37]。たった1年でも王子として見られるイベントを行っている学校を選び、アベリアに入学した、とこぼした[38]

その後、開票が行われ、椿は王子から落選、撫子は姫に当選したが辞退した[39]。落ち込む椿に、3人は「私達の 王子だよ」と慰めの言葉を送り[40]、話が終わる。

5話[編集]

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もうすぐ夏休みへと入ろうとする学校で、4人は予定を話し合う。常夏は、両親は働き詰めで帰省しても迷惑になるだろうから寮に残るというと、3人は1週間ずつ自身の家に泊まるのはどうだろうと提案した[41]。撫子は風邪を引いたため[42]、他の3人で外を歩いていると風が吹き[43]、桃子のスカートがめくれ上がった[44]。スカートの中で、桃子が男の子であることがはっきりとし、常夏と椿は驚きふためいてしまう[45]。椿は驚きのあまり、「男…」と言いかけてしまうが、桃子はそれに動揺した様子を見せなかったことから、常夏と椿は彼女が本当の性を知らずに生活していると考えた[46]

自分たちのグループに男の子がいることを知ってしまった常夏は、撫子が男である可能性を抱くとともに[47]、今まで、撫子には王子の姿を投影してきたことから、男としての撫子と恋愛をしたいという願望に気づいてしまう[48]。常夏は、撫子には桃子が男の子であることを知られてはいけないような気がすると思い、椿に2人だけの秘密とすることを申し合わせた[49]

第6話[編集]

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夏休みが始まり、常夏は第5話で決まったように、他の3人の家への泊まり込みを始め[50]、まず最初に桃子の実家を訪れた[51]。実家でも桃子は女の子として扱われ、常夏は、後継ぎとして「長女」が必要だったのだと感じた[52]

次に、椿の実家を訪れ、桃子の家での過ごし方を椿に話した[53]。流れで、椿が一人だけ付き合った恋人の流れになり、椿は即時に別れたことを告白した[54]。ついでに、実は男の子だった桃子のとこを椿はどう思うかと聞くと、急に顔を赤らめ、「友達だし気にかけてるだけだよ 本当だってば」と恥ずかしそうに言った[55]

最後に撫子の家に行くと、張り詰めた空気と2階の人影を感じる[56]とともに、優しそうな父親が出迎えてくれた[57]。母親がいないことを疑問に思った常夏はそのことを撫子に伝えると、病気がちで休んでいると思うと言われた[57]。その後、撫子母と対面[58]し、寿司をみんなで食べることになったが、撫子母は常夏とばかり話し続け、撫子はあたかもそこに存在しないかのように振る舞った[59]。撫子は突然、服を脱ぎ始め、「もう我慢できないの もう黙っていることに」と言うと[60]、胸パッドが床に落ちた[61]

第7話[編集]

撫子の提案により、外を出歩くことになった常夏と撫子。撫子は重い口を開け、両親には長女がいたが交通事故で亡くし、その後に産まれたのが自分であること、母親はその姉を自分に投影して生活してきたこと、その過程で女装をさせられてきたこと、長女が死去し存在しないことに母親が気づいてしまい気をおかしくしてしまったことを語った。撫子は、そんな母親から離れて生活するため、アベリアに入学したのだった。

今まで秘めていたことが明かされると、常夏は自分の「撫子が男の子であればな」という思いがどれだけ軽薄であったかを思い知った。撫子は卒業後に、2人で同居し、男の子として生活してみたいと提案して、物語は終わる。

登場人物[編集]

筑波常夏(つくばとこなつ)[62]
主人公であり、彼女目線でストーリーが進行していく。高等部から入学してきた4人のうちの1人であり、4人の中では唯一資産家の生まれではなく[63]、両親の迷惑を考え、夏休みは実家に帰省しなかった[64]3話にあったクラスの怪談イベントでは怖がるあまり意気消沈した[65]、怖いものは苦手なのかもしれない。
宇都木撫子(うつぎなでしこ)[62]
高等部から入学してきた4人のうちの1人。椿に言わせると「女らしいおとなしい子」とのこと[66]2話では、「[男性を]嫌い… というより むしろ恨んでるの」といっている。最終話では、桜子という長女を交通事故で亡くした母親がまた産めばいい、という論理で産まれたのが撫子で、性自認が男性でありながら女性として育てられてきたことが明かされている。撫子自身は、男性でありながら男性として生きられないのなら、いっその事、女の子だけの世界であればよかった、と考えているようだ。家は大きいが、桃子・椿のそれに比べるとやや庶民的であるという[67]
桃子
メルヘンチックな乙女系キャラクター。お花とか大好き[68]。高等部から入学してきた4人のうちの1人で、女子中学校から進学してきた[69]。怪談が大好きな変わった子[65]。実家は旅館で、長女が代々受け継いでいるものと推定される[52]。アベリア入学前までは、家庭教師を雇って教育されてきたことから、学校生活はほとんど初めて[69]。「長女でないと困る」という理由からか、男性でありながら女性として育てられてきた。本人は自身が男性であるとは考えもしないようである。痴漢された経験があり、桃子が驚くと痴漢も驚き、逃げていったと語っている[70]。痴漢対象の股間にいちもつが生えていたら誰でも驚くに違いない。蓮と名付けられた弟が一人存在し、こちらは男の子として育てられている[71]第7話の終わりでは、椿といわゆる恋人つなぎをしている描写が描かれている。
椿
格好いい系のクールキャラクター。体力やら筋力には自身がありそうな描写がされている[72]。高等部から入学してきた4人のうちの1人。兄ばかりが可愛がられた影響で、子供の頃から空手や筋トレ、サッカーをしてきたが、女性としての成長が進み、サッカーはやめることとなった。いまでも、男の子として見られたいという願望があり、王子として扱われる可能性のあったアベリアを進学先として選んだ。男性との交際経験が1度だけある[66]が、自分の胸がコンプレックスとなっていることを再確認するだけとなった[54]。男2人・女1人の兄弟姉妹がいる描写がある[73]。家には、テニスやゴルフが出来るだけの環境が整えられており、かなりの資産家であることが見受けられる[73]第7話の終わりでは、桃子といわゆる恋人つなぎをしている描写が描かれている。
九重
縦ロールが特徴的な、ツンデレ系女子。男性を真っ向から嫌っている[7]。エスカレータ組で、すでにグループを結成しており、「九重グループ」のトップ的立ち位置にいる[7]2話で王子様の話題が出てきたとき、男性を嫌う「九重グループ」は椿を王子様に見立てていた。彼女の母もアベリア卒[74]
花山院
外見は真面目系であるが、恋愛に興味津々[75]。エスカレータ組で、すでにグループを結成しており、「花山院グループ」のトップ的立ち位置にいる[76]

書誌情報[編集]

  • 山田姉妹 『聖アベリア女学院』 芳文社、2011年10月27日、第1刷。ISBN 978-4-8322-4072-8

註釈[編集]

  1. ロゴより採取
  2. 山田姉妹 2011, p. 90ではマリア像の置かれた講堂が描かれている。
  3. その他、明示されているわけではないが、お手洗いも個室に完備されているようである[12]

出典[編集]

  1. 1.0 1.1 山田姉妹 2011, p. 175.
  2. 2.0 2.1 作品紹介ページ: 聖アベリア女学院”. 芳文社. 2017年8月17日確認。
  3. 山田姉妹 2011, 奥付.
  4. 山田姉妹 2011, pp. 3-4.
  5. 山田姉妹 2011, p. 8.
  6. 6.0 6.1 山田姉妹 2011, p. 3.
  7. 7.0 7.1 7.2 7.3 山田姉妹 2011, p. 34.
  8. 山田姉妹 2011, p. 171.
  9. 山田姉妹 2011, p. 82.
  10. 10.0 10.1 山田姉妹 2011, p. 11.
  11. 山田姉妹 2011, p. 51.
  12. 山田姉妹 2011, p. 13.
  13. 13.0 13.1 山田姉妹 2011, p. 52.
  14. 山田姉妹 2011, pp. 8-11.
  15. 山田姉妹 2011, pp. 13-14, 17.
  16. 山田姉妹 2011, pp. 18-19.
  17. 山田姉妹 2011, pp. 20-21.
  18. 山田姉妹 2011, pp. 23-24.
  19. 山田姉妹 2011, pp. 21-22.
  20. 20.0 20.1 山田姉妹 2011, p. 23.
  21. 山田姉妹 2011, p. 24.
  22. 山田姉妹 2011, pp. 26-27.
  23. 山田姉妹 2011, pp. 33, 35.
  24. 山田姉妹 2011, pp. 40-41.
  25. 山田姉妹 2011, p. 43.
  26. 山田姉妹 2011, pp. 45-46.
  27. 山田姉妹 2011, p. 47.
  28. 山田姉妹 2011, p. 62-66.
  29. 山田姉妹 2011, p. 63,67.
  30. 山田姉妹 2011, p. 72.
  31. 山田姉妹 2011, p. 70.
  32. 山田姉妹 2011, p. 73.
  33. 33.0 33.1 山田姉妹 2011, p. 80.
  34. 山田姉妹 2011, pp. 79-80.
  35. 山田姉妹 2011, pp. 84-85.
  36. 山田姉妹 2011, p. 87.
  37. 山田姉妹 2011, p. 88.
  38. 山田姉妹 2011, pp. 88-89.
  39. 山田姉妹 2011, pp. 91-93.
  40. 山田姉妹 2011, p. 94.
  41. 山田姉妹 2011, pp. 100-102.
  42. 山田姉妹 2011, pp. 103-104.
  43. 山田姉妹 2011, pp. 105-106.
  44. 山田姉妹 2011, p. 106.
  45. 山田姉妹 2011, pp. 106-107.
  46. 山田姉妹 2011, p. 109.
  47. 山田姉妹 2011, p. 114.
  48. 山田姉妹 2011, p. 115.
  49. 山田姉妹 2011, p. 117.
  50. 山田姉妹 2011, pp. 120-121.
  51. 山田姉妹 2011, p. 123.
  52. 52.0 52.1 山田姉妹 2011, p. 125.
  53. 山田姉妹 2011, p. 130.
  54. 54.0 54.1 山田姉妹 2011, p. 131.
  55. 山田姉妹 2011, p. 132.
  56. 山田姉妹 2011, pp. 135-136.
  57. 57.0 57.1 山田姉妹 2011, p. 137.
  58. 山田姉妹 2011, p. 138.
  59. 山田姉妹 2011, pp. 140-141.
  60. 山田姉妹 2011, p. 143.
  61. 山田姉妹 2011, p. 144.
  62. 62.0 62.1 山田姉妹 2011, p. 6.
  63. 山田姉妹 2011, p. 32, 34.
  64. 山田姉妹 2011, p. 100.
  65. 65.0 65.1 山田姉妹 2011, p. 54.
  66. 66.0 66.1 山田姉妹 2011, p. 38.
  67. 山田姉妹 2011, p. 134.
  68. 山田姉妹 2011, p. 110.
  69. 69.0 69.1 山田姉妹 2011, p. 126.
  70. 山田姉妹 2011, pp. 43-44.
  71. 山田姉妹 2011, pp. 124-125.
  72. 山田姉妹 2011, p. 46.
  73. 73.0 73.1 山田姉妹 2011, p. 129.
  74. 山田姉妹 2011, p. 74.
  75. 山田姉妹 2011, p. 37.
  76. 山田姉妹 2011, p. 35.